【高松宮記念】"兄弟対決"を制す!トウシンマカオは『面白い馬』!?

前走4着から巻き返しを狙うトウシンマカオ

前走4着から巻き返しを狙うトウシンマカオ


■高松宮記念
トウシンマカオ(牡4、美浦・高柳瑞厩舎)
佐藤二朗調教助手

——佐藤さんはトウシンマカオの調教パートナーをデビュー前から担当されていますが、最初の頃はどのような感じでしたか。

佐藤助手(以下、佐):2歳なのでまだ緩いのは当たり前ではありますが、ハミに乗っかって走るような感じでした。それでいて前進気勢が強いので、かかってしまうんですよね。角馬場で抑えるのが本っ当にしんどかったです。

ウチの厩舎では基本的にエッグバミという当たりの柔らかいハミを使いますが、トウシンマカオは厩舎に来て数日調教で乗っただけで、水勒ハミという一般的なハミに替えました。

——それによってどのような効果が。

佐:エッグバミより当たりが強くなって、操作性が上がります。そのハミに替えて、ハミに乗っかってきたら体を起こすという動作を繰り返してフォームを改善していくうちに、トモに力が付いてきました。

折り合いは不安材料でしたが、追い切り時計は出ていたし気は良いタイプので初戦からやれるだろうと思っていました。最初はマイル路線を狙っていたので、新潟1600でデビューして。

——見事デビュー勝ちをおさめました。

佐:そうですね。ただ新馬は能力だけで勝ったようなものでしたし、競馬でもかかるし追い切りでもかかるという状態だったので、新馬勝ちした後は角馬場で口向きを作るところからやり直しました。

円運動をすることでトモに力が付いてしっかり踏み込めるようになってきましたし、操作がしやすくなってハミに乗っかからなくなったり、こちらが教えたことを学べる頭の良さがある馬です。

——そうやっていろいろ教えたことを吸収しながら成長していったと思いますが、特に良くなってきたなと感じた時期はありますか。

佐:NHKマイルカップの後くらいですかね。工夫して調整をしながら2歳、3歳春シーズンを戦って馬もよく頑張ってくれましたが、マイルでは持ちませんでした。ずっと乗ってくれていた戸崎騎手も「短い方が良いかも」と話していました。

ただそのマイルカップの後辺りから、攻め馬で乗りやすくなってきたんですよね。馬自身が良くなってきたこともあると思いますが、これまで教えてきたことが実になってきていると感じました。

——これまでのベストパフォーマンスはどのレースだと考えられますか。

佐:それはもう京阪杯ですね。初めて1200を使ったキーンランドカップも楽しみにしていましたが、大外枠で可哀想な競馬になってしまいましたからね。

ただあれで1200の重賞でもやれる自信がつきましたし、京阪杯のときは僕が「これで負けたら助手を辞める」って思ったくらいデキが良かったですから。結果については「やっぱり。ほらね」って感じですよ(笑)。

——自信通りの結果で(笑)。では高松宮記念に向けてですが、前走シルクロードステークスは4着でした。

佐:あのときは1週前追い切りで鮫島騎手に乗ってもらいましたが「少し緩いかな」という話をしていました。そういうところも結果に繋がったかと思います。今回も1週前追い切りに乗ってもらいましたが「今までで1番折り合いがついて乗りやすかったし、その分終いも切れました」と話していました。

絶好調だった京阪杯を基準とするともう少しという感じですが、レース当該週もジョッキーに乗ってもらう予定なのでそれで更に上がってくると思います。

★

——他にこの中間の調整で気を付けていることはありますか。

佐:この中間は普段の調教内容も強化しています。今は折り合い面が良くなっているので、角馬場のフラットワークの量を減らして坂路2本やるようにしたり、コースで長めに乗るようにしたりしています。

以前ならかかってしまってこういう調教は出来なかったと思いますが、今はこれだけしっかり負荷をかけてもカイ食いが落ちず体も保てているので、上積みもあるでしょう。レースでは枠順がポイントになるでしょうね。キーンランドからやけにピンクのヘルメットを被ってばかりいるような気が…(苦笑)。

——佐藤さんは楽しそうにトウシンマカオのことを話しますね。

佐:面白い馬ですよ。気持ちのオンオフがハッキリしていて。調教で馬場に向かうときはイヤイヤという感じなのに、いざ馬場の近くになると行くぞ行くぞって感じで。「とっとと終わらすぞ!」くらいの勢いで(笑)。真面目なんでしょうね。

——そんなトウシンマカオと臨む高松宮記念に向けての意気込みを。

佐:それはもう「勝ちたい」のひと言です。克駿も「この馬は短距離路線の主役を張れる能力がある」って言ってくれてるんで、それを証明したいです。

あと、すごく個人的なことなんですけどウインマーベルに勝ちたいですね。担当者が僕の兄なんで。以前は伊藤正厩舎でエアデジャヴーとかエアシェイディとか走る馬をたくさん担当していて、今は深山厩舎にいるんですよ。お兄ちゃんの馬に勝ちたいな(笑)。