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ソーユーシンクが引退&エクリプスSはナサニエル…和田栄司コラム
2012/7/11(水)
5日、G1・10勝の戦績を誇るソーユーシンクが突然の引退を発表した。7日サンダウン競馬場のG1エクリプスSで引退のレースを走る予定だったが、5日の朝に大臀筋の肉離れが見付かり、大事を取って引退の発表となった。元々、豪州の種付けシーズンに合わせ、5歳の今月一杯で現役生活に終止符を打つ予定だったが早まった。代わりに7日に検疫に入り、豪州行きの準備に入る。豪州ではクールモア・オーストラリアで繋養され、初年度フィーは6万6000豪ドル(約540万円)と決まっている。
ソーユーシンクは豪州から期限付きで愛バリードイルの一員となった。豪州では09/10のコックスプレートを連覇、他にアンダーウッドS、ヤルンバS、マッキノンSを勝った。バリードイルに加わってからは、11/12のタタソールズゴールドカップを連覇、エクリプスS、チャンピオンS、そして記憶に新しいプリンスオブウェールズS勝ちがある。豪州でG1・5勝、バリードイルでG1・5勝は輝かしい戦績となった。
ニュージーランドで生産されたハイシャパラルの5歳牡馬ソーユーシンクは23戦14勝、2着4回、3着1回。母トライアシクはニジンスキー産駒のタイツを父に持ち、2000mのG2など6戦3勝の成績を残した。クールモアの総師ジョン・マグニア氏の息子でクールモア・オーストラリアのトム・マグニア氏は「エクリプスSを回避したのはとても残念だったが、彼のレーシングキャリアはとても素晴らしい。彼は最高の牝馬と繁殖生活に入り、これからもスタッドで輝き続けるだろう」とコメントしている。
ソーユーシンクの引退で4頭をエントリーしていたバリードイルは全て回避した。結局残ったG1馬5頭を含む9頭によって今年の第115回エクリプスS(芝10F7Y)は行われた。優勝は2番手からレースを運んだ2番人気のナサニエル。ウイリアム・ビュイック騎乗で直線に入り残り3ハロンから先頭に立って後続の追撃を半馬身凌いだ。昨年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSと同じレース振りだった。
残り2ハロンで2番手シティースケープの後ろは内からトゥワイスオーヴァー、クラッカージャックキング、ファーが並んだが、外からフランキー騎乗の1番人気ファーが鋭く伸びて2着、3着には2010年の勝馬トゥワイスオーヴァーが上がった。4番人気シティースケープは4着、3番人気クラッカージャックキングは5着、5番人気ボンファイアーは6着、ドバイワールドカップ以来の出走となった6番人気モンテロッソは8着と期待を裏切った。
ガリレオ産駒の4歳の牡馬ナサニエルは昨年のキングジョージ勝馬、これが今年のデビュー戦だった。通算成績は8戦4勝、2着3回。ジョン・ゴスデン調教師は連覇を狙ってキングジョージに向かうことにしている。既に現地入りしている日本ダービー馬ディープブリランテには強力なライバルの復活である。
さて、ニューマーケットでの検疫を終え、チャンピオン牝馬のブラックキャヴィアが、今朝11日の早朝、メルボルンに帰国した。1日遅れのスケジュールで、ピーター・ムーディー調教師がコーフィールドカップとメルボルンカップの為に準備した新しい僚馬ヴォワライシを同行しての帰国となった。
クイーンズランドのブリーダー、ジョン・ハセラー氏は、春のカーニバルで行われる両カップの為、イタリアのG1ステイヤーを過半数シェアする権利を獲得した。イタリアでローマ賞とミラノ大賞典、2つのG1を勝ったヴォワライシは、2010年のジャパンカップでローズキングダムの16着に終わったが、今年の5月から英エド・ダンロップ厩舎で調教されていた。フィットネスのレヴェルアップを保持し、今後はウェリビーでブラックキャヴィアと一緒に2週間の検疫を終えた後、更に強化されることになる。
またブラックキャヴィアの春のスケジュールについては、ロイヤルアスコットのダイアモンドジュビリーSの間に発症した筋肉痛からの回復にかかっている。
8月1日のサセックスSに向かうフランケル、その後は早ければ8月22日、英ヨーク競馬場で行われるG1ジャドモントインターナショナルで距離を延ばし、10月の英アスコット競馬場で行われるG1チャンピオンSに臨む予定。世界レーティング142の力、マイル&クォーター戦でも楽しみたい気持ちである。
愛ダービーを勝って5戦5勝のキャメロットは、8月22日、英ヨーク競馬場で行われる3歳牡馬/セン馬限定のG2グレートヴォルティジュールSを使うことになった。ここを使って9月15日の英ドンカスター競馬場で行われるG1セントレジャーに三冠制覇をかけて戦う。三冠馬誕生は、1970年のニジンスキー以来、凱旋門賞前はこの話題で一色となるだろう。
10日、ジョン・ポール・レダム氏が米ブラッドホース社のスティーヴ・ハスキン氏のブログの中で、日本のビッグ・レッド・ファームと交わしたアイルハヴアナザーの売却金を発表した。この中で1000万米ドル(約8億円)支払ったことが公になった。米国内では4分の1、あるいは5分の1の申し込みしかなかったようで、この額なら電撃売却は成立する。それにしても売却金も、サンデーサイレンスと同じとは、よくよく2頭は似ている。
