目覚めた個性派ナムラビクター 惜敗続きにピリオドを
2015/1/18(日)
2015年の緒戦は万全の態勢
-:前走と同じ舞台で行われる東海Sですが、今日(1/15)の追い切りはいかがでしたか?
斎:まずまずです。今日の馬場で56くらい(坂路で4F56秒)出ています。
-:この馬を調教で判断しようとする方が間違いですか?
斎:この馬自体がけっこう神経を使うんです。競馬場に行ったりすると、けっこうピリピリしていて、何もできない状態なので、そういうところで判断しています。今日は落ち着いているな、イレ込んでいるなと。やるだけの事はやっているので、あとは馬がどれだけ気分良く走れるかだと思いますね。
-:案外、この馬は外枠でも問題なかったのですね。
斎:問題ないと思います。
-:それだけ力がありますから、内枠でゴチャゴチャするよりは、真ん中あたりが良いですか?
斎:内でも我慢できるようになってきました。前走も内でゴチャゴチャしていましたが、辛抱して完璧に乗ってくれました。
-:色々な経験を積んで、ベテランの域に達していますか?
斎:馬自体も、仕掛けどころが分かっているところがあります。乗り役のゴーサインに対して反応が良くなってきました。
-:チャンピンズCの内容を見たら、ここは負けられない一戦になりそうですね。
斎:そう願いたいです。ここ2、3回は惜しい負けが続いています。
「休み明けで負けたのは、原因がはっきりしています。落鉄して左のトモの爪がぐちゃぐちゃになって、治るのに2、3週間かかりました。みやこSは前の馬を捕まえに行ったから、ゴール前で甘くなって差されました」
-:勝ち切れない要素は何でしょうか?
斎:う~ん、何なんでしょうね。
-:ホッコータルマエにあそこまでいけるなら、他のメンバーなら離して勝ってもよさそうです。
斎:休み明けで負けたのは、原因がはっきりしています。落鉄して左のトモの爪がぐちゃぐちゃになって、治るのに2、3週間かかりました。あの時は落鉄が原因で、スタート直後に落鉄したみたいです。インカンテーションに負けた2回目の時(みやこS)は前の馬を捕まえに行ったから、ゴール前で甘くなって差されました。
-:しかも落鉄の影響で、乗り込み量が不足していたのもあったと思います。
斎:あの落鉄は酷かったです。ずっと爪に熱を持ちました。
-:競走馬としては、けっこうダメージのあるレースが休み明けだったのですね。
斎:そうですね。
-:何とかここでスッキリしたナムラビクターを見せてほしいですね。
斎:ええ、見せてほしいです。
東海Sで勝利をつかむための展望
-:今は精神的には落ち着いている状態ですか?
斎:落ち着いています。今度もそこそこのメンバーになりそうですし、こういうメンバーでスッキリ勝ちたいです。
-:逆にドスローになった方がこの馬の良さが出ないというところはないですか?上がりが掛かった方が、パワータイプのこの馬向きではないですか?
斎:向いていると思います。今度はコパノリッキーが出るから、あの馬が行くでしょうね。また捕まえに行かないといけないのかな、という懸念はあります。
-:チャンピオンズCも流れが遅かったです。馬場状態は時計の掛かる馬場で、ナムラビクターには合っていましたが、上がりに瞬発力が要求されるようなところは、ナムラビクターには不向きでした。コパノがちゃんと出てくれて、ちゃんとスタートしてハナに行って引っ張ってくれる方が上がりは掛かりそうです。
斎:それが理想的なのですが、それを捕まえに行くのがどれになるかですね。
-:自分では捕まえに行きたくないですよね。
斎:インカンテーションが勝った時みたいなパターンになるかもしれません。
-:あの時とは調教量も違いますし、爪の不安もありません。
斎:無事に出せれば、あとはジョッキーに任せるしかないです。
-:これだけ寒い時期ですし、気温が下がれば不凍剤で時計が掛かりそうなダートの様相も出てきそうです。そうなったらナムラビクターに合いそうです。
斎:そう願いたいです。
-:惜敗続きに終止符を打って、スッキリできるように期待しています。応援しているファンにメッセージをお願いします。
斎:今度の東海Sでは、何とか勝てるように仕上げて行きますので、応援お願いします。
-:祈っています。ありがとうございました。
斎:こちらこそ、ありがとうございます。
(取材・写真=高橋章夫)
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プロフィール
【斎藤 孝】Takashi Saitoh
昭和27年生まれ。父が厩務員をやっていた関係で兄が競馬場に入り、そのツテもあって自然とこの世界を志す。栗東が開設される前、昭和41年に阪神の渋川厩舎でトレセン生活をスタート。その後、一度退職して4・5年のブランクもあったが、改めて栗東の星川厩舎、吉永猛厩舎、大久保石松厩舎と渡り歩き、その後は解散するまで野村彰彦厩舎に腰を据えることになる。ナムラビクターは前厩舎から担当しており、福島信晴厩舎にともに転厩してきた。仕事をする上でのモットーは「ありふれたことですが、気を抜かないようにしています。怪我する時は不注意がほとんど。馬に気づかれないよう、張り詰めた気持ちを崩さないようにやっています」。厩務員生活は軽く40年を超える大ベテラン。
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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