そうだ、今年はアメリカズカップの最終戦がある年だった!【平林雅芳の目】

アメリカズカップ

17年2/5(日)2回京都4日目11R 第57回きさらぎ賞(G3)(芝外1800m)

  • アメリカズカップ
  • (牡3、栗東・音無厩舎)
  • 父:マンハッタンカフェ
  • 母:ベガスナイト
  • 母父:Coronado’s Quest

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予報より早めに雨が落ちだす。それもけっこうシトシトと降って、馬場状態は良から始まった芝はどんどんと悪化が進む。最初の芝を使う5Rには『重』になっていた。内を通る馬が勝ってはいたが、やはり時計面がかかる。ひとつ前の1200芝でも1.10.0と、普段から2つぐらい遅い。
ゲートを出て、すぐにスズカメジャーが外へ逸走。タガノアシュラの単騎逃げで始まったが、4角を廻ってすぐに脱落。2番手を進んだプラチナヴォイスは、内へ凭れて矯正しながらでは前に進まない。3番手から脚を伸ばしてアメリカズカップが先にゴールへと向かう。サトノアーサーも良く終い足を伸ばしては来るが、ダンビュライトとの追い合いをやっと交わした程度。切れを削がれるコンディションでは、やむを得ない結果だったのだろう…。

メインまで芝は3つ。最初の芝2200芝は外枠の馬が勝ったが、道中は馬群の中で脚を貯め、直線外へ出しての勝ち。次いで6Rの2000芝の新馬戦は綺麗な逃げ切り。そして10R、1200芝の特別戦はこれまた逃げ切りで、2着も行った行った。これだけ見れば馬場の影響はなさそうに見えるが、ずっと使っていて芝はかなり悪くなってきている。
タガノアシュラの逃げだが、離し逃げを選択するかと思っていたがこれが意外と後ろに後続馬が付いてくる逃げ。36.5~49.0~1.01.6とユッタリの逃げとなる。それでもこれだけ楽に行けるなら余力を残して直線へと入ってくるはずが、あっと言う間に4コーナーを廻って脚が伸びなくなる。替わってプラチナヴォイスが先頭になるが、すぐに内ラチへとくっ付く。和田Jが左手綱を引っ張り右ステッキで追うが、それでもまだ内へ行こうとしているプラチナヴォイス。この先行した2頭が、自分の役目も果たさないまま脱落気味。3番手の外でジトっと乗っていたアメリカンズカップが、前へと出てくるのに何の迷いもなかった。

その後ろを追う様に、僚馬のダンビュライトが伸びていく。外から同じ様にサトノアーサ-が川田Jの大きなアクションで伸びて行くが、前を行くアメリカンズカップを上廻る伸びとはいかない。いくらかアメリカンズカップが前でフラついた様なPVでの映像。1頭になって馬に余裕が出来たのかも知れない。最後は1馬身と少しの差で、4戦目にして重賞制覇となった。馬体の12キロ減は、ビシッとやって絞れてきたものだろうと解釈できる。4戦3勝で、前回の朝日杯2歳Sは出遅れて参考外。レースセンスのいい馬なんであろう。 音無厩舎は、このレースの10分後に東京新聞杯でもブラックスピネルが逃げ切り勝ちと、ダブル重賞勝ちを収める。如月最初の週は、音無厩舎の独壇場であった。

勝ち時計の1.50.1と言う数字が、馬場状態を考えても遅い。こんなタイムでの決着はいつ以来なのか気になって調べてみた。今から19年前の第38回、スペシャルウィークが勝った時のタイムが1.51.3。これ以前だと、中京で施行していた時代の第26回のフミノアプローズ(土門厩舎・丸山勝秀騎手)まで遡るもの。重馬場となった京都芝、ひとつ前の1200芝でも1.10.0もかかっていたから、時計にして2つぐらい余計にかかる悪コンディションとなったのは言うまでもない。そしてアメリカズカップの馬名は当然にヨットのマッチレースである。

2017年7月に、バミューダにてアメリカズカップ最終戦でチームオラクルUSAと対戦する。2015年から始まる予選、第9戦目は福岡で2016年11月中旬にあったのをTVで観た。詳しい戦い方は知らないが、防衛のアメリカチームに挑むのはどこの国のチームなのか。いろんなスポーツがあるものだと観ていた。
そんな年に、サラブレットのアメリカズカップが先に名を馳せる。もちろん、オーナーサイドはその事を意識したネーミングなんであろうと思える。 火曜朝に、音無師に聞こうと思って坂路へ行ったら、今朝はいないとのこと。ミッキーアイルの展示があるから北海道へと行っているそうで、残念ながら教えて貰うのは今度にしたいと思う。
競馬っていろんなファクターが絡まっているのであるが、もっと前から興味を持って調べておけばと悔やんでも、後の祭りなんであります…ハイ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。