GI2勝目テスタマッタ「もっといい脚が使える」

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12年2月19日(日)、1回東京8日目11Rで第29回フェブラリーS(GⅠ)(ダ1600m)が行なわれ、岩田 康誠騎手騎乗の7番人気・テスタマッタが優勝。勝ちタイムは1.35.4(良)。

2着には2馬身差で4番人気・シルクフォーチュン(牡6、栗東・藤沢則厩舎)、3着には2番人気・ワンダーアキュート(牡6、栗東・佐藤正厩舎)が続いて入線。1番人気に支持されたトランセンドは7着に敗れている。

海外を股にかける活躍をみせてきたトランセンド、昨秋から充実一途の勢いをみせていたワンダーアキュートらと手を合わせた昨年のJCダートでは12着に惨敗。
その後、久々に岩田騎手とタッグを組んで、暮れの東京大賞典、根岸Sと続けて3着に入っていたテスタマッタ。

その前走も、唯一頭58キロを背負い、掛かるところをみせながらも、直線で盛り返す形。着順以上に内容の濃いレース振りをみせていたのは事実だが、戦前は実績上位馬らの影に隠れたように7番人気。「トランセンドに勝てると思わなかった」。会見中に口にした岩田騎手の偽らざる本音であったように伏兵の扱いも仕方ない。

レースでは馬群の後方で鞍上がテスタマッタを宥めるように追走。「3~4コーナー手前では、『どないしよう』と思うほど。苦労という言葉以上にテスタマッタには自分のコントロールが通じなかった」と語ったが、そこはペースが向いた。
逃げ馬を制して先制したセイクリムズンが造り出した展開はテンの3F34.7秒のハイペース。そこへトウショウカズン、グランプリボスらも続き、先手をとりたいトランセンドも押し上げて好位へ向かう流れ。直線を向いた時には先頭集団の各馬は脚をなくしズルズルと失速する中で、岩田騎手もテスタマッタとの意志疎通がとれたか、スルスルとコーナーでポジションを上げると、追い込み馬・シルクフォーチュンもテスタマッタの後を追うように進出。

追い込み勢が台頭する中で、いち早くテスタマッタが先頭に躍り出ると、残り1Fではライバル達との叩きあいになったが、そこは追いすがるシルクフォーチュンよりも距離の融通性を持つテスタマッタ。坂を駆け上がってからの脚色も衰えず、2馬身差をつけて快勝。ゴールを過ぎると、岩田騎手もスタンドへ向かって高らかと右手を突き上げ、「ヨッシャー」と声をあげた。

レース後、「若い頃のカリカリした感じはなくなってきているし、根岸Sの時よりペースが速かった分、ちょっとは楽だったが、この馬は折り合いが課題。今日はケンカをしながらも呼吸あったし、GIのペースと、後ろから行くこの馬のスタイルがマッチしました。スムーズなら、もっといい脚がつかえます」とパートナーを評したが、それもそのはず。テスタマッタは3歳時に初ダート戦での圧勝から3連勝でジャパンダートダービーを制覇。スーニやワンダーアキュートにグロリアスノア、シルクメビウスら後の重賞ウィナーをを寄せ付けなかったほどだ。

これで遅れをとってきた同世代のトランセンドとのリードを一つ縮めたが、岩田騎手も「今日の馬体は前走時よりも一回りも二回りも大きく見えました。これもスタッフの努力の結果です」と成長も感じ取っていたように、まだまだ成長途上。

「ケガがあったり、G1を取り消したり、いろいろトラブルがあった馬です。ここで結果を出せてほっとしています。力を付けてくれた馬に感謝するしかありません」と管理する村山明調教師も頬を緩めたが、折り合いの課題に一定のメドを付けたことで、今後の視野も広がる。

「今後はオーナーとの相談になりますが、無事ならばいくつも大きなタイトルを獲れるはずです。ドバイ遠征を含め、海外への挑戦も考えたいですね」とトレーナー。遅れてきた大器が漸く本来の力を証明する出番がやってきた。

1着 テスタマッタ(村山明調教師)
「もともと調教は動かない馬。最終追い切りは相手に遅れましたが、初めて併せ馬ができ、G1仕様の負荷がかけられたと思います。パドックでは少し太いかなと思えても、許容範囲でしたしね。パドックでの周回を始めたころは緊張していたとはいえ、すぐに落ち着きました。
難しい枠を引きましたし、いろいろ指示を出したら迷わせると思い、すべてジョッキーに任せました。好スタートを切り、うまくなだめ、かかりぐせがある馬を理想的に導いてくれましたよ。
トランセンドが行かず、エスポワールシチーも控える意外な展開。流れが速くなってくれればと祈りながら、道中は見ていました。ロスなく直線に向き、スムーズに持ち出せました。前走で根岸Sを使った効果を感じましたね。後ろからシルクフォーチュンが伸びてきましたので、抜け出すのが速いかなと心配しましたが、残り50メートルで勝利を確信しましたよ」