-マーメイドS-平林雅芳の目

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日曜阪神11R
マーメイドS(GⅢ)
芝2000m
勝ちタイム 1.59.9

グルヴェイグ (牝4、ディープインパクト・栗東、角居厩舎)

※※グルヴェイグが人気に応えて重賞初制覇!!

1番人気があまり好成績を残せないハンデ戦のGⅢマーメイドSだが、今年は1番人気グルヴェイグが2馬身もの差をつける快勝で重賞初制覇をなしとげた。
1,2,3着までが1600万下に籍を置く身の上での結果。
ハンデ戦らしく53キロが1着。2,3着は50キロの軽量馬が活躍。この時期の牝馬の重賞らしい結果なのか。グルヴェイグの強さが光るレースでもあった・・。

ウイナーズ・サークルで表彰式を終えてファンが差しだす色紙に心よくサインしているウィリアムズ。ジョッキー・パンツに名前が書いてあるのだが、グレイグ・ウィリアムズとカタカナで表記してある。まるで勝ち馬の名前みたいで、《最初からマッチした感じだな~》と思ってしまった。

スタンド前からのスタート。そのスタート自体あまりグルヴェイグは良くなかったが、すぐに対応できて問題ない位置。挟まったのか、クリスマスキャロルは窮屈になり、最後方まで下がる。アグネスワルツが猛然と出ていった。ここは先手は譲らないの覚悟だ。最内のレジェンドブルー、外からタイキエイワンが行く。好発のスマートシルエットが内で4番手となって、最初のカーヴを廻って行く。アグネスワルツの逃げは軽快で、向こう正面に入ると少し後続を3,4馬身と離しにかかる。グルヴェイグは中団の内目にいたが、ここらあたりでやや外目に出し加減。馬場は回復して良馬場発表。そして流れが少し速い様に感じる。アグネスワルツのペースは1000通過が59.7であった。一番後ろにクリスマスキャロル。ブービーから2馬身ぐらい後ろだが、内ラチ沿いを追走している。3コーナーを過ぎてなおペースは上がる。スマートシルエットが外へ出して2番手へと上がる。

4コーナーに入る時は、馬群はかなり凝縮されてきた。グルヴェイグは中団のやや外目。最初からそこを狙ってるかの様だ。エリンコートは少し反応が悪い。前ではスマートシルエットがアグネスワルツをかわして先頭に立ち加減で直線に入ってくる。しかし後続の追撃がもうそこまで来ていた。
シースナイプがスルスルと前へ出て先頭で残り1ハロンに入る。しかしそれをグルヴェイグがアッサリとかわして行く。ウィリアムズJの右ステッキが2発入ってなお加速して行く。もう勝利の脚色だ。最後のさいごに外目を伸びてきたのが、メルヴェイユドールとさらに外をクリスマスキャロル。この2頭の伸びがなかなかシャープに見えた。その追い合いもクリスマスキャロルが最後に出て2着を確保。50キロの軽量でもあるが、後方で脚を貯めていた2頭。特にクリスマスキャロルは内々でコースロスなく廻って、4コーナー手前から外へ出してきての伸び。藤懸Jの会心の騎乗と言えよう。
かくして1番人気のグルヴェイグは圧倒的強さで勝ち、2番人気スマートシルエットはドンジリに敗れた。

エアグルーヴの子供グルヴェイグ。JRA-VANで馬名の意味で調べると《女神》とある。ウィキペディアで調べると、あまり宜しくない意味がいっぱい。いわゆる悪女の様である。
ルーラーシップが香港GⅠを勝った。そして今度は妹が重賞初制覇である。やはり偉大な牝系である。華麗なる一族と言える。これからますます悪女ぶりを発揮していくのであろう。秋を前に少し大人びてきた彼女。これからがもっともっと怖~いオンナになって行くのだろう・・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。