スマイルジャックの『不思議な縁』

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新馬戦で鮮烈な差し切り勝ち、スプリングSでは果敢な先行策で待望の重賞制覇、競馬の祭典・日本ダービーではハナ差の2着に泣いたが、当歳の頃の事情を考えれば充実の3歳春だった。

スマイルジャックのオーナーは、あのジャングルポケットでお馴染みの齊藤四方司氏。実はこのスマイルジャックが斎藤オーナーの持ち馬になるまでには不思議な縁があったそうだ。

ジャックの生まれ故郷、上水牧場の1歳年上のクロフネ産駒をセレクトセールで購入したのだが、この馬が放牧場で他の馬と衝突事故を起こして、右肩を脱臼するという予後不良診断の重症を負ったために、オーナーの手を離れる事になった。そのために、牧場はこの馬の代わりとして、ビリーヴの下でダンスインザダーク×グレートクリスティーヌの牡馬を薦めてきたが、等価交換という形だったので、オーナー側の目に留まらず、代わりに見せられた数頭の中から選び出されたのが、スマイルジャック(小桧山厩舎)とスノークラッシャー(清水利章厩舎)の2頭だった。
この2頭でクロフネ産駒の仔の購入価格と同じだったのだ。
牧場側の評価の低かった、この2頭を選び出したことに牧場側は当初は面喰ったそうだ。それもそのはず、ビリーヴはサンデーサイレンス×グレートクリスティーヌの産駒で28戦10勝し高松宮記念、スプリンターズSの勝ち馬だったのだ。選び出された2頭のこれまでの結果はスマイルジャックがこの活躍、スノークラッシャーも遅まきながら今後も出世していきそうな勝ち方で2勝を挙げた。

齊藤オーナーの馬運の良さもさることながら、この出会いには『不思議な縁』を感じる。
牧場の事故にあった馬は、清水利調教師のところに入る予定の馬だったから本来なら、ジャックは清水利厩舎に入り、クラッシャーが小桧山厩舎に入ったはずだから、これから先、この2頭がどのような争いをして、どのような活躍をしていくのか、興味が持たれる。
ジャックの秋の2戦は、クラシックを意識せざるを得ない状況で神戸新聞杯と菊花賞を使ったが「本質的には1800~2000くらいがベストでしょう。今思えば天皇賞の方が合っていたかもしれませんね。今度はマイル戦なので、少なくとも菊花賞よりは良いと思います」と、当サイトコラムでお馴染みの山本剛先生は語っていた。
菊花賞の反動は心配だが、今度は慣れた美浦での調整、いい競馬を見せて欲しいところだ。
(もちろん今後のスノークラッシャーも注目だ。)