ポルトフォイユが5馬身差で初陣を飾る

ポルトフォイユ

15年6月28日(日)3回阪神8日目5R 2歳新馬(芝外1800m)

ポルトフォイユ
(牡2、栗東・高野厩舎)
父:ディープインパクト
母:ポルトフィーノ
母父:クロフネ

2歳新馬の結果・払戻金はコチラ⇒

やっと勝った1番人気馬。関西で行われた2歳新馬戦。初日のトウショウジャイロの1.4倍から始まった圧倒的な1番人気馬でも勝ち上がれていなかった。やっと開催最終日に、ポルトフォイユが直線だけで5馬身と、後続をちぎっての快勝となった。
レースはウインクレドの快速ぶりに圧倒される4角までだったが、3角過ぎに2番手に上がったポルトフォイユがしっかりと末脚をまとめたもの。2着のレッドヴェルサスから4馬身差でディトが3着と、大味な競馬であった…。


朝から人が多い。パドック廻りがいつもと違う。そして新馬戦の時間となると、昼と思えないほどに集っていた。パドックにこれぐらい興味を感じてくれるのが嬉しい。
馬はまず見る事から始まる。芝の傾向は、発表以上に悪いとジョッキー達が言い続けている。どうやら内はかなり悪く芝が掘れて後ろへ飛んでいくほど。差しにくい馬場でもある様だ。
そんな中、スタートからどんどんと前に出て行ったのがウインクレド。稽古ではCW81秒台が出るほどの仕上がりで、3番人気の支持を受けていた。
ゲートが開いて、ポルトフォイユも悪くないスタートだ。そのウインクレドを追う様にショーストームが続く。レッドヴェルサスにディト、そして行き脚のついたサクレメジャーと前を構成していく。ウインクレドの逃げは貯める事もなく、どんどんと加速していく。2番手のショーストームとの差がみるみる広がっていく。

2Fを過ぎるあたりで2番手には外からレッドヴェルサスが、内のショーストームを交して上がる。もう前との差は何馬身とかの単位ではない。レースを見ながら、家に帰ってビデオで見る時にどれくらいの差で通過したのかを計測してやろうと考える。
前半3Fを過ぎるあたりで、2番手のレッドヴェルサスと3番手ショーストームとの差がこれまた4馬身ぐらい開く。ポルトフォイユがショーストームの外へ上がってきている。その後ろはほとんど団子状態で、ドンジリのゴッドカリビアンまでは3馬身もないぐらいか。

3角を過ぎるあたりのハロン棒で計測すると、1.6秒差。次のラスト800のハロン棒では1.8秒近い差があった。1000m通過が59.2は、いくらなんでも速すぎるラップだ。でも実際にライブで観ている時には穏やかな気持ちにはなれない。離され過ぎだ・・・と。そのハロン棒を過ぎて少ししてからポルトフォイユはレッドヴェルサス、ショーストームを抜いて2番手に姿を現す。4角を廻る時に先頭のウインクレドは、肩ムチを入れているのが後で判る。だいぶ手応えがなくなっていたのだろう。

4角を廻って直線で全馬が見える。ウインクレドはやや外へ逃げ気味なのかバテてたのか、少しヨレ気味。その動きを見ながら、それでもそのまま外へ進路をとる武豊Jのポルトフォイユ。内へ入るレッドヴェルサス。ビデオを見ていても、内のレッドヴェルサスが前を捕えて先頭に立った様に見える。
ポルトフォイユの方が後からそれを抜いた様に、内外離れての2頭の追い合い。だが徐々に外のポルトフォイユが前に出て行く。バテたウインクレドを抜いて、ディトが3番手に上がった。
結局、ポルトフォイユとレッドヴェルサスの差は5馬身あった。前半3Fが35.1、1000m通過が59.2で、1200通過が勝ち時計に近い1.11.7である。ゴール前最後の1Fが13.1とかなり時計を要しているのが、このレースを物語る。

レース後の感触も《馬場にノメったけれどもその時の対応が悪くない》と鞍上の弁である。派手さはないけれども、ちゃんと結果を出してくれたポルトフォイユ。兄では果たせなかったクラシックの夢を可能にしてくれるかも知れない。そんなデビュー戦での印象でありました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。