日曜京都11R
シンザン記念(GⅢ)
芝外1600m
勝ちタイム1.34.3
ジェンティルドンナ(牝3、父ﾃﾞｨｰﾌﾟｲﾝﾊﾟｸﾄ・栗東、石坂厩舎)

※※またもや石坂厩舎・ディープインパクト産駒・ルメールだ！！

予測どおりにシゲルアセロラの逃げ。けっこう離して行っていただけに、かなり速いと見ていた。実際1000通過は58.8だが、その前が意外とユッタリ行っている。3ハロン通過が35.0の逃げである。だからか向こう正面では横にタイトで馬群がぎっしりと詰まった状態での競馬となっていた。
そんな中を何とか我慢出来ていた好位組の馬達。
ジェンティルドンナは、直線での追い出しも他馬よりもワンテンポ遅らせての追い出しとなった。それが功を奏したのか、伸びが他馬とは違っていた。ディープインパクト産駒に、ルメールJと石坂厩舎。何か良く見かけるシーンでもある・・。

スタートは外のレオンビスティーがいち早い出だ。シゲルアセロラが次いで良かった。内の方ではグラーネが出も遅いしダッシュも今一つで、すぐに1馬身ぐらいのビハインドとなる。前は押して行く様な馬もいなく、シゲルアセロラがジワっと出て行った。外のレオンビスティー、そしてトウケイヘイローと続く。少し押して、プレミアムブルーが前へと出てきた。その後ろにジェンティルドンナとマコトリヴァーサルが続く。

1ハロンを過ぎたあたりでシゲルアセロラに続いたのはプレミアムブルーで、トウケイヘイローはやや抑え気味。逆に内からマイネルアトラクトが前へと出てきて、ジェンティルドンナと並んでさらに前へと上がって行く。
3ハロンを過ぎるあたりでは、先頭シゲルアセロラと2番手が少し差が開きだした。その差はその後の800通過の時にはさらに開いて行く。《4馬身、5馬身開いている》と場内アナウンスが叫ぶ。
4コーナーに入るあたりでは、プレミアムブルーの外にトウケイヘイローが並びだしてきた。2番手グループがかなり前との差をグッと詰めた様子。オリービンは相変わらず後方で、ブービーに近い位置である。
4コーナーを廻って一気に前は差がなくなり、シゲルアセロラがまだ先頭だが、プレミアムブルーとの差は1馬身ぐらい。そのプレミアムブルーの内にマイネルアトラクトが入り、外のトウケイヘイローと3頭が並ぶ形だ。

内廻りの4コーナーを過ぎて、再び内にラチが表れるあたりになると、内めからジェンティルドンナが、プレミアムブルーとマイネルアトラクトの2頭の間から顔をのぞかせてくる。
残り1ハロンを通過する時には、ジェンティルドンナの勢いが一番優りだして先頭に出た。シゲルアセロラを挟んだ内にいたマイネルアトラクトの伸びもいい。その後ろでは、プレミアムブルーとトウケイヘイローが並んで前を追うが、差がいっこうに縮まらない。
完全に先頭はジェンティルドンナで、2着もマイネルアトラクトが確保の脚色。オリービンは後方で少し順位を上げはしたが、前に迫るほどの勢いではない。ルメールJの左ステッキが2発入り、ジェンティルドンナは勝利を確信。最後はやや抑え気味なゴールでさえあった。

パトロールビデオを見る。出の悪かったグラーネは、その後も馬群にとりついて行ったが、廻りの馬に怖がって頭を上げてしまってダメ。
ジェンティルドンナは、前でフラフラする馬もいたりで前半はやや掛かり気味となっていた。3コーナー過ぎからは少し流れ出して進行出来ていた。
逆にトウケイヘイローは、いい位置過ぎてやや下げ気味の前半だったのだが、馬群の外にいるだけに抑えが利かなくなった感じで、また前へと出て行く位置どりだった。
一方のマイネルアトラクトは、終始内ラチ沿いで脚を貯められて、そのまま直線も脚を伸ばしてと力を発揮。シゲルアセロラの逃げは前半3ハロンはゆったりだったのだが、800を過ぎたあたりからスピードアップして行った流れ。それでも前半ユッタリで、各馬の追走が楽だったせいか、4コーナーを廻る時には好位グループが急接近していったもの。そんな流れでもコンマ5秒差の5着と粘っていたのだから、なかなかの渋い逃げ方。1400とかで思いっきりの逃げに出たら、十分勝ち負けの競馬になりそうなスピードだ。

何よりもジェンティルドンナである。姉ドナウブルーが出来なかった事をいとも簡単にクリアしていく凄さである。馬格もしっかりとある馬で、賞金もしっかりと加算してこれで好きなローテーションを組んで行ける。牝馬路線を行くのだと思えるが、視界良好で春が待ち遠しいものとなった。

それにつけても、牡馬勢がちとダラシがない感じは否めない。まだまだこんなものではないはずだが・・。


平林雅芳 （ひらばやし まさよし）
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。