競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【宝塚記念】関西馬ばかりのドリームレース、どの馬にもチャンスあり
2020/6/23(火)
G1馬が何頭いるのかとザッと数えても8頭。なかなか豪華である。過去10年の勝ち馬を眺めると、C.ルメールが勝ち馬の背中にいない。さっそく彼の過去のG1勝利を検索。やはり宝塚記念には縁がない。暑さと梅雨時の湿気にかなり弱い彼。だが今年は涼しい、何かそこに鍵がないものだろうか…。
騎乗馬はサートゥルナーリア。金鯱賞を勝ってここを照準に。鞍上とは2戦2勝のタッグ。阪神も同じく負け知らずの2勝。昨年はリスグラシューがここをも制して極みまで行った。やはり牝馬が怖い。ラッキーライラックにクロノジェネシス。大阪杯のワンツーだ。
気が付けば関西馬ばかり。ここはドリームレースで、どの馬にもチャンスありだろう。
20年6/21(日)3回東京6日目11R 第25回 ユニコーンステークス(G3)(ダ1600m)
- カフェファラオ
- (牡3、美浦・堀厩舎)
- 父:American Pharoah
- 母:Mary’s Follies
- 母父:More Than Ready
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まるで土曜のプロ野球、阪神対巨人の第二戦の結果に近かった。電光掲示板に載った馬はすべて関東馬。直線半ばまでは関西馬も画面に映ってはいたが、ゴールが近くなると関東馬ばかりしかいない。アウェーだと感じるパーフェクトな負け。それも11対1の屈辱的なスコア、いやそれ以上の完封負けの関西馬達であった。
1番人気に応えて堂々と勝ったカフェファラオ、早々にレッチェバロックの2番手に収まっていく。それが3Fを通過する手前ぐらい。34.2もまずまず速いが、レッチェバロックが造るペースは1000m通過も58.4。速いと言えば速いが、難なくそこへついていけているカフェファラオのスピードをも兼ね備えているエンジンだ。
直線入口からフルフラットが外へ並びかけてきたが、まったく余裕の手応え。あと400を過ぎてもまだ追わない。レッチェバロックはやはり距離の壁があるのか、脚色があやしくなってきた。あと200を待たずに、やおら追い出したレーン騎手。ステッキを5発ぐらい入れはしたが、それは馬のためであって、いっぱい一杯になった感じではなく今後のためと思えた。
前走タイムから2秒8も短縮し、なおかつ余裕あるの勝ち方。外からジンワリと伸びてきたデュードヴァンに5馬身差の圧勝。ワンサイドゲームであった。関西馬で一番の人気のタガノビューティーは、向こう正面の2Fあたりで自分で躓く現象。これでは競馬にならない。勝ち時計の1.34.9は、前回の東京開催を通じて一番のタイム。オアシスSが次で1.35.9と1秒も速い。
7月8日のジャパン・ダート・ダービーに登録。さらに9月5日に延びたケンタッキー・ダービーへの道も続く。3冠にブリダーズCまでも勝った偉大なる父、アメリカンフェローの血を受け継ぐカフェファラオ。現時点では国内にこの馬を負かす3歳馬はいない。
日本のダート界に新たなスターが加わった。今年の3歳戦は、芝の牡も牝もまたダートも1頭抜けた馬がいる構図だ。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。