毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【スプリンターズS】3着に食い込む穴馬に要注意!
2017/9/25(月)
1967年に芝のハンデ競走として創設、1984年のグレード制導入に伴いG3に格付けされ、1987年にG2に、そして1990年にG1へと格上げされた。かつては暮れの名物重賞だったが、2000年より施行時期が秋の中山最終週に移り、今や秋のG1開幕戦としてすっかり定着している。今年は連覇を狙うレッドファルクスをはじめ世界も注目する一戦をデータから紐解きたい。
※2014年は中山競馬場の改修工事のため、新潟競馬場で施行。
臨戦過程は様々!
[前走レース]出走頭数が圧倒的に多いこともあるが、サマースプリントシリーズ最終戦のG2セントウルS組が1~3着をそれぞれ4回ずつ。本番の前のステップレースとしても重要な役割を果たしていて、まずここから臨む馬は精査が必要。ただし、この時期に施行時期が変わって本番と連勝した馬は2002年のビリーヴのみ。この年のスプリンターズSは新潟競馬場で行われている。
アベレージで双璧なのは少し間隔が開くキーンランドC組で2勝、2着3回、3着5回。北九州記念組も2勝を挙げている。
過去10年注目データ
[前走着順]前走から連勝を果たした馬は3頭。昨年はCBC賞を勝って挑んだレッドファルクスが見事に連勝でG1ホースの仲間入りを果たした。
前走で掲示板を外しながら大一番で巻き返してきた馬は8頭と意外に多い。特徴を挙げると13年3着のマヤノリュウジンを除けば、重賞勝ちもしくはG1で入着の実績を持っていた。
[枠順]過去10年で7枠が3勝、8枠が2勝と外めの枠がやや優勢。特に7枠は20頭のうち8頭が馬券絡みを果たしている。
馬番別では「7」「10」「13」が2勝ずつ。馬券絡みがないのは「8」「11」で、2014年に新潟競馬場で行われた時に18頭立てとなったが、「18」のスノードラゴンが勝利し、「17」のサンカルロは10着に敗れている。
[脚質]4コーナーを先頭で回った馬は3勝、2着3回。例年、決してペースが緩い訳ではないのだが、積極的な競馬をした馬が好結果を残している。一方で、中団を追走して脚を溜めていた馬も4勝と勝ち切るには決め手も必要。いずれにせよ、最高峰のG1らしくスピードに加えて持続力も要求される。
3着の穴馬を見逃すな!
1番人気は3勝、2着2回。2番人気は1勝ながら2着が5回。そして3番人気は3勝、2着1回と、1~3番人気の連対率はそれなりに高い。面白いのは3着に4番人気以内の馬が1頭もいないことで、実に8頭が6番人気以下の人気薄。本命党でも3連系のヒモは手広く考えたい。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 3-2-0-5 | 30.0% | 50.0% | 50.0% |
2番人気 | 1-5-0-4 | 10.0% | 60.0% | 60.0% |
3番人気 | 3-1-0-6 | 30.0% | 40.0% | 40.0% |
4番人気 | 0-0-0-10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
5番人気 | 0-0-2-8 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 1-1-7-31 | 2.5% | 5.0% | 22.5% |
10番人気~ | 2-1-1-66 | 2.9% | 4.3% | 5.7% |
近年は東の風!?
過去10年で関西馬が1~3着をそれぞれ7回ずつ。数の上では圧倒しているのだが、近3年は14年にスノードラゴン、昨年はレッドファルクスが勝ち、15年は2~3着が関東馬。アベレージも詰まってきており、風向きは変わりつつある。
ジョッキーの方も美浦所属が3勝を挙げているのだが、こちらのアベレージはまだまだ西が優勢となっている。
[キャリア]キャリア30戦以上の馬も2勝を挙げているが、アベレージが高いのは20戦以下のキャリアで臨む馬。特にキャリア11~15戦の馬は複勝率47.1%と半数近い馬が複勝圏に飛び込んでいる。昨年1着のレッドファルクス、2着のミッキーアイルはともに17戦のキャリアだった。
[乗り替わり]過去10年、乗り替わりで連対したのは07年の勝ち馬アストンマーチャンのみ。昨年は3~5着馬が乗り替わりだったが、過去のデータからは乗り替わりは大きなマイナスといえる。
[当該コースの騎手成績]2012年以降に行われた中山芝1200mで最も多くの勝鞍を挙げているのは16勝の横山典騎手。この春も2勝を挙げて巧者ぶりを見せ付けている。以下、戸崎騎手が14勝、北村宏、蛯名騎手が9勝、田辺、柴田善騎手が8勝とベテランの名前が目立つ。
栗東所属ではM.デムーロ騎手が6勝、C.ルメール騎手が5勝、武豊騎手が3勝を挙げ、M.デムーロ騎手は単勝回収率が149%に達する。
[馬体重]勝ち馬の最高体重は10年ウルトラファンタジーの540キロ。最低体重は09年ローレルゲレイロの460キロで、これが連対馬の最低馬体重にもなる。直線に急坂があるタフな中山コースで、460キロ未満の軽量級は苦戦している。
[距離実績]過去10年で3着以内に入った25頭のうち、11年3着のエーシンヴァーゴウ以外は1400m以上の距離で連対実績を持っていた。スプリント戦といえど、G1で好走するには相応のスタミナ、底力が必要。
[種牡馬]過去10年で複数の勝ち馬を出している種牡馬はクロフネ、アドマイヤコジーン、キングカメハメハ。このうちクロフネ、キングカメハメハはカレンチャン、ロードカナロアという強力なリピーターがいた。
ディープインパクトはサクラバクシンオー(23頭)、フジキセキ(13頭)に次ぐ、のべ8頭の産駒を送り出しているが、2着と3着が1頭ずつで、まだ勝ち馬は出ていない。また、ダイアナヘイローの父キングヘイローはローレルゲレイロとマヤノリュウジンが2回ずつ出走。前者は09年に1着、後者は13年に3着となっている。
5頭のG1ホースに、夏の上がり馬、いぶし銀のベテランと興味深いメンバーが揃った秋のG1シリーズ開幕戦・スプリンターズS。データ面から推奨したいのは、決して多くない臨戦過程から2頭の勝ち馬が出ている北九州記念組から、4連勝で勢いに乗るダイアナヘイロー。充実期を迎え、抜群のレースセンス、更にこのレースと相性がいいキングヘイロー産駒というのも魅力。北九州記念を経て勝った2頭がともに牝馬だったというのも追い風になる。