エアロヴェロシティ/ラッキーナイン高松宮記念登録[和田栄司コラム]

15日、香港シャティン競馬場では、香港スピードシリーズの第2戦、香港G1ザチェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)と4歳クラシックの第2弾、香港G1ザ香港クラシックカップ(芝1800m)が行なわれ、ゴールドファンとサンダーファンタジーがそれぞれ優勝した。

ザチェアマンズスプリントプライズは12頭立て、エアロヴェロシティ2.2倍、初戦のセンテナリースプリントカップを勝ったペニアフォビア2.8倍、ゴールドファン8.05倍、スマートヴォラティリティ8.6倍、暮れのG1香港スプリントを1/2着した両馬に人気が集中した。マイルから短距離にシフトしたゴールドファンはフランスのチャンピオンジョッキー、クリストフ・スミヨン騎手に鞍上を頼んだ。

レースはエアロヴェロシティが香港スプリント同様逃げた。しかし、フラッグシップシャインが競りかけて行きクビ差で主導権を奪う。2頭の後ろにラッキーナイン、その後ろにゴールドファン、続いてスマートヴォラティリティが外、内にペニアフォビアで併走、最後方に昨年ドバイのG1ゴールデンシャヒーンを勝ったスターリングシティの展開、半マイル45秒48は香港スプリントより100分の19速い流れである。

直線残り400mを過ぎて抜け出したエアロヴェロシティ、これを追ってゴールドファン、ラッキーナイン、ペニアフォビアが襲い掛かったが、残り150mからエンジンを全開したゴールドファンが残り50mで並びかけ、アタマの上げ下げに持ち込んで短頭差、タイム100分の1秒差、1分08秒79で優勝した。2着エアロヴェロシティからクビ差3着ラッキーナイン、半馬身差4着ペニアフォビア、2頭共一旦は凄い脚で伸びたが最後は脚色が一緒になった。また最後方からスターリングシティが突っ込んだものの6着に終わっている。

スミヨン騎手で勝ったゴールドファンは、2013年のクラシックマイル勝馬で昨年は1400mのクイーンズシルヴァージュビリーカップを勝った。昨年の香港マイルで2着、今年のスチュワーズカップで6着に敗れたことから矛先を短距離に変えていたが、リチャード・ギブソン調教師は、理想の距離を1400mと考えている。次のレースは今年から国際G1に格付けされた3月15日のクイーンズシルヴァージュビリーカップに向かい連覇を目指すことになる。尚、エアロヴェロシティとラッキーナインの両馬は3月29日に中京競馬場で行なわれる高松宮記念に登録した。

ザ香港クラシックカップも12頭立て。人気は、初戦のクラシックマイルを勝ったビューティーオンリー2.6倍、1日のクラス2で21秒96のメンバー最速の上りで勝ち上がったレッドカークウォリア3.9倍、クラシックマイル3着馬ジャイアントトレジャー4.3倍、1日のレッドカークウォリアが勝ったレースで半馬身差2着のコンテントメント8.3倍で続いた。

レースはトゥインデライトが先行、1000mを1分01秒95のスローペースで流した。好スタートから2番手に控えた人気薄(単勝23.05倍)サンダーファンタジーは、直線に入り残り350mで先頭に立ったが、4番手からレッドカークウォリアが鋭く伸びて来て100m残しハナを奪う。しかし、サンダーファンタジーも負けじと差し返す動きを見せファイナルストライドでハナ差の逆転優勝を飾った。

勝ちタイムは、柔らかなグッド表示の馬場、1分48秒62、400mの上りは23秒フラットとかかった。5~6番手の位置から内に突っ込んだジャイアントトレジャーは2頭から半馬身遅れて3着、8番手から外を追い込んだビューティーオンリーは更に1馬身半遅れて4着、3番手から後退したコンテントメントは7着に沈んだ。

カリス・ティータン騎手で勝ったサンダーファンタジーは、豪州アンソニー・カミングス厩舎で2・3歳時12戦3勝、2着1回、3着2回、G2オータムSを勝ち、ヴィクトリアダービー3着、オーストラリアンギニーズ3着、ローズヒルギニーズ2着の成績を残し、これが香港移籍後、4戦目での初勝利だった。サンダーファンタジーの優勝で香港クラシックは益々混迷を深める結果になった。3月15日の香港ダービー、この日クラス2の2000mのハンデ戦を勝ったダイナミズムにも十分チャンスは回って来そうである。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。