日曜京都11R
きさらぎ賞(GⅢ)
芝外1800m
勝ちタイム1.47.0
ワールドエース (牡3、父ﾃﾞｨｰﾌﾟｲﾝﾊﾟｸﾄ・栗東、池江厩舎)

※※ディープ祭りだ！ワールドエースが真一文字に伸びる！！

1000メートルを1.01.7の遅い流れで進むが、ジックリと構えていたワールドエース。直線へ入って少ししてから外へ出す時に小牧Jのステッキが1発唸る。そこから真っ直ぐに伸びて行った。あっと言う間に先頭に立つと、後ろの気配を探る小牧Jの仕草だった。後ろでは外をあきらめたのか、内へ突っ込んできた安藤勝Jヒストリカル。しかしその追撃をまったく寄せ付けない歩幅で駆け抜けていくワールドエース。昨年のトーセンラー、今年のワールドエースとディープインパクトの子供はこのレース、この舞台が最高に似合う様だ。良馬場ならこれだけ切れるという印象を残して駆け抜けて行った、ワールドのまさにエースである・・・。

引き上げてきた小牧Jが通り過ぎていく時に《凄いね～！！》と声をかけると、馬上から『走るわ～！』の返答であった。そのまま1着の枠場へ進めて行く。待っていたのは、何と池江寿師でなく元調教師の池江康先生である。そして馬と小牧Jをねぎらっていた。
それにしても着差以上の強い勝利であった。直線後ろから迫ってくるヒストリカルの安藤勝Jがステッキを2、3発入れて最後の詰めをうながしているのを後目に加速していくワールドエース。『危なげない、完勝』という言葉がピッタリなほどであった。直線2ハロンが11.3～11.1を4コーナーに入ってきた時に1発入れただけの所作だけで後は馬まかせなのである。
2着ヒストリカルに3着ベールドインパクトと、どれもディープインパクトの子供ではあり、搭載エンジンが違うの印象を受けたものでもあった・・・。

どれが行くにしてもスローな流れになると思える構成。マジカルツアーは今回は好位での競馬を試みた様だ。あまりスタートが速くなかったのだが、アルキメデスが先手、ローレルブレットが今日は前で競馬で2番手。マイネルアトラクト、ジャスタウェイ、ベールドンインパクトらが好位グループを形成。ワールドエースはひと塊の馬群の後ろで、ヒストリカルはその後2馬身ぐらい後ろで3ハロンを通過。36.5とやはりユッタリだ。
その後はさらに遅くなって進む、マデイラがやや掛かり気味な様子。他はまずまず折り合っている。

坂を下って残り800ぐらいの少しペースは上がったあたりで、好位グループが先頭へと並びかげんとなっていく。ワールドエースも少し順位を上げた格好になる。
4コーナーのカーヴを廻って行く時には、ベールドインパクトが前のグループでは一番前へと出る勢いとなっている。ワールドエースがグンと順位を詰めている。ヒストリカルがそれに続いて外へ出してきた。
そして4コーナーを過ぎて生垣を過ぎたあたりで、ワールドエースがゴーサインを出す。
残り300のオレンジ棒を過ぎるあたりでは、先頭がベールドインパクトだが、その後ろにもうワールドエースが迫って行く。ヒストリカルもそれを追う様に後ろに続く。
ベールドインパクトを抜くときに、小牧Jは右を観て、今度は少し左後ろを確認する。その後も二度程、オーロラビジョンを見ている。その後はほとんど追ってない動きでゴールを迎えていた。
ヒストリカルの安藤勝Jも、左ステッキを3発程入れた後はもう観念した感じで流してのゴールと見えた。

火曜朝の坂路監視小屋で、音無師がヒストリカルの次走をどこにするのか悩んでいた。2着賞金を足しても、まだ完全に皐月賞出走に到達できる保障がない。どこかで加算しないとである。
角馬場脇で愛馬を見守っていた池江寿師にも話をうかがう事が出来た。やっぱり東京出張だったらしく、『強かったですね～、前走福永Jが無理をせずに教えていてくれたのも良かったんです。馬場が良かったら本当に切れますね～』であった。福永Jに気を遣っているのが感じられた。

ドンドンと出てくるディープインパクトの子供。特にこの1800外廻りは思いっきり力を発揮できる舞台な様だ。また東へ向けて大物が登場、そんな雰囲気であった。


平林雅芳 （ひらばやし まさよし）
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。