ふと菊花賞がフルゲートにならないのは何時以来かと調べてみた。2005年、ディープインパクトの3冠時が16頭立て、それ以来のフルゲート未満だ。昨今は長丁場の競馬を嫌って天皇賞へと向かう3歳馬も居る。

だが、今年はそんな馬もなく、ただ下剋上を目指す馬が居なかったと言う事か。確かに皐月賞馬ソールオリエンス、ダービー馬タスティエーラのツートップがデンと居る。ダービーへ出走した馬が10頭も菊花賞へ向かう。暑い夏を無事に超えての戦いである。

昇り馬が2頭、ドゥラメンテ産駒のドゥレッツア。ただ前走で体が減っていたのが気になる。ここは大きく増えて出てきてもいい。サヴォーナ、神戸新聞杯でサトノグランツに肉薄した馬。鞍上の池添Jは最近、あちこちで上位に顔を覗かせてくる。さて両巨頭、共に直前輸送の関東馬、最終調整は美浦。ノーザンF7頭に社台が1頭の構図。ソールオリエンスなら今の淀にピッタリの筈だ。

【秋華賞の回顧】

23年10月15日(日)京都11R 秋華賞(G1)芝2000m)
  • リバティアイランド
  • (牝3、栗東・中内田厩舎)
  • 父:ドゥラメンテ
  • 母:ヤンキーローズ
  • 母父:All American


いつも冷静沈着な漢、川田将雅がゴーグル越しで外からは判りづらかったが、感極まって思わずこみあげそうになっていた。この馬と過ごす時間を大切にしたい、そんな想いが伝わってくるかのインタビューでもあった。

凱旋門賞の勝ち馬、エースインパクトが引退と電撃のニュース。強い馬の血を後に伝えるのも競馬の大きな使命でもある。ここに日本で7頭めの牝馬3冠馬が生まれた。その類まれなる走る能力を次の世代へと繋ぐ為に競走生活を終える日が来る。

だが、それまではこの素晴らしい馬の走りを見続けたい、そんな風に思ったゴール板過ぎだった。パドックへ入ってくる前に体重の発表があった。押しなべてプラス体重で出てきて、秋の成長を感じた。リバティアイランドの体をひとめ観て、もう文句なしと思った。また落ち着き具合である。総じて走る牝馬は大人しく、要らぬ事をしないものだが、まさしくそんな風情で黙々と周回していた。

リバティアイランドの道中は外に武豊J、右後ろにルメールJとここがベストポジションだと思える位置。後800を前に外へ出し、後600から動き、後400ではもう先頭。《3角で勝利を確認》はインタビューに応えたものだが、道さえ造れば負けないと繋いだ言葉。リバティアイランドは我々が思っている以上にプロが感じる絶対的な能力の違いがあるのだろう。。今までこの3歳世代でいちばん強いと書いてきたが、もっと上のレベル、イクイノックスやドウデュースらと戦っても遜色ない競馬をするのだろう。次がどこになるのかも楽しみだ。

今回も凄い脚を使ったマスクトディーヴァ。ハーパーも力を出し切ったし、ドゥーラも体を戻してオークスのあの脚を再現した。モリアーナもあの狭い処を出てきた。皆、これから先々が楽しみな乙女達の競馬だったし、何よりも綺麗なレースだった。リバティアイランドの3冠達成の淀。金木犀の香りもしてきた。