-京都牝馬S-平林雅芳の目

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日曜京都11R
京都牝馬S(GⅢ)
芝外1600m
勝ちタイム1.33.8

ドナウブルー (牝4、父ディープインパクト・栗東、石坂厩舎)

※※ドナウブルー、姉の意地を見せ重賞制覇!!

朝からたまに小雪が舞ったり、また日が照ったり。底冷えのする淀の競馬場である。このレースの直前は寒空に陽がさして明るい空となっていた。寒風を切って伸びてきたのは52キロのC・デムーロJ騎乗のドナウブルー。馬場の真ん中より内目をスルスルと伸びてきて、残り1ハロンではもう大勢は決していたほど。当然にC・デムーロJの空へ伸びる指が光っていた・・・。

1600万下からの馬がドナウブルー、クィーンズバーンビッグスマイル、そしてメルヴェイユドールの4頭。そのうちのビッグスマイルとドナウブルーは昨秋にもローズSに格上挑戦した。4、5着どまりに終わったが、ビッグスマイルはクビ・クビ・クビ差のもの。ドナウブルーは4コーナー過ぎて直線入り口で一瞬離されたのが痛かったと、当時を思い出せるほど。その当時の力と現在がまったく違ったものになっていたのであろう。ドナウブルーの馬体そのものが、過去最高タイの436キロと減らなくなってきている。

レースを振り返ろう。クィーンズバーンがスーッと先手を取っていった。半馬身から1馬身のリードを保ちながら、マイペースの逃げを打つ。前半1000メートルが58.9。このクラスならそう速くもないだろう。平均ペースと言えようか。
この逃げに、コスモネモシンが今回は前々で競馬している。スイートマトルーフライステラスらが好位グループをガッチリと固めて4コーナー手前まで来る。ショウリュウムーンは内ラチ沿いの絶好の位置。ドナウブルーはそこから少し前で、コスモネモシンの真横の馬の中だ。

そして4コーナーに入っていく。その時に少し真ん中で動きがあって、レディアルバローザの位置が一瞬に悪くなっていた。ライステラスの手応えが悪くなって下がる時に隙間が出来た様だ。その瞬間の前にドナウブルーはス、ス、スッと瞬時に前へと出ていっている。
真っ直ぐに馬群が見える直線になった時には、クィーンズバーン先頭だが、すぐ隣りにドナウブルーが見えたぐらいの勢いだった。そして直線の残り1ハロンあたりでは、完全にドナウブルーの勢いが増して先頭となった。

クィーンズバーンの内目のラチ沿いを、ショウリュウムーンが伸びてきた。一瞬だけ前を捕える程の勢いかと思えたが、またドナウブルーが伸びていった感じだった。その少し後ろでアスカトップレディが伸びていた。その後ろではビッグスマイルが弾ける様に続いて来ていた。レディアルバローザがその後に少し脚を伸ばしていた。

52キロに乗れるC・デムーロも凄い。若いからこそだろうが、今まで来た外国人騎手はおしなべて重い斤量を好む。
今週の土曜まで小倉を主戦場として戦ってきていたC・デムーロJ。この日曜は京都での騎乗となったものであったが、初勝利が重賞制覇となる快挙。ここらも兄に似た偉業を達成する凄さ。何かを持っている兄弟なのだろうか。

若さと勢いで制した感じのドナウブルー。入厩したころからその素質を高く評価されていた同馬だが、やっと素質開花と言えようか。それもこれもC・デムーロとの嬉しい初勝利となったものであった・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。