ロンググレイスから始まったローズS。歴史に残る名牝が名を連ねる優勝馬だ。その意味合いでは今年はやや小粒な顔ぶれと言っていいだろう。純然たるオープン馬が居ないとは。

アートハウスが忘れなぐさ賞勝ち。パーソナルハイがフローラS2着。この2頭がオークスへ挑戦して7着、16着。アートハウスはレース後のコメントで鞍上が《調教からバランスの難しい面を露呈していたが、それが出た競馬だった》と残している。1週前の稽古で軽快な動き。ひと夏越しての成長が待たれる器だ。関東からは2戦2勝のサリエラ。あのGⅠ、朝日杯FS勝ち馬サリオスの妹。全姉のサラキアはローズS2着と羽ばたいて行ったレース。あとは馬体がどれだけ大きくなったかが注目だ。随いちの3勝馬がメモリーレゾン。1200デビューから3勝めは函館開幕日の1800芝をいい脚で勝利の内容が秀逸。夏はその1戦で切り上げ、秋緒戦をここ照準は不気味だ。

【セントウルSの回顧】

22年9月11日(日)中京11R セントウルS(G2、芝1200m)
  • メイケイエール
  • (牝4、栗東・武英厩舎)
  • 父:ミッキーアイル
  • 母:シロインジャー
  • 母父:ハービンジャー
  • 通算成績:12戦7勝
  • 重賞勝利:
  • 22年産経賞セントウルS(G2)
  • 22年京王杯スプリングC(G2)
  • 22年シルクロードS(G3)
  • 21年チューリップ賞(G2)
  • 20年KBSファンタジーS(G3)
  • 20年小倉2歳ステークス(G3)


セントウルS出走馬の体重が発表された。秋緒戦だから数字が増えるのはむしろ歓迎だろう、と思ってもメイケイエールの14キロ増にすぐアイパットで調べた。過去最高が池添Jとコンビを組んだ2戦めのシルクロードSの472キロ。その時は微増だったが今回は大幅増だった。だがパドックで周回する馬体を観ても何も太いの印象はない。むしろ落ち着きがあって雰囲気はとてもいい。

そして単勝オッズの低さだ。GⅠ馬ソングラインが出ているのに、その馬の倍ぐらいの支持率。競馬ファンがこの絶大なる信頼を寄せるメイケイエールの1200芝での信頼度であろうか。あとはどんな内容で勝って次なるステップ、GⅠ獲りとなるスプリンターズSへ向かうか。その図式を疑ってもいない競馬ファンの確かな相馬眼だ。

ゲートオープンから振り返る。早いのは内の馬、ボンボヤージ、シャンデリアムーンが前に出たがすぐにシャンデリアムーンが先頭。外からダッシュ利かせたファストフォースが2番手にあがる。メイケイエールは前の4頭から少し開いた5番手の絶好位。2F近く行ってもソングラインは半分よりまだ後ろめ。前半3Fが32・5。前の2頭がやや並び気味。メイケイエールは3列目の内目。前から4馬身ぐらい。ソングラインはそこからまた4馬身ぐらい後ろ。

直線に入ってあと400。メイケイエールは内から真ん中へ。前に出たファストフォースをあと200で並び、右から左に持ち替えたステッキを4度ぐらい入れる。ゴールまでの3完歩ぐらいはほぼ馬なりでのゴール。コースレコードをコンマ5秒破る時計で上りも最速の32・9だった。ソングラインはそこからコンマ7秒差の5着がやっと。1200の馬ではないのを証明した。あのお転婆娘だったメイケイエール。かなり常識にかかってきた。大人になった彼女の次なる目標はGⅠ制覇。夏女、ナムラクレアとの熱い女の戦いとなる。