‐：蛯名騎手、今日はよろしくお願いします。

高：よろしくお願いします。早速ですけど、菊花賞に出走するナカヤマフェスタについてお聞きしたいんですけど、まずはセントライト記念を振り返っていただけますか？

蛯：そうですね。レースでは折り合いもついたし、なかなかいい感じでした。結果としては、秋は良い形でスタートが切れたと思います。

高：馬体重がマイナスでしたけれども。

蛯：そうですね、馬体重はマイナスでしたけど、ハリがあるというか膨らんでいる感じに見えたし、マイナスでもそんなに気にはしていませんでした。まあ正直、もう少し数字が増えているかとは思いましたけど。

高：特に春先と変わらずに。

蛯：でも春先は数字的には合っていたけど、順調さを欠いて稽古も思うようにならなかったから、そういう物足りなさはありましたね。でもこの前のセントライト記念の時は動きも良かったから、いい感じで来ているなと思いました。パドックで見たときも跨った時も「良い感じだな」と。

高：なるほど。レースでは折り合いのついた走りでしたけど、レース後のコメントでは気性面に課題があるという事もおっしゃっていましたが。

蛯：燃えやすいというか、気性が激しいというか、そういうところがありますから。思うように走ってみたり、走らなかったり、気難しいところもあったりするので。

高：調教や返し馬で、そういうところを感じるんですね。

蛯：何かこうイヤな事があるのか、気になる事があるのか、ちょっとこう気分が乗らないというかね。そういうところがあるっていうのは、ひとつ気をつけなきゃいけない部分ですね。素直ではないのはもう間違いないから。まあちょっとアヤしいなという雰囲気はあるんだけど、今のところはまだレースではやっていないから。まあレースでやるようになったら厳しいですけど。

高：レースでは折り合っても、毎回安心はしていられない、と。そんなナカヤマフェスタですが、セントライト記念後のコメントでは、菊花賞の距離は問題ない、という事で。

蛯：今のところレースでは引っ掛かっていくような感じじゃないから、距離的には大丈夫だと思います。でも京都の3000を越える距離は上り下りを2回するっていう、ちょっと独特な難しいコースなので、やっぱりこれは適性も出るでしょう。まだ走った事がないからどうなるか。

高：しかも今回は初めての長距離輸送もありますね。

蛯：そう、それもあるしね。いろんな事が初めてなんでね、そこら辺もどうなのかなっていうところはありますね。

高：二ノ宮先生と相談しながら調整に関わったりはされているんですか？

蛯：いや、もう先生と厩舎のスタッフにお任せしています。

高：そうですか。あと馬場ですけど、良馬場が合っていたというコメントもありましたが、ダービーの道悪で4着に来た事を考えるとそれなりにこなせると判断してよいですか？

蛯：うーん、やっぱり良馬場の方がいいんじゃないですかね。ダービーではなるべく馬場の良い所を選んで前半もソロッとしていたから、あそこまで来たんじゃないかな。マイペースで行けたからあそこまで来たけど、あの馬場でくっついて行ったら、多分なし崩しに脚を使って終いが無くなっちゃっただろうから。

高：なるほど。

蛯：前へ行った組で残っている馬ってやっぱり大きい馬だからね。ある程度の馬力、パワーもないと重馬場は厳しいですよ。ナカヤマフェスタは、お父さんのステイゴールドと同じであんまり体も大きい方じゃないし、軽い馬なんでね。やっぱり良馬場の方が良いだろうなという気はしますね。

高：そうですか。今回の菊花賞はダービー馬ロジユニヴァースが不在で、実績的にナカヤマフェスタは注目を集めるでしょうね。

蛯：でも皐月賞馬もいるし、ダービー2着馬もいるし、神戸新聞杯を勝った馬もいるし。いろんな路線からから出てきているから。

高：手強い相手が揃って。

蛯：もちろん。戦って負けている相手だからね。やっぱりナカヤマフェスタだけがそんなに力が抜けている訳ではないし、チャンスのある馬の中の1頭というところだと思います。春の実績馬もトライアルで負けていましたし、どの馬にもチャンスがある混戦という事でしょう。

高：楽しみですね。ところで、ナカヤマフェスタって結構、間隔を空けながらレースを使っていますね。

蛯：そうしないともたないと思う。まだ芯が弱くて、レースを使うと結構ガクッと来るんですよね。

高：力を出し切っちゃうんですかね？

蛯：そうだと思う。稽古もバーッと走ってみたり、レースもガーッと走るし。体も大きくないから、走ると反動が大きいんじゃないかな？そうすると、なかなか疲れが抜け切らないという事もあると思うんだよね。

高：今まで6戦を消化されて。本当に選んでレースに使ってきた感じですよね。

蛯：それが一番、生き残っていく道ですよ、絶対に。使えば使うほど消耗しますから。上のクラスの馬は特にそうですよ。使い方を考えてあげないと。

高：使い方ですか。

蛯：そう。何を取りたいのかというのを決めてあげなければ難しいですよ。どのレースも毎回100%の出来なんてあり得ないですから。人間だってそうでしょう？いつでも100%の出来で、っていうのは難しいですよ。やっぱりトライアルがあって本番という流れがありますからね。これは力を抜くとか抜かないとかじゃないんですよ。どのレースでも使えば勝っちゃうような、ディープインパクトみたいな馬がたくさんいたらねえ、ディープの価値が無くなるじゃないですか（笑）。

高：そうですね（笑）。

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蛯名正義 1969年北海道生まれ。 1987年に美浦・矢野進厩舎からデビュー。 JRA通算成績は1745勝（09/10/15現在） 初騎乗：1987年3月 1日　2回　中山2日　5R　アイガーターフ（14着/15頭） 初勝利：1987年4月12日　3回　中山6日　4R　ダイナパッション

■最近の主な重賞勝利 ・09年セントライト記念、08年東京スポーツ杯2歳S 共にナカヤマフェスタ号 ・07年有馬記念 マツリダゴッホ号

毎年関東リーディングの上位を賑わすトップジョッキー。菊花賞は過去9回参戦し、01年マンハッタンカフェ号で優勝。09年はトライアル・セントライト記念の勝ち馬ナカヤマフェスタとコンビを組み、10度目の菊花賞に挑む。

高橋摩衣 生年月日・1982年5月28日 星座・ふたご座　出身地・東京　血液型・O型 趣味・ダンス　ぬいぐるみ集め　貯金 特技・ダンス　料理　書道（二段） 好きな馬券の種類・応援馬券（単勝+複勝）

■出演番組 「Hometown 板橋」「四季食彩」（ジェイコム東京・テレビ） レギュラー 「オフ娘！」（ジェイコム千葉）レギュラー 「金曜かわら版」(千葉テレビ)レギュラー 「BOOMER Do!」(J SPORTS）レギュラー 「さんまのスーパーからくりTV」レギュラーアシスタント

2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。