海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。
ソーユーシンクは豪州から期限付きで愛バリードイルの一員となった。豪州では09/10のコックスプレートを連覇、他にアンダーウッドS、ヤルンバS、マッキノンSを勝った。バリードイルに加わってからは、11/12のタタソールズゴールドカップを連覇、エクリプスS、チャンピオンS、そして記憶に新しいプリンスオブウェールズS勝ちがある。豪州でG1・5勝、バリードイルでG1・5勝は輝かしい戦績となった。
ニュージーランドで生産されたハイシャパラルの5歳牡馬ソーユーシンクは23戦14勝、2着4回、3着1回。母トライアシクはニジンスキー産駒のタイツを父に持ち、2000mのG2など6戦3勝の成績を残した。クールモアの総師ジョン・マグニア氏の息子でクールモア・オーストラリアのトム・マグニア氏は「エクリプスSを回避したのはとても残念だったが、彼のレーシングキャリアはとても素晴らしい。彼は最高の牝馬と繁殖生活に入り、これからもスタッドで輝き続けるだろう」とコメントしている。
ソーユーシンクの引退で4頭をエントリーしていたバリードイルは全て回避した。結局残ったG1馬5頭を含む9頭によって今年の第115回エクリプスS(芝10F7Y)は行われた。優勝は2番手からレースを運んだ2番人気のナサニエル。ウイリアム・ビュイック騎乗で直線に入り残り3ハロンから先頭に立って後続の追撃を半馬身凌いだ。昨年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSと同じレース振りだった。
残り2ハロンで2番手シティースケープの後ろは内からトゥワイスオーヴァー、クラッカージャックキング、ファーが並んだが、外からフランキー騎乗の1番人気ファーが鋭く伸びて2着、3着には2010年の勝馬トゥワイスオーヴァーが上がった。4番人気シティースケープは4着、3番人気クラッカージャックキングは5着、5番人気ボンファイアーは6着、ドバイワールドカップ以来の出走となった6番人気モンテロッソは8着と期待を裏切った。
ガリレオ産駒の4歳の牡馬ナサニエルは昨年のキングジョージ勝馬、これが今年のデビュー戦だった。通算成績は8戦4勝、2着3回。ジョン・ゴスデン調教師は連覇を狙ってキングジョージに向かうことにしている。既に現地入りしている日本ダービー馬ディープブリランテには強力なライバルの復活である。
さて、ニューマーケットでの検疫を終え、チャンピオン牝馬のブラックキャヴィアが、今朝11日の早朝、メルボルンに帰国した。1日遅れのスケジュールで、ピーター・ムーディー調教師がコーフィールドカップとメルボルンカップの為に準備した新しい僚馬ヴォワライシを同行しての帰国となった。
クイーンズランドのブリーダー、ジョン・ハセラー氏は、春のカーニバルで行われる両カップの為、イタリアのG1ステイヤーを過半数シェアする権利を獲得した。イタリアでローマ賞とミラノ大賞典、2つのG1を勝ったヴォワライシは、2010年のジャパンカップでローズキングダムの16着に終わったが、今年の5月から英エド・ダンロップ厩舎で調教されていた。フィットネスのレヴェルアップを保持し、今後はウェリビーでブラックキャヴィアと一緒に2週間の検疫を終えた後、更に強化されることになる。
またブラックキャヴィアの春のスケジュールについては、ロイヤルアスコットのダイアモンドジュビリーSの間に発症した筋肉痛からの回復にかかっている。
8月1日のサセックスSに向かうフランケル、その後は早ければ8月22日、英ヨーク競馬場で行われるG1ジャドモントインターナショナルで距離を延ばし、10月の英アスコット競馬場で行われるG1チャンピオンSに臨む予定。世界レーティング142の力、マイル&クォーター戦でも楽しみたい気持ちである。
愛ダービーを勝って5戦5勝のキャメロットは、8月22日、英ヨーク競馬場で行われる3歳牡馬/セン馬限定のG2グレートヴォルティジュールSを使うことになった。ここを使って9月15日の英ドンカスター競馬場で行われるG1セントレジャーに三冠制覇をかけて戦う。三冠馬誕生は、1970年のニジンスキー以来、凱旋門賞前はこの話題で一色となるだろう。
10日、ジョン・ポール・レダム氏が米ブラッドホース社のスティーヴ・ハスキン氏のブログの中で、日本のビッグ・レッド・ファームと交わしたアイルハヴアナザーの売却金を発表した。この中で1000万米ドル(約8億円)支払ったことが公になった。米国内では4分の1、あるいは5分の1の申し込みしかなかったようで、この額なら電撃売却は成立する。それにしても売却金も、サンデーサイレンスと同じとは、よくよく2頭は似ている。
海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。
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