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西園正都調教師

西園正都調教師


つい先日、行われた日本ダービーのサダムパテックなど、重賞競走に数多くの活躍馬を送り出してきた西園厩舎。その中でも短距離馬の活躍が特に目立つのが厩舎の特徴ともいえるだろう。
今年の安田記念にも、管理馬が3頭スタンバイしている(登録は4頭)。エーシンフォワードシルポートコスモセンサー、どの馬も個性豊かでファンも多い馬達だ。ダービーウィークの慌ただしい中、3頭について西園正都調教師に語って頂いた。


人気を背負った形で、再びG1を


-:ダービー挑戦というお忙しい時に取材させて頂き、ありがとうございます。

西:いえいえ、こちらこそ取材を受けるのは光栄ですから。まず、どの馬から話しましょうか?エーシンフォワードから行きましょう。

-:前走の京王杯スプリングCでは0.5秒差の8着でした。少し物足らない印象がありました。

西:59㎏背負ってピンク帽でしょう?かなり厳しい条件が重なったからね。そんなに悲観する内容ではなかったと思っています。

-:香港マイルから帰って来て高松宮記念を使ったわけですが、京王杯レース直前の雰囲気はどうでしたか。

西:一回使って気合い乗りが良くなっていました。この馬が好走する時は装鞍所で凄く気合いが乗るんですが、そんな感じが見られましたので僕も期待していたんですよ。
結果的に枠も悪かったし、59㎏もきつかった。それでも0.5秒差でしょう?まだまだ見限れませんよ。と言っても、最近のマスコミはちょっと負けるとすぐに印が薄くなるからなぁ(笑)。


-:マイルCSの時にエーシンフォワードが13番人気だった話ですか?

西:冷たいと思わない?前走(スワンS)1番人気だったんだよ?それが13番人気って(笑)。まぁまぁ、それは良いとしてGⅠを勝ったといっても、伏兵としての勝利でしたから今度は人気を背負って勝ちたいですね。

-:今週も雨が降る予報です。エーシンフォワードにとって重馬場はどうなんでしょう。

西:レコードで走るような馬だからパンパンの良馬場が理想でしょうね。重い馬場はあまり好ましくはない、としかいえないなあ。何とか晴れてくれないかな。でも、少し荒れた馬場くらいならこなせると思っています。マイルCSも京都の最終週だったでしょう?あの時もいくらかボコボコした馬場でしたからね。

-:馬体重はどんな感じできていますか。

西:古馬なので、そんなに大きな変動はありません。至って順調ですから前走時と同じくらいでの出走になると思います。地力はあるのに、なぜか人気にならない馬ですが応援してくださいよ!

自らの競馬に徹するシルポート


-:ありがとうございます。それでは次にシルポートをお願いします。

西:同じ京王杯で『あと一完歩!』で負けました。勝ちに等しい2着です!この馬は予想以上に力をつけてきました。普通、オープンまで出世すると、相手も強くなりますからレース後に疲れが残りやすいんですよ。シルポートは疲労回復・免疫力・血液の循環・新陳代謝に優れた馬なんです。その為、筋肉が柔らかく見た目の印象以上に速く走れるんでしょうね。

-:平均的に速いラップで走る馬ですが、競られた時にはモロさもありますね。

西:そうですね、東京新聞杯のように競られたら最後の最後で止まってしまう。今回はGⅠですから、楽には逃がしてもらえないでしょうね。その辺りが心配ではありますが脚質的に仕方がない面もありますから、いつも通り行くしかないです!

-:同じ質問ですが、シルポートにとって重馬場はどうでしょうか。

西:重馬場で2着がありますから下手ではありません。この馬の場合は馬場状態より、いかに楽に行けるかにかかっています。馬場が渋って他の馬が行けないならシルポートにとってはチャンスでしょうね。




コスモセンサーは良馬場が理想


-:ありがとうございます、それでは最後にコスモセンサーの近況をお願いします。

西:前走はこれまた同じ(笑)、京王杯で4着でしたが、レース後『エーシンフォワードに寄られてなかったら2着はありましたよ!』と松岡くん(騎手)に言われました。同じ厩舎の馬が邪魔になっていたんです。しかも、コスモセンサーが2着に来ていたらシルポートは3着ですか?3頭も出すとこういう事が起きるんだね。

-:そんな事があったんですね。コスモセンサーも13番人気で4着ですから上昇していると見て良いんでしょうか。

西:前走くらいから良くなっていました。ベストは1400mですが1600mにも対応できる力は持っています。ただ…。

-:馬場が渋ると良くないんですか?

西:1400mをレコードで走る馬ですからね。馬場が良いにこしたことはない。重馬場だとノメって走れないかもしれません。それくらい軽い馬場があっている馬ですね。

-:それでは、安田記念に向けての意気込みをお願いします。

西:今回は3頭でのGⅠ挑戦になります。今のところ天気や枠など不確定の要素が多いので、直前の天気を見てファンの方が気に入った馬を選んでくれたらいいと思います。3頭とも状態に関しては申し分ないデキにありますので期待してください。どうぞ、よろしくお願いします。


【西園 正都】 Masato Nishizono

1955年鹿児島県出身。
1997年に調教師免許を取得。
1998年に厩舎開業。
JRA通算成績は294勝(11/5/29現在)
初出走
1998年3月7日1回阪神3日目7Rドクターブイ(13着)
初勝利
1998年4月26日1回新潟2日目4Rマイネルユートピア・延26頭目


最近の主な重賞勝利
・10年 マイルCS /・10年 阪急杯(共にエーシンフォワード号)
・11年 マイラーズC/・10年 京都金杯 (共にシルポート号)
・11年 弥生賞 /・東京スポーツ杯2歳S (共にサダムパテック号)


騎手時代に303勝を挙げた後に厩舎を開業。坂路を主体とした独自の調整方法で活躍馬を量産。自らも「ウチの古馬は短距離王国」と公言しているように、スプリント~マイル路線は大レースで常連中の常連。本年はサダムパテックでかねてからの目標であったクラシックに挑戦。そして、安田記念にはエーシンフォワード、シルポート、コスモセンサーの3頭を送り込む。