1月20日、中山11Rを制したフェニックスマーク"

1月20日、中山11Rを制したフェニックスマーク

●横山典騎手「無事なら相当なところに行ける馬」

検量室前パトロール隊員は、1月20日(土)の朝から体調不良に苦しんだ。食欲もなく、かといって朝から何も食べてもいなかったため、中山競馬場に着いてすぐうどんを食べた。すると、なぜか体調が良くなり、頭痛も解消。前日よりも元気になったのである。改めて、自分の体が小麦粉と水でできているのではないか、そう思った。

どうでもいい話はここまで。這ってでも中山競馬場へ向かった目的はメインレース・アレキサンドライトSフェニックスマーク(牡4、美浦・田島俊厩舎)を見たかったからである。

祖母にエンプレス杯を連覇したシルクフェニックスを持つシニスターミニスター産駒の4歳牡馬は、ここまで5戦3勝。底を見せていない。主戦の横山典弘騎手は「脚が無事なら相当なところに行ける馬です」と大きな期待を掛けている。デビューから30年以上、ホクトベガを筆頭に数々のダートの強豪の背中を知る名手にここまで言わしめる馬が、3連勝でオープン入りできるのか、非常に楽しみにしていた。

結果は見事1着。4番手でレースを進めると、直線で力強く伸びてオープン入りを果たした。この結果には横山典騎手も、管理する田島俊明調教師も喜んでいるのでは?と思い、調教師を直撃した。

「強い勝ち方でしたが、時計がちょっと遅かったですね……。もう少し楽に勝ちたかったです」。

温和な人柄の田島俊調教師は、微笑みながらゆっくり語りだした。「ノリさん(横山典騎手)も『今回はもう少し余裕をもって勝ちたかった』と言っていましたね。この先は馬の様子を見ながらです。ジョッキーの評価が高い馬ですが、その評価にまだ馬が追い付いていないところはありますね」。なるほど、1着でもこのコメント。期待の高さをヒシヒシと感じる。

「全体的にまだ弱いところがある馬なんです。脚の球節の状態が若いころからそこまで良くないので、まだ坂路中心に調整しています」。まだコースなどでじっくり攻められない現状ながら、前走の1000万条件の勝ち時計1分52秒5は前日に行われた師走Sと0.5秒差。オープン特別で2着に相当する好時計を叩き出すあたり、やはり相当な能力を秘めているようだ。

●「まだ弱いところがある」状態で一気にオープンへ

田島俊調教師が初めてフェニックスマークを見たのは1歳時だという。「身体が立派でいい馬だと思いましたね。でも子どもっぽい身体でもあり、これまでは故障と隣り合わせでした。カイ食いにしても、冬場はまだしも、2走前くらいまでは食べたものが身にならないところがありました。新馬戦でエピカリスの2着だった後に骨折したり、出走取消したり、色々ありましたが、その時に無理しなくて良かったです」。

苦笑いしながら語る表情を見る限り、ここまで仕上げるのに相当な苦労があったのだろう。それだけに、厳しいコメントとは裏腹に、オープン入りは陣営にとって相当な喜びだったのではないか。

「ストライドも大きく、立派な身体をしているだけに、ノリさんの評価も高いんです。今後はノリさんの理想像に近づけていきたいですね。まずは無事に重賞を使っていきたいです」と抱負を語る調教師の表情は、期待に満ち溢れていた。

今年、開業10年目を迎えた田島俊厩舎。「開業してから年間20勝を目標にしていますが、まだ達成したことがないんです。今年は達成したいですね」と語るが、今年最初の開催だった1月6日(土)の招福Sをサクラルコールで制すなど、順調な滑り出しを見せている。

「何とか種牡馬にしてあげたいんです」と先々を見据えるほど期待の大きいフェニックスマークが2018年、ブレイクする可能性は大いにありそうだ。

横山典騎手の評価も高いフェニックスマーク"

横山典騎手の評価も高いフェニックスマーク

表彰式に出席した田島俊調教師(左)"

表彰式に出席した田島俊調教師(左)