ケイティブレイブ陣営インタビュー(1P)はコチラ⇒

新境地が拓けた日本テレビ盃 中央タイトル奪取へ弾み

-:珍しいですよね。あれだけ強気に言われる人ではないと思っていたので、なかなかあんなコメントを見たのは珍しいかなと。

房:そうですよね。だから、現状は調整が上手くいっているのかと思いますね。日本テレビ盃の時は正直もう一つだったんですよ。福永さんにも「まだもう一つですわ」と言いました。ただ、ダイオライト記念よりは良かったと思います。あれは内容の良さで、あれだけ強い勝ち方を出来たと思うんですけど、ただ馬のデキとしては、僕はまだまだかなと。

今回も福永さんが乗る前に「1回使ってすごく良くなっていると思いますよ」と言っておきました。「よく分からないからジャッジをお願いします」ではなくて、「今はこんな状態です」と伝えるようにします。そこの意見が合えば合うほど、やりたいことが噛み合ってくるじゃないですか。そこが感覚的にも合っているんですよ。ただ、競馬内容的に、馬の能力的にああいう形で日テレ盃を勝てていますけど、そこのジャッジだけはちゃんとしておきたいですね。

-:ちなみに、ここまで沢山喋っていただいています。紙だと載せられるスペースが限られますけど、ウェブはそういうこともないので、沢山書けます(笑)。

房:偉そうに言いたいわけではないですが(笑)、とにかく僕なりにこうであろうという考えがあって、それに対して自分がどういう乗り方をしたら良いのか、今はすごくそれを心掛けてやっています。速い時計が出たから調教になっているとか、トレーニングなのかはまた違うと思いますし、速さの中で負荷を掛けるか、というのが課題なんです。だから、この馬にしても、現状は本当に良くなっているとは思いますよ。

ケイティブレイブ

ただ、この馬がまだ色々な弱い部分も持ち合わせているので、それをこの馬はこんな感じだから、と言って片付けたら意味がないので、どうやったら前捌きが柔らかくなるのかなとか、どうやってトモに力を付けるようかなというのを、「コイツは右トモが弱いねん」と片付けずに、右トモをどうやって強くしよう?右トモが強くなったらもっと走るやん!という話ですから。トモが苦しいから前で乗ると前ばっかりで、余計にトモを使わなくなるんですよ。だから、逆ですね。厳しいことを調教でドンドンしていかないと、苦しがっても良いから、グッと人間が体重を掛けるようにしないと乗り越えないですよ。

-:足りない部分にしっかり向き合うと。

房:本当にそうですよ。だって、そこでグッと体を起こして。手綱が緩んでいる時点で、人間のコントロールは馬に行っていないということですよ。馬が勝手に歩いてくれて、ただその上に人間が落ちないように乗っているだけになっちゃうので、とりあえず僕は手綱を張って乗るようにはしていますね。そうしないと、絶対に馬のバランスが後ろに来てくれないですからね。それは、ずっとこれからの積み重ねですからね。

「これでもしJBCクラシックを勝てたとしても、これで良いんだ、というのではなくて、強さや馬の脚の速さを青天井で目指していかないといけないので」


これでもしJBCクラシックを勝てたとしても、これで良いんだ、というのではなくて、強さや馬の脚の速さを青天井で目指していかないといけないので…。もっと速く走れるようになったら、結局もっともっと競馬が楽に勝負できる訳じゃないですか。勝ったからこれくらいの調教で良い、攻めないでというか、そこを維持しようと思ったら、多分苦しいままなので、常にもっともっと、というのは…。

-:それに対応するだけの馬づくりをされてきた訳ですね。

房:もちろん僕自身はそうですね。僕がそうしたから、そういう考えに至った訳で。

-:ちなみに調教助手の仕事はつまり肉体労働じゃないですか。それプラスでトレーニングは大変じゃないですか?

