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米三冠レースから1ヶ月半が経ち[和田栄司コラム]
2012/8/1(水)
米三冠レースから1ヶ月半が経ち、3歳馬は真夏のダービー~G1トラヴァーズSを目指しての戦いに移った。二冠馬アイルハヴアナザーは三冠最終戦を前に電撃引退、三冠最終戦勝馬のユニオンラッグスも先月屈腱炎を発症して引退、3歳馬の頂点争いは振り出しに戻った感がある。その混沌とした中で、アルファとペインター、2頭の牡馬が主役に名乗りを挙げた。
28日、東部の避暑地サラトガ競馬場で行われたG2ジムダンディーS(D9F)を逃げ切ったのがゴドルフィンのアルファ。水が浮くスロッピー馬場を、クラブハウスターンから先手を奪い、半マイル通過49秒30、6ハロン通過1分14秒03、残り3ハロンを36秒44でまとめて逃げ切り、1番人気に応えた。道中3番手からレースを進めた、チャーチルダウンズ競馬場でアローワンスとG3マットウィンSを連勝して2番人気に推されたネックンネックが直線残り1.5ハロン過ぎに2番手に上がり残り1ハロンで半馬身差まで迫ったが、最後は突き放されて2馬身差2着。勝ち時計は1分50秒47だった。
バーナーディニ産駒の3歳の牡馬アルファは、2月のアケダクト競馬場でG3ウィザーズSを勝ったが、ケンタッキーダービーでは中団の後ろから伸びきれず12着に終わった。ここはそれ以来になる出走で通算成績は8戦4勝、2着2回。ケンタッキーダービー6着の後、地元ハリウッドパーク競馬場に戻ってポリトラックのG3アファームドS2着、G2スワップスS3着のリエイゾンとベルモントS3着のアティガンが3番人気に推されたものの、後方7番手から追い込んでネックンネックから2馬身差の3着、アティガンの方は6番手から伸びきれず6着、5番人気のティースオブザドッグは2番手から後退して4着に終わっている。
レースから1夜明けた次の朝、アルファのキアラン・マクラクリン調教師はゴドルフィンのレーシングマネージャーのサイモン・クリスフォード氏に連絡を取り、トラヴァーズS行きを決めた。「今朝は飼葉をペロリとたいらげ落ち着いている。昨日はとても重要な勝利で、我々は十分満足している」と話すマクラクリン調教師は、8月25日サラトガ競馬場で行われる本番に向けて2回調教を行う予定でいる。「彼は大型の重量級な馬ではないので、ハードな調教はしなかった。4週間あるので、11日と18日の2回、時計を出す予定にしている」と話した。
アルファはケンタッキーダービー以降レースに出ていなかったが、最高の状態を維持している。「ここまでは良い走りで、全て計画通りに行っている。ただハンセンやペインターが出てきたら、我々が先行することはない」とマクラクリン調教師は語った。
29日、ニュージャージーのモンマスパーク競馬場では3万5253人がG1ハスケル招待S(D9F)を見守った。6頭立ての人気はG1ベルモントSがクビ差2着のペインター、G1ウッドメモリアルS勝馬でケンタッキーダービー16着のジモロジスト、キーンランド競馬場でG1・2勝、ベルモントS7着以来となるドゥラハン、ハリウッドパーク競馬場のポリトラックでG2スワップスS2着のノニオスの順で続いた。
この日、ラファエル・ベハラーノ騎手と初のコンビを組んだペインターは、先行するジモロジストの半マイル通過48秒01のペースを1馬身半差の2番手から追走、バックストレッチから3コーナーに向かうところからプレッシャーをかけ、3コーナーを廻って6ハロンを通過したところで先頭に立った。後は差を広げて3馬身4分の3差の楽勝。2着にはペインターの内で3番手にいたノニオスが直線2番手に上がり追走したが、先行したジモロジストはしんがり負け、またドゥラハンは見せ場すら作れず5着に沈んだ。
ボブ・バファート調教師は、2010年のルッキンアットラッキー、2011年のコイルに続く3連覇、通算では2001年のポイントギヴン、2002年のウォーエンブレム、2005年のローマンルーラーなど、6回目の優勝になった。ペインターは3歳の2月にサンタアニタパーク競馬場でデビュー勝ち、2戦目となったG1サンタアニタダービーで3馬身4分の3差4着していた。チャーチルダウンズ競馬場のG3ダービートライアルSで1馬身半差2着の後、ピムリコ競馬場でアローワンスを勝ち、ベルモントS2着の後、7月4日から調教を再開していた。2010年キーンランドのイヤリングセールで32万5000ドルの価格でザヤット・ステーブルズに買われたペインターはこれで95万ドル以上を稼いだことになる。
この日競馬場に姿を見せなかったボブ・バファート調教師に代わり、ザヤット・ステーブルズのアーメッド・ザヤット氏は、ペインターはこの後カリフォルニアに戻ってトラヴァーズSに向けた調教の準備に入ることを明かした。尚、ザヤット・ステーブルズの馬でボブ・バファート調教師が管理する、ケンタッキーダービー/プリークネスSが共に2着のボーディマイスター、当初はハスケル招待Sを目指していたが、14日朝に熱発して回避することになった。今後は別の路線でブリーダーズクラシックを目標に調整して行くことになりそうである。また2歳チャンピオンのハンセンは、今週4日のマウンテニアー競馬場で行われるG2ウエストヴァージニアダービーでケンタッキーダービー9着以来3ヶ月振りに姿を見せることになっている。
