中野省吾騎手インタビュー(3P)はコチラ⇒

男女の関係のように「競馬との距離感も大切」

-:そんな中野騎手の将来的なジョッキー像はどんな感じか教えて下さい。

中:それ聞かれたかったなぁ~。誰も聞いてくれないんだもん。将来のジョッキー像は何だろう……。

-:今いるジョッキーは誰も目標にしていないというのは分かるんですよ。

中:だって、言っても書けないことしか言えないですからね、ハハハ(笑)。

-:全部は書けないにしても教えてください。

中:いま海外に行くことを画策していて、こうして言うのにはちゃんと理由があります。ただ行きたいという人はいっぱいいますし、そんなのは競馬に限らずどの世界でもあるじゃないですか。僕は自分を追い込む為にもメディアで公言して行かなきゃいけない。何かを得ないと帰ってこられない状況をつくり、帰ってきた時には大きな武器を手にしたいと思っています。前から馬に自由に乗りたいなという思いがあって、その武器もまた後押ししてくれると思うんです。

「もし、海外の競馬に挑戦するにしても、短期では焦りで何も見えないまま終わると思うんです。なので、余裕を持った距離間で取り組むためにも、年単位で行こうと思っています」


-:縛られずにいろんな所で乗りたいということですか?

中:心を開放して楽しく乗りたいので、やっぱり競馬との距離感を大切にしたいです。男と女もそうですけど、結婚したからってずっと見つめ合っていたら、多分崩壊しますよね。だから、夫婦になっても距離感が大事なように、競馬と僕との距離感も大事だと思っています。一番辛くなくて一番楽しく競馬をやっていられるポジションを見つけたくて海外にも目を向けていて、現実的なものになりつつあります。

-:距離感の話だと、今は売れっ子ジョッキーですし、南関東だとほぼ毎日開催なので息苦しくないですか?

中:(距離感が)近すぎますね。もし、海外の競馬に挑戦するにしても、短期では焦りで何も見えないまま終わると思うんです。なので、余裕を持った距離感で取り組むためにも、年単位で行こうと思っています。

-:たとえば海外で騎乗するならどこが興味ありますか?

中:イギリスに行きたいです。英語を覚えないと話にならないんですが。

-:英語の勉強もされているそうですね。

中:しているのですが、好きな言葉からしか覚えられなくて、好きな言葉は何かと言ったら、やっぱり酒場で人と仲良くなる時に使う言葉ですね。酒場で知らない人と仲良くなるのが好きなので、外国人相手でも英語でスラスラ出てくるようにはなりたい。言葉に自信がないと相手が不安になるのは、日本人、外国人、人間ならみんな一緒なことなので、ある程度適当でも良いから、滑らかに自信を持って、国に合わせたイントネーションで発しないといけないと思っています。でも、何が邪魔をするかと言ったら、ワールドオールスタージョッキーズが邪魔しています。今は手に付かないです。

「バカ」と言われて成長 競馬場では「コミュ障」

-:英文はどうやって勉強しているのですか。

中:今は外国人の方とも接点がすごく多いですし、兄にも教えてもらったりしています。それこそ、WASJに兄を通訳で連れていくんですよ。それで、兄貴に「色々話を聞きたいことをまとめておいて」と言われています。

-:お兄さんは何をされているのですか。

中:海外の相手と連絡を取って、貿易的な仕事です。お互い刺激し合っていますね。海外の騎手はオーストラリア2人、イギリス1人、カナダ1人とけっこう英語圏の人ばっかり来るので、そこはチャンスかなと思います。向こうもたぶん通訳を付けてくると思うのですが、こっちから話し掛けたいとなったら、やっぱりこっちにも通訳がいるし、できることなら自分から行きたいです。要点をまとめてちゃんと吸収することを吸収して、ツテを作るところは作っていきたいです。

-:意外とちゃんと取り組んでいるのですね。

中:いやいや、当たり前ですよ。

-:あと、「中野省吾はなぜ天才なのか」教えて下さい。自分で自分を天才と言っているんですか?

中:言っていません。そんなことは言ったことはありません!

中野省吾

得意料理のラタトゥイユを作りながらポーズ

-:そう言っていると勘違いされてしまったんでしょうか。ただ、他の人とは何かが違うので、天才だと言っていても驚きませんよ。

中:そういう言葉が僕を育ててくれたんですかね。みんなが「バカ、バカ」と言うから、それならバカで貫こうじゃないかというのが僕を育てたんですよ。それこそ愛はなかったと思いますけど、そういう愛のない言葉が人を育てるんだよ、と言うことを教えてあげたいですね。

-:若手の頃はバカだと周りから言われて、そういう言葉で自分は成長したということですかね。

中:はい。人が何を思っているか、バカだなという一言にも愛がこもっているか、こもってないかというのはすごく分かるようになりましたし、もちろん親方にも言われたこともありますし、それこそ僕を嫌っている人に言われたこともあります。同じ言葉でも愛がこもっているかと言われると、こもっている、こもっていないがすごく分かります。要は同じ言葉でも酸いも甘いも知ってきたので、同じものでも質の違いをちゃんと見極められるようになったのが、馬の一つの動作にも感じられるようになった要因だと思います。

-:普通の25歳でそんな難しいことは言わないでしょう。哲学的だし、やっぱり何か人とは違いますよね。

中:違うと言われたから違ってきただけですよ。

-: 25歳でやっぱり自分を客観的に評価して言えるのはすごいなと思います。

中:そうですね。今、年上の女性とお付き合いしているのですが、すごく勉強になります。でも、相手の器が大きいのか分からないですが、ガキとしては扱われなかったです。

-:対等として見られていたということですか。

中:競馬場ではガキとしてしか見られませんがね。

-:年上からすればガキ扱いされる年齢ですからね。

中:でも、競馬場の外に出たらコミュニケーション能力は圧倒しますし、何なら女の子もみんな口説きます。

-:でも、競馬場の中ではコミュ障で通っていますよね。

中:コミュ障ですね。そりゃ迷惑かけたりもしましたけど、あれだけボコボコに周りに攻撃されたらコミュ障にもなりますよ。外に出たら、楽しく騒げています。

-:しかし、発言にセンスがありますよね。

中:そうですかね? でも確かに何事も公言することが大事ななかで、面白い言葉も人を引きつけますからね。

「海外に行って、できれば競馬に乗り、年単位でそれに取り組むのは、ぜひ成し遂げたい重要なことです。WASJ出場が大きな契機になりそうなので、このタイミングを逃したくないという思いです」


-:公言とは?

中:これやると言ったら、それに見合った人たちが来てくれるし、その中で知的な発言ができたのであれば、悪い人は寄って来ないですし、本当に自分に合った人が寄ってきてくれるんですよ。たまにインテリみたいな人がくることもありますが、そんなのはすぐに分かるので、みんなでお酒飲もう、楽しかったね、で友達で終わります。

-:今の状況に満足していますか?

中:海外に行って、できれば競馬に乗り、年単位でそれに取り組むのは、ぜひ成し遂げたい重要なことです。WASJ出場が大きな契機になりそうなので、このタイミングを逃したくないという思いです。

-:この機会に色々と繋がりができると良いですね。

中:そうですね。これだけタイミング良くWASJの切符を手にいれたとなると、世界は僕中心に回っているんだなと思いましたね。

-:最後に、座右の銘を教えて下さい。自分の大切にしている言葉は。

中:女がいたらとりあえず口説け、ですよ。それがマナーだ。(即答)

-:ありがとうございました。ワールドオールスタージョッキーズでの活躍を期待しています。

中野省吾騎手インタビュー(1P)はコチラ⇒