関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

今村康成調教助手

スタッフ一丸での巻き返し態勢

-:問題の馬体重ですが、前回が480キロでマイナス8キロだったので、輸送を考えると、トレセンでは20キロ位太くなってくれているのが理想かな、という客観的な考えがあります。今の体重はどれくらいですか?

今:大体、ウチ(飯田厩舎)は追い切りが終わってから体重を量るんです。先週で496キロくらいあったので、いい感じに戻ってきているというか、こっちが思っている通りに増えていると思います。

-:輸送で10キロ減らない可能性もありますからね。プラス10キロとか8キロとかそれくらいになりそうですか?

今:やってみなければわからないけど、それくらいになると思います。

-:この馬のオークスの走りを見ると、左回りは全然問題ないのですが、パンパンの良馬場でも問題はないですか?

今:全然問題ないと思います。



-:先週、先々週(1、2週目)と府中の競馬を見ると、芝コースが差しの馬場になっていると思います。それもマンボにとってはプラスですよね。

今:競馬に行ったら上手に走ってくれると思います。幸四郎がよく手の内に入れているというか、いつもうまく乗ってくれているので、その辺はもうジョッキーに任せます。

-:メイショウマンボでG1を再び獲って、幸四郎ジョッキーも一皮むけたというか、いい流れが来ていると思います。先週の天皇賞でもウインバリアシオンに急な乗り替わりでした。スタッフに聞いたら「全然問題ない」と幸四郎ジョッキーが言っていたらしくて、「乗ったこともないのに、なんでそんなに強気なんだ」という話を聞きました(笑)。

今:根性座っていますもんね。

-:脚質的には合いそうでしたしね。それで、あわや勝てるかという2着だったので、このいい流れをメイショウマンボにも引き継いでほしいですね。ちなみに前回の敗戦は幸四郎ジョッキーにとったらショックではなかったのでしょうか。

今:そこまでは話していなかったですね。次、ヴィクトリアマイルを使うとはっきり決まってからは、もうそれに向けてどういう風に仕上げて行くか、ということを厩舎全体で考えてきたので。

-:ファンからしたらキズナの勝利で湧いた大阪杯だったのですが、そこから2秒以上離される8頭立ての7着というのは、マンボのファンにとっては、「何故だ」という思いが強かったと思います。巻き返してほしいですね。

今:ええ、巻き返せるように厩舎一丸となって取り組んでいます。

パドックのテンションはいつも高い馬

-:パドックでこういうところを見ておいたほうがいいというのはありますか?

今:競馬に行くとテンションが上がっちゃうんですよね。オークスの時も結構ひどかったです。

-:マンボ自身が気合を表に出すタイプなので、イレ込んでいるように見られがちじゃないですか。だから、それは逆にプラスだと思って見ることも必要ですよね。何にも先入観なくパドックを見たら、またイレ込んでダメだと思う人が多いかもしれないです。

今:パドックではいつも結構カッカカッカしているので、そこでは調子はわからないですね。オークスの時もめちゃくちゃイレ込んでいたけど、ゲートに入ったらスッと落ち着いたんです。その辺の切り替えが上手なんだと思います。

-:僕らが普段「イレ込んでいる」というのは、そのまま力んでしまってレースに行っても力が出せないことを心配してなのですが、マンボの場合は返し馬くらいまではちょっとチャカチャカしているけど、レースでは問題ないですね。

今:いつも、返し馬に行ってゲートに入っちゃえば、スッと落ち着いています。こっちが見ていてイレ込んでいる、と思っても、そこまででもないのかも知れないですね。

メイショウマンボを担当する塩見覚厩務員(左)と今村調教助手


-:短距離なら、カッカしたパドックでも上位に来る馬は多くいると思うのですが、2400mとなるとコーナーの数も違いますし。

今:ある程度スタミナを消耗していたと思ったんですが、それで勝ちましたからね。

-:どちらかと言えばボーッとしておいてほしいというのが、見る側であるファンとしての気持ちですけどね。

今:そうですよね。ジョッキーが跨ったら一気に気合が乗るので、普段歩いているパドックの状態はそんなにイレ込んでいないとは思いますが、やっぱりジョッキーが乗るとガラッと変わりますね。

-:そういうテンションということは、1600mが短すぎるということもないでしょうか。もちろん、1400mで勝ち星を挙げているので、失礼な質問かもしれませんが……。

今:東京のマイルは合うような気がしますよ。


「昨年春のように、良い感じの戻り方をした時の調教が今もできているので、それが良い方に結果が出てほしいですね」


-:大阪杯のコンディションのままヴィクトリアマイルに出ても、2秒も負けるようなイメージはないですからね。逆に言えば、ある程度仕上がっていた上に、そこから良くなっていると言われれば、これは巻き返せますよね。

今:もちろん、巻き返せるように皆で頑張っていますよ。

-:京都が合う馬には、輸送に難があって栗東から近いということで結果が出ている馬もいますが、この馬はそういうわけではないですよね。

今:桜花賞の後は、使い詰めで減っていた体を戻しながらの調整で、こちらが思ったように回復したので、上手く調整できたのかなと思いますね。こちらは「プラス10キロぐらいで出せたらいいなあ」と言っていたら、輸送を経てちょうどプラス10キロでしたから。昨年春のように、良い感じの戻り方をした時の調教が今もできているので、それが良い方に結果が出てほしいですね。

-:3歳春には桜花賞・オークスという目標があって、桜花賞に出るために使い詰めとなったじゃないですか。今年は大阪杯で復帰してヴィクトリアマイルというのは、マンボにとっては結構楽なローテーションなのか、もう1回叩かないと良くならないのか、いかがでしょうか?

今:それでも、1回使った上に時期も暖かくなってきたので、日に日に馬が良くなってきています。張りもでてきましたので、大丈夫だと思いますよ。



-:G1・3勝の実績は断然ですから、巻き返しを期待しています。残り1週間、頑張ってください。

今:頑張ります。ありがとうございます。

-:例年のヴィクトリアマイルより今年はメンバーが揃っています。ここはどれだけ巻き返せるかで厩舎力の証明にもなるレースなので、頑張ってほしいです。メイショウマンボのファンにメッセージをお願いします。

今:マンボ自体、一回使って確実に馬体も良くなっていますし、追い切りの動きもすごく良かったです。ひとまずは無事にレースに出すのがこっちの仕事なので、良い状態で送り出せるように頑張ります。

●メイショウマンボの今村康成調教助手インタビュー(前半)はコチラ⇒

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●産経大阪杯前
メイショウマンボについてのインタビューはコチラ⇒



【今村 康成】Yasunari Imamura

1978年10月19日生まれ。1997年に武幸騎手、武士沢騎手、松田騎手らと共にJRA競馬学校を第13期生として卒業。生涯成績は平地5勝、障害40勝と障害競走を中心に騎乗し、01年にはユウフヨウホウとのコンビで中山大障害を制している。
08年の3月に飯田明弘厩舎の所属となり、12年12月20日付で騎手を引退。そのまま同厩舎の調教助手となり、今年も引き続き飯田祐史厩舎で活動。
「FEEL潤!!」でもお馴染み、高田潤騎手とチャリティー活動を行ったり、栗東トレセン調教見学ツアーで企画を行ったりと、レース以外の活動にも熱心。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

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