房:でも、そのトレーニングをすることで、普段の仕事が楽になるじゃないですか。要は根本的な体力が増えるということは。だから、他にも色々なことが出来るようになるんですよ。みんなここをギリでやろうとすると、ドンドンしんどくなるんですよ。だから、この仕事プラスアルフェという部分をドンドン増やしていけば、仕事の疲れが軽減されますしね。

でも、高校生の時の方が若さはありますよ。回復の早さという部分に関しては、細胞の若さみたいなものはどんなに体を鍛えても、この歳になったらさすがに…(笑)。今は体を無理に若返らせているとかじゃなくて、普段から疲れない体の使い方ですか。体力ゲージって、別にそれ自体を増やせるのではなくて、いかに効率良く走るかということなので、100ある体力を20で抑えたら、残り80はまだまだ元気じゃないですか。

それをただガムシャラにやって、同じことで80使っちゃったら、残り20じゃないですか。ドンドン常にここがMAXで戻れるように。疲れないでハイパフォーマンスが出来るという、イメージとしてはやっていることは一緒ですよ。僕のやっていることと馬に対してやって、求めていることと。特に馬なんて、上がり運動なんて走ってきた後で疲れているでしょ。そこでしんどい時にダラダラ歩かせるのではなく、上がり運動の時ほど逆にグッとシッカリ歩かさないと、余計にしんどくなっちゃうので。次に日しんどいのはどっち?ということですね。

ケイティブレイブ

-:スポーツでも実はまるっきり休ませるより、身体を動かしておいた方が次の日は楽ですよね。

房:この感じでずっと行ってくれれば。確かにリミットはあるんですけど、1カ月後にまたレースがあるとか、そこで急に慌てたって、それで出来る訳じゃないので、とにかくちゃんと日々積み重ねていってという感じですね。

-:前は放牧に出ていなかったこともありますけど、馬の精神面も前よりキツさがなくなったのかなと。

房:そう思いますけどね。

-:前はけっこうキツくて、洗い場とかに入れていると怖いなという感じでしたけどね。

房:そうみたいですね。どっちかと言うと、顔つきが穏やかになったのかなと思いますけどね。それはやっぱり体がキツいから、そうやって目つきが悪くなったりだとか。それを意識して、そういう風につくっていくのか、歳がいってきたから、たまたま馬が落ち着いてきたな…みたいな、そこを狙ってくかどうか。そういう意味で、伸びしろは山ほどあるので、あとはこっちの問題ですよ。

ちゃんと全部出し切れるかどうか。僕としては、特に変わったことをしている訳ではないですし、ただひたすら毎日地味なことを延々と繰り返していくだけなので。この馬の場合は、とにかく目標としては中央のチャンピオンズCなので、良い内容であれば…。勝ちたいのは勝ちたいですけど、ただ良い内容の競馬がやりたいですよね。やっぱり中央の馬場って、結局ひと溜めがないといけないと思います。それが出来ていないから、今まではあまりにも中央馬場での実績がない訳で。最高が(去年のチャンピオンズCの)4着くらいだったでしょ。

「日本テレビ盃のレースが終わって、引き上げてきた一言目の福永さんの言葉が『去年これをやったら負けていた』ということでした。要は控えての競馬、ということですね」


-:平安Sはペースが速かった割に残るんだな、という感じでしたけどね。

房:今、走りの中でのコントロールというのが出来つつあるので。この間の日本テレビ盃のレースが終わって、引き上げてきた一言目の福永さんの言葉が「去年これをやったら負けていた」ということでした。要は控えての競馬、ということですね。ちなみにダイオライト記念の後の一言目も面白いお話でした。

-:次の一言目も注目ですね。

房:そうですね。勝てばね。何を言ってもらえるか。京都での走りというのをちゃんと出来るのであれば、もちろんチャンピオンズCも楽しみになりますし、仮に来年を意識した時にも可能性が膨らみますね。

-:今回も重要ですが、いま取り組んでいることの延長線上でどんな成長があるのか、楽しみにしています。ありがとうございました!