競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【日本ダービー】このレースは別格
2024/5/20(月)
今年も無敗のダービー馬なるか。ジャスティンミラノである。いつも朝に寄せて貰っている友道厩舎。ダービー先輩の前川助手に担当の山田さんが冷やかされていたが、《ゲートに入るまで俺はいれ込まないよ~》と返答。着々と準備は進んでおります。
無敗の馬はシックスペンスも。皐月賞はパスしてダービーへ。この馬もキズナ産駒で5頭が出走する。鞍上は川田J。ルメールは牝馬レガレイラ。ホープフルSの勝ち馬で何と言っても皐月賞1番人気の馬。父スワーヴリチャードはレイデオロの2着のダービーだった。そしてシュガークン、2月デビューの馬である。TVの前でじっくりと観戦させていただきますよ。
【オークスの回顧】
24年5月19日(日)東京11R オークス(G1) 芝2400m)
- チェルヴィニア
- (牝3、美浦・木村厩舎)
- 父:ハービンジャー
- 母:チェッキーノ
- 母父:キングカメハメハ
- 通算成績:5戦3勝
牝馬2冠めは距離が一気に2400と延びる難しさにある。マイルでのスピード、切れが今度は持続する脚が要 求される。アーモンドアイ、デアリングタクトとこの10年でも3冠牝馬が誕生していった。今年はステレンボ ッシュだけにその権利がある。
当然に圧倒的人気、チェルヴィニアの2倍の支持を集めた。ただパドックではやけにチェルヴィニアが良く見えた。桜花賞時より数字は減っているがふっくらと良さげに見える。でも、ステレンボッシュのあの底力で何とかするだろうと思った。スウィープフィートやライトバックなど少しテンションの高い馬も居たが、そこも競馬だ。
そしてゲートオープン。ショウナンマヌエラにヴィントシュティレが絡む流れとなって1000通過が57・7のハイペース。タガノエルピーダ、ランスオブクイーンとまえ4頭と後ろ14頭が三つに寸断される流れ。後ろの馬群のなかにステレンボッシュ、それをマークする様にチェルヴィニア。スウィープフィートにライトバックは最後方グループ。
4コーナーを廻って隊列はほぼ横一列になる。前で進めて1頭だけ残ったランスオブクイーンとクイーンズウォークが並ぶ。その内を馬群から抜け出たステレンボッシュ。外から脚を伸ばすチェルヴィニア。普通ならセーフティリードのステレンボッシュなのだが、チェルヴィニアが大きなストライドで半馬身交わしてのゴール。ライトバックが良く伸びて3着を確保。スウィープフィートは最後に脚があがった。
ルメールはインタビューで『ただいま!』と。ちゃんと奥様への感謝も述べていた。馬もジョッキーも本来のリズムを取り戻した。木村厩舎はレガレイラをダービーへの布陣。こうやってレースを使い分けていたのかと今さら気が付く。もっともっと深読みせねば正しい答えには到達できないのだと実感させられた。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。