黄金船は沈まない 名手に導かれゴールドシップが復権!G1・5勝目!

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G1勝利数、総獲得賞金は歴代トップに登りつめたゴールドシップ

14年6月29日(日)、3回阪神8日目11Rで第55回 宝塚記念(GⅠ)(芝2200m)が行なわれ、横山 典弘騎手騎乗の1番人気・ゴールドシップ(牡5、栗東・須貝尚厩舎)が優勝。勝ちタイムは2:13.9(良)。

2着には3馬身差で9番人気・カレンミロティック(セ6、栗東・平田厩舎)、3着には8番人気・ヴィルシーナ(牝5、栗東・友道厩舎)が続いて入線した。
ゴールドシップと人気を分けあったウインバリアシオン(牡6、栗東・松永昌厩舎)は7着、ジェンティルドンナ(牝5、栗東・石坂厩舎)は9着、メイショウマンボ(牝4、栗東・飯田祐厩舎)は11着に終わっている。

天皇賞のショッキングな敗戦を払拭。ゴールドシップが連覇を決めた。

「ファン投票1位のプレッシャーもあったし、勝ててホッとした。メジロライアンでこのレースに勝てたときと同じくらい嬉しいよ」

中央G1は23勝目となる大ベテランも、胸を撫で下ろすかのように笑みを浮かべた。そのプレッシャーも単なる人気馬でも、G1馬でもない。ゴールドシップだったからこそ、であろう。
前走の天皇賞では枠入りで暴れ、出遅れ。昨秋はまさかのスランプで3連敗。苦難の末に横山典弘騎手へバトンを託された。

「どの馬もそうだけど、初対面で理解し合うのは大変。人同士もそうでしょ。3週間、調教に跨らせてもらい、コミュニケーションを深めた。これまでの成績が示す通り、能力はあるんだし、まともに走れるかに尽きるからね」

関東の大ベテランは3週間にわたり、栗東トレセンに赴き、コンタクトをとることに務めた。調教の段階でも「(馬に)お願いする立場」と語ったように、一筋縄ではいかない様子を感じさせたが、それでも、この中間の過程は実を結んだといえる。

「体調面に関しては良かったと思うし、厩舎スタッフと話し合い、馬の気持ちに配慮してソフトな仕上げをした。少し重いのかなって感じたが、賢い馬だよ。体重が発表になってマイナスって出たとき、そう思ったなぁ。
あれこれ押し付けても言うことを聞くタイプじゃない。こちらからお願いして、でも、好き放題にさせず、レースに向えた。馬場入りで1回、跳んだけど、すぐに立ち止まり、ご機嫌なのかと感じたよ。その場、その場のポイントで首筋に触れたり、対話したりして、馬の気分を探ってみた。そうしたひとつひとつがうまくいったね」


レースではゆったりとゲートを出ると、スタンド前で促されることなく徐々に加速。4番手付近を追走する。直線では他馬が良馬場発表以上に重い馬場に苦しむ中、直線では水を得た魚のごとく、スイスイと脚を伸ばす。終わってみれば、後続を突き放して、3馬身差の圧勝。力の違いをみせつけた。

「ゲートの後ろで嘶いたし、まだ子供っぽいところがある。スタートはやはり速くはなかったが、前目のポジションを取りに行けた。外枠だったのが良かった。下が悪いから、直線もそう伸びている感じはなかったね。こちらは必死。でも、馬はケロっとしていて、最後までしっかり走ってくれたよ」

最高の形で上半期を締めくくったG1・5勝馬。気になるのは今後の動向だろう。既に10月5日の凱旋門賞(G1)に一次登録を済ませているが、「今後に関しては、オーナーと相談してから」と須貝尚介調教師は名言を避けた。

「スタッフがしっかりやった成果。走るのは馬だから、その日によっては気に入らないこともあるだろうが、とにかく無事にいってくれれば。そう願うだけだよ」

横山騎手は締めくくったが、これで芦毛馬としては、自身の母の父であるメジロマックイーンを抜いて、歴代トップのG1勝利数、総獲得賞金数に。芦毛の怪物が遂に海を渡る日が来るのか、今後の動向に目が離せない。


【須貝尚介調教師のコメント】
「宝塚記念の連覇は初とのことだけど、意識はしていなかったよ。この馬の力を発揮させることだけ考えていた。
調教過程から、僕が考えていることと、ノリちゃんの意見が食い違うなど、まったくなかった。ゲートでちゃんと駐立したときに大丈夫だと感じたね。ゴールドシップとノリちゃんが話をしているのが、レース中も伝わってきた。すべての思いが完全に一致。『人馬一体』という言葉を、改めて思い起こされる勝利だったよ。

阪神の馬場も絶好。装鞍所で雨乞いのダンスをしたら、ちょっと降ってくれたしね。ファンの声援もゴールドシップに伝わった。ファン投票してくれたり、応援してもらったことに感謝したい。

今後に関しては、オーナーと相談してから。ストレスがかかる競馬はしていないので、アフターケアも楽だと思うよ。しっかり体調を整え、また強いゴールドシップをお見せしたい」

ゴールドシップ
(牡5、栗東・須貝尚厩舎)
父:ステイゴールド
母:ポイントフラッグ
母父:メジロマックイーン
通算成績:19戦11勝
重賞勝利:
13~14年宝塚記念(G1)
12年有馬記念(G1)
12年菊花賞(G1)
12年皐月賞(G1)
13~14年阪神大賞典(G2)
12年神戸新聞杯(G2)
12年共同通信杯(G3)