『鬼脚』。その言葉は、この馬にこそふさわしい。毎回直線で外から飛んでくるその姿が、ファンの間でもお馴染みとなっているカフジテイク。昨年のチャンピオンズカップは4着、そしてこの秋は2戦して4、5着と馬券圏内まで届いていないが、頂上決戦に向けて、『鬼脚』を見せることができるのか、巻き返しを狙う陣営の胸中に迫った。

馬混みに入れても大丈夫!プロキオンSは収穫大

-:チャンピオンズカップ(G1)に今年も挑むカフジテイク(牡5、栗東・湯窪厩舎)ですが、 まず、3着だった今年のフェブラリーSの話からお聞きしていこうと思います。1着ゴールドドリームから0.1秒差の3着、惜しいレースでしたね。

湯窪貴幸助手:いい状態で臨めたレースでした。最後方から運ぶのは予定通り……というわけでもなく、4コーナーで外に出してきたエイシンバッケン(4着)の更に外を回る形になってしまったのが痛かったです。最後方から運ぶのであれば、もう少し早めに動いたほうが良かったかもしれませんね。

カフジテイク

父・湯窪幸雄調教師がなし得ていないG1制覇を目指す湯窪貴幸助手

-:脚を余したというわけではなく?

湯:そうですね、脚を余したわけではないんです。最後まで脚を使いきっていたと思います。ただ、昨年の武蔵野S(3着)の敗因も考慮して作戦面の話はしていました。もうツーテンポほど早めに動いていれば、余分に外を回ることはなかったかもしれません。

-:その後、ドバイに遠征されて、ゴドルフィンマイルで5着でした。ドバイ遠征はいつ頃決まったのでしょうか?

湯:ドバイ遠征はフェブラリーSの前には決まっていたんです。

-:状態に関してはいかがでしたか?

湯:ドバイでも到着当初は少々疲れを見せていましたが、持ち直していい状態でした。ただ、この時は直前の雨が痛かったですね。

-:雨で余計に前が有利になったということでしょうか?

湯:その影響はあったと思います。どうもあまりの大雨に競馬が中止になる寸前だったようで、開催してくれただけでありがたい話なのですが……。

カフジテイク

ゴドルフィンマイル(G2)では13頭中5着だった

-:帰国して疲れはあったのでしょうか?

湯:戻ってきてからも疲れはなかったですよ。

-:帰国初戦となったプロキオンSはキングズガードの2着でした。状態に関してはいかがでしたか?

湯:放牧から帰ってきた当初は、15-15をやっただけでもハアハア言っていましたが、レースが近づくにつれて状態は良くなっていきましたね。状態は悪くなかったと思います。ただ休み明けの分、ちょっと気持ちが追い付いてなかったかな……。

-:いつもほど切れる末脚を使えなかった印象もありましたが?(上がり3Fのタイムはメンバー中2位の36.0秒)

湯:これは馬混みの中での競馬を試した影響があると思います。少しズブさは見せましたが、それでいて2着まで来たので、こちらとしては収穫のあるレースでしたね。以前は馬混みの中ではハミを取ってくれなかったりと競馬ができなかったんです。成長を感じました。

-:年齢を重ねるにつれてズブさが出て、適距離が長めにシフトしてきているのでしょうか?

湯:元から使えるコースが限られているので、適距離が変わった感じはあまりないですね。狭い競馬場だとコーナーで置いていかれるので、どうしても広いコースを使わざるを得ませんから。

秋2戦の敗因明らか「去年より状態もいい」

-:その後は夏休みを挟んで、休み明け緒戦の南部杯は差し届かず4着でした。

湯:状態は悪くなかったです。ただ盛岡競馬場のダートコースでも、コーナーで置いていかれるような内容でしたね。コーナーの角度が厳しかったのかもしれません。

-:続く武蔵野Sでは上がり最速の末脚を使ったものの、届かず5着。この敗因はどう捉えていらっしゃいますか?

湯:やはりスローペースの影響でしょう。展開の分だと思います。福永騎手はいいスタートを切ってくれたのですが、次のことを考えて、あえて控えてくれたようです。

-:輸送が2度続いていますが、疲れなどはありましたか?

湯:特になかったですね。すぐ乗り始めることができましたよ。

-:調整が難しいという馬ではないのでしょうか?

湯:そうですね、特に調整が難しい馬ではないです。ここまで予定通り来れています。

-:チャンピオンズカップが迫ってきました。1年ぶりの1800m、1年ぶりの1周競馬となります。

湯:昔はゲートを出なかった馬が、武蔵野Sでもいいスタートを切れたように、今なら前に行けるかもしれません。前に行っても3頭分外を回ったりすると苦しいですが、砂を被せればハミが外れる馬なので、前に壁を作っていい位置で運べればと思います。ただハミが外れ過ぎるところがあるので、そこは乗り難しい馬なので、ルメール騎手に任せます。枠はどこでもいいです。

-:去年の今頃と、現在のカフジテイクはどう変わったでしょう?

湯:腰がパンとしてきましたね。あと精神的にもしっかりしてきて、だいぶ大人になってきたと思います。去年よりいいですよ。

カフジテイク

「瞬発力があると言われますが、この馬は実はそこまでなくて、4コーナーでアクセルを吹かしながら、勢いをつけて伸ばすタイプだと思います」


-:若い頃は、鋭い脚を使うも届かない……というレースが続いていました。

湯:若い頃はハミを取らない馬で、ゲートも出なかったんですよ。この馬は4コーナー手前から反動をつけて伸ばすタイプなんです。『瞬発力がある』と言われますが、この馬は瞬発力は実はそこまでなくて、4コーナーでアクセルを吹かしながら、勢いをつけて伸ばすタイプだと思います。そこまでスムーズにいかないとダメなんですよね。

-:そんなカフジテイクですが、初めて見た時の印象はどのような感じでしたか?

湯:それが、印象にないんですよね。お兄ちゃんのテイクアベット(GⅢのサマーチャンピオン勝ち馬)がウチの厩舎にいたので、その弟で、兄貴より硬くなる馬という印象しかなかったです。

-:気性が激しいというわけでもなかったのですね?

湯:そうですね。昔は馬込みに入れなかったりと、どちらかといえば怖がりで。幸騎手が乗った昨年のプロキオンSでは、外に1頭馬がいただけなのにハミを取らなかったことがありました。外をブン回す形が合うのはそれもあるかもしれません。

-:新馬戦では1着から3秒離された10着でしたが、2戦目で一変。単勝130倍で見事1着となりました。この一変には何か理由があったのでしょうか?

湯:それもね、よく分からないんです……(笑)。厩舎もビックリしました。普段はそこまで息遣いも良くない馬ですし、乗り味がいいわけでもない。ゲートも出ませんでしたから。

-:お兄さんのテイクアベットと似ているわけではないのですか?

湯:テイクアベットと似ているところはありますね。1000万クラスにいる時まではそう思って接していました。ちゃんと体が使えないところとか、キャンターに行くといいところとか、似ていましたね。

-:思い出のレースはありますか?

湯:やはりベリー騎手が乗った去年の夏至S(1着、4コーナー16番手から上がり3F34.6秒の鬼脚でごぼう抜き)ですかね。それまで歯がゆいレースが続いていたのですが、一変してくれました。

-:5歳秋を迎えましたが、今も成長していると感じますか?

湯:今もまだ成長し続けていると思います。色々な面で幅が出てきていますし、追い込み一辺倒ではなくなりました。結果を積み重ねていけばまた来年ドバイという話も出てくると思いますし、頑張ります。

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湯窪貴幸助手の思い出のレース・16年6月25日 夏至S