研究員ヤマノの重賞回顧

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7/8日(日)、福島競馬場で行われた、サマー2000シリーズ第1戦・七夕賞(3歳上、G3・芝2000m)は、後方からレースを運んだ後藤浩輝騎手騎乗の6番人気サンバレンティン(牡6、栗東・佐々木晶三厩舎)が、最後の直線でインから鋭く差し脚を伸ばして、大外を強襲した2番人気アドマイヤモナークを1.1/4馬身退けて快勝。
勝ちタイムは2分00秒3(良)。さらに3/4馬身差の3着には3番人気ユメノシルシが入った。
なお、上村騎手騎乗の1番人気ヴィータローザは4着に敗退した。
レースは、1コーナーまでにストーミーカフェがジワッとハナに進出して単騎逃げの展開に持ち込んだ。
しかし最終コーナーあたりで早めに後続に吸収され、最後の直線は激しい叩き合いとなった。
その中で最速の末脚を繰り出して栄冠に輝いたのは、意外にも内目をすくったサンバレンティンだった。
福島も最終週となり馬場の内側は確かにかなり荒れていて、騎手は最後の直線では外よりに進路を取るのが、もはや当たり前になっていた。
そんな中で、内目のコースを選びサンバレンティンを優勝に導いた後藤Jの騎乗は、まさにファインプレイだったと言えよう。
もちろんサンバレンティン自身が荒れた福島コースを得意としていたことも、今回の勝利の大きなファクターだったかもしれないが、最後の直線で後藤Jが外よりの進路選択していたら、今回の優勝の行方はどうなっていただろうか。
“今の福島の直線は外よりを選べ”という常識からの逸脱ともいえる後藤Jの好騎乗が、勝利をもたらしたといっても過言ではないだろう。
いつの時代も、こうした“常識からの逸脱”が新しい道を切り開くターンニングポイントとなるものである。

同8日(日)、阪神競馬場で行われたプロキオンS(3歳上、G3・ダート1400m)は、蛯名正義騎手騎乗の1番人気ワイルドワンダー(牡5、美浦・久保田貴士厩舎)が、後方追走から末脚を伸ばし、2番人気リミットレスビッドに1.1/4馬身差をつけ優勝した。
勝ちタイムは1分22秒7(良)。 さらに1.1/2馬身差の3着に9番人気ドンクールが入線。
レースはトシザヘネシーが二の脚を使って果敢にハナに立つも、先団を形成する4頭が競り合う、先行勢には厳しい速い流れとなった。
差し勢には願ってもない格好の展開だ。
こうなると、最後の直線で台頭してくるのは当然、差し・追い込み勢。
その中で余裕の脚取りで突き抜けたのは、やはり人気のワイルドワンダーだった。
人気馬の快勝で的中馬券を手にした諸兄も多いこととおもうが、忘れてはいけないことがある。
それは『調教』だ。
1番人気ワールドワンダーは栗東で追い切られて猛タイムを記録していた。
3着のドンクールにしても、直前の追い切りはかなり手応えが感じられる好内容のものだった。
馬には調教内容が本番に結びつきやすいタイプとそうでないタイプがいる。
その見極めは簡単なことではないのだが、確かなことは“好内容の調教を見せていた馬”が、得てして穴をあけることが多い。
調教内容を全て鵜呑みにすると痛い目を見ることもあるが、馬券術としては調教が良かった馬は必ず抑えておく必要があるだろう。
たかが稽古といって侮ってはいけない。
固定観念や偏見にとらわれず、それまでの成績を度外視して馬券を購入しておこう。
実績とかにこだわりすぎると、なかなか穴馬券は買えるものではない。
“調教重視で馬券を買う”
少し地味かもしれないが、結局はこれが頼りになる馬券術なのかもしれない。