シャーガーカップ詳報[和田栄司コラム]

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11日、英アスコット競馬場で行われた第13回シャーガーカップは、シルヴァーサドル賞に輝いた香港マシュー・チャドウィック(蔡明紹)騎手の大活躍で、武豊騎手がキャプテンを務める世界選抜チームが優勝した。

世界選抜チームは合計89ポイントを獲得、次点のフランキー・デットーリ騎手がキャプテンを務める欧州選抜チームの55ポイントを大きく上回った。ヘイリー・ターナー騎手をキャプテンとする女性選抜チームは54ポイント、キーラン・ファロン騎手をキャプテンとする英愛選抜チームは8ポイント差の46ポイントに終わった。

マシュー・チャドウィック騎手は香港2008/2009シーズンのチャンピオン見習い騎手。最初の3つのレースは、16/1、16/1、7/1の人気薄にも拘らず、後方からの追い込み、先行、前々からのレースで連続2着、最後のスプリントでは先行策から押し切って45ポイントを獲得、優勝を飾った。ヘイリー・ターナー騎手は、勝利レースこそなかったが26ポイントで第2位。2戦目の5ハロン戦を勝った欧州選抜のクリスチャン・デムーロ騎手が25ポイントで第3位。武豊騎手が24ポイントで第4位。5戦目の10ハロン戦を勝った世界選抜チームのもう一人、米国のアーロン・グライダー騎手は2009年のドバイワールドカップをウエルアームドで優勝したジョッキー、20ポイントを獲得して第5位だった。

マシュー・チャドウィック騎手は、昨年暮れのG1香港カップをカリフォルニアメモリーとパートナーを組んで優勝した。「シルヴァーサドル賞を取れるなんてとても嬉しい。これは生涯でも最良の瞬間で、最後に勝てたことを光栄に思っています。ミンスはスタートも良く、道中も抜群の手ごたえで、残り2ハロンで負けないと思いました。この後も数週間英国に滞在、次のシーズンの準備をここでするつもりです」と話した。

武豊騎手は輝かしいディープインパクトの騎手として英国でも知られている。第1レースで除外の憂き目にあったが、2レース以降、5着、3着、2着、7着とポイントを積み重ねた。「私はとてもハッピーです。オリンピックの年に来れて、金メダルを取れたのですから。今日は楽しい1日でした。自分としては1勝も挙げることが出来ませんでしたが、チームが優勝出来て良かったです。来年も是非参加したいと思いますので、また世界選抜チームの1員に選ばれるよう頑張って行きたいと思います」とコメントした。

マシュー・チャドウィック騎手は22才の若いジョッキーである。香港ではカリフォルニアメモリーとのコンビで昨年の香港G1香港ゴールドカップを勝ち、他に香港のグループ競走を6勝している。香港がシーズンオフの現在、8月1日から英国で騎乗を始め、シャーガーカップの翌日にはフォークストーン競馬場でチャールズ・ヒルズ厩舎のコンプレキシティで2勝目を飾った。

今年のシャーガーカップはチーム毎に勝負服が色分けされ、世界選抜は黄色だった。3人の騎手が揃うと帽子や袖に黒で工夫が凝らされ、とても見やすかった。来年に繋がるシャーガーカップだったように思える。



海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。