海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。
28日、東部の避暑地サラトガ競馬場で行われたG2ジムダンディーS(D9F)を逃げ切ったのがゴドルフィンのアルファ。水が浮くスロッピー馬場を、クラブハウスターンから先手を奪い、半マイル通過49秒30、6ハロン通過1分14秒03、残り3ハロンを36秒44でまとめて逃げ切り、1番人気に応えた。道中3番手からレースを進めた、チャーチルダウンズ競馬場でアローワンスとG3マットウィンSを連勝して2番人気に推されたネックンネックが直線残り1.5ハロン過ぎに2番手に上がり残り1ハロンで半馬身差まで迫ったが、最後は突き放されて2馬身差2着。勝ち時計は1分50秒47だった。
バーナーディニ産駒の3歳の牡馬アルファは、2月のアケダクト競馬場でG3ウィザーズSを勝ったが、ケンタッキーダービーでは中団の後ろから伸びきれず12着に終わった。ここはそれ以来になる出走で通算成績は8戦4勝、2着2回。ケンタッキーダービー6着の後、地元ハリウッドパーク競馬場に戻ってポリトラックのG3アファームドS2着、G2スワップスS3着のリエイゾンとベルモントS3着のアティガンが3番人気に推されたものの、後方7番手から追い込んでネックンネックから2馬身差の3着、アティガンの方は6番手から伸びきれず6着、5番人気のティースオブザドッグは2番手から後退して4着に終わっている。
レースから1夜明けた次の朝、アルファのキアラン・マクラクリン調教師はゴドルフィンのレーシングマネージャーのサイモン・クリスフォード氏に連絡を取り、トラヴァーズS行きを決めた。「今朝は飼葉をペロリとたいらげ落ち着いている。昨日はとても重要な勝利で、我々は十分満足している」と話すマクラクリン調教師は、8月25日サラトガ競馬場で行われる本番に向けて2回調教を行う予定でいる。「彼は大型の重量級な馬ではないので、ハードな調教はしなかった。4週間あるので、11日と18日の2回、時計を出す予定にしている」と話した。
アルファはケンタッキーダービー以降レースに出ていなかったが、最高の状態を維持している。「ここまでは良い走りで、全て計画通りに行っている。ただハンセンやペインターが出てきたら、我々が先行することはない」とマクラクリン調教師は語った。
29日、ニュージャージーのモンマスパーク競馬場では3万5253人がG1ハスケル招待S(D9F)を見守った。6頭立ての人気はG1ベルモントSがクビ差2着のペインター、G1ウッドメモリアルS勝馬でケンタッキーダービー16着のジモロジスト、キーンランド競馬場でG1・2勝、ベルモントS7着以来となるドゥラハン、ハリウッドパーク競馬場のポリトラックでG2スワップスS2着のノニオスの順で続いた。
この日、ラファエル・ベハラーノ騎手と初のコンビを組んだペインターは、先行するジモロジストの半マイル通過48秒01のペースを1馬身半差の2番手から追走、バックストレッチから3コーナーに向かうところからプレッシャーをかけ、3コーナーを廻って6ハロンを通過したところで先頭に立った。後は差を広げて3馬身4分の3差の楽勝。2着にはペインターの内で3番手にいたノニオスが直線2番手に上がり追走したが、先行したジモロジストはしんがり負け、またドゥラハンは見せ場すら作れず5着に沈んだ。
ボブ・バファート調教師は、2010年のルッキンアットラッキー、2011年のコイルに続く3連覇、通算では2001年のポイントギヴン、2002年のウォーエンブレム、2005年のローマンルーラーなど、6回目の優勝になった。ペインターは3歳の2月にサンタアニタパーク競馬場でデビュー勝ち、2戦目となったG1サンタアニタダービーで3馬身4分の3差4着していた。チャーチルダウンズ競馬場のG3ダービートライアルSで1馬身半差2着の後、ピムリコ競馬場でアローワンスを勝ち、ベルモントS2着の後、7月4日から調教を再開していた。2010年キーンランドのイヤリングセールで32万5000ドルの価格でザヤット・ステーブルズに買われたペインターはこれで95万ドル以上を稼いだことになる。
この日競馬場に姿を見せなかったボブ・バファート調教師に代わり、ザヤット・ステーブルズのアーメッド・ザヤット氏は、ペインターはこの後カリフォルニアに戻ってトラヴァーズSに向けた調教の準備に入ることを明かした。尚、ザヤット・ステーブルズの馬でボブ・バファート調教師が管理する、ケンタッキーダービー/プリークネスSが共に2着のボーディマイスター、当初はハスケル招待Sを目指していたが、14日朝に熱発して回避することになった。今後は別の路線でブリーダーズクラシックを目標に調整して行くことになりそうである。また2歳チャンピオンのハンセンは、今週4日のマウンテニアー競馬場で行われるG2ウエストヴァージニアダービーでケンタッキーダービー9着以来3ヶ月振りに姿を見せることになっている。
海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。
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