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甲斐基郎調教助手

甲斐基郎調教助手(栗東・西園正都厩舎)

前走の京王杯2歳Sは、勝った同厩のエーシントップより支持を集める(2番人気)も惨敗。しかし、担当の甲斐基郎調教助手に聞けば敗因は明確で、虎視眈々と朝日杯FSの巻き返しに向けて爪を研いでいる。恐らく今回の人気は逆転することになるが、その結果は果たして…。不気味な西園厩舎2頭出しのダークホース、マイネルエテルネルの秘策をご覧いただきたい。

敗因は明確な京王杯2歳Sの8着

-:よろしくお願いします。朝日杯FSに出走するマイネルエテルネルなんですけれど、前走の京王杯2歳Sは思わぬ敗戦でした。振り返っていただいて良いですか。

甲斐基朗調教助手:まあ、内枠を引いて……。その前にテンションが高くて、スタートをポンと出てしまったから、しゃあなしにハナを切る形になってしまったんですけど、4角回ったら、思ったより右にモタれて……。

-:右にモタれて、内を開けた形ですね。

甲:それでジョッキーが追い辛いという。やっぱり、左回りは合わないね。もう敗戦はハッキリしているから。

-:だから、脚質的に逃げてダメであったという簡単なことじゃなくて、それ以前からテンションが高くって、スタートも良過ぎて……。

甲:スタートも良過ぎて、内枠もあり、左回りも合わず、ハッキリしているので、今回は攻め馬からパシファイアーを着けて、テンションを上げないように、ゲート裏まで着けていって。

-:パシファイアー着けて、トレセンでウロウロしているところを見たら、全然、テンションが上がらず、怪しさもありませんね。

甲:うん。効果は出ているので。



-:この馬の良さというのは、ある程度、先行して末も切れるということだと思うのですけど、その良さが全くない京王杯2歳Sだったので、ちょっと心配したんですけど、距離とか状態に関しては?

甲:距離、状態は問題ないですね。

-:あとはテンションの調整をしてやることと、脚質的にはちょっと差しでも良いんですよね。

甲:全然。和田ジョッキーは「競馬で乗りやすい」と言っているので、どんな競馬でもできると思いますけどね。

-:前走はスタートが良過ぎて、結果的にエーシントップのペースメーカーみたいになってしまいましたが……。体は輸送して前走と比較して、どれぐらいで出れそうですか。

甲:プラスマイナスゼロでキッチリ出れると思いますよ。その辺りで、上下あんまりなく。

一変に秘策アリ!目イチ仕上げで挑む

-:今週の追い切りなんですけど、どのような状態だったか教えて下さい。

甲:今週の追い切りは調教師から「一杯に行け」という指示で、ある程度、テンからいって、馬場が悪かったから、思ったより終い止まったんですけどね。動き自体は全然、良かったですね。

-:ちょっと前走の着順が悪かったから、下に見られがちなんですけど、ファンからしたら、見直した方が得をするかもしれない馬ですね。

甲:まあ、コッチはそのつもりでやってます。

-:中山までの輸送なんですけど、2歳馬でもキャリアのある馬じゃないですか。どうでしょうか。

甲:問題ないと思いますよ。逆にコッチで競馬したのは1回だけなので。あとは小倉2回と府中1回と、輸送競馬しかしていないのでね。問題ないです。

-:この馬のこういう状態だったら良いというのは、先ほど言っていたテンションが高かった部分なんですけど、パドックでどんな状態で歩いていたら良さそうですか。

甲:まあ、チャカチャカするぐらいは問題ないと思いますけど……。う~ん、暴れたりせんかったら、この馬なりの力は出せると思います。

-:馬装に関しての変化なんですけど、今回はパドックでパシファイアーは着けますか?

甲:ゲート裏まで。

-:ゲート裏までパシファイアーは着けておいて、ゲート裏で外して、メンコだけになると?

甲:メンコもしないです。

-:パシファイアーを着けてたら、それほどイレ込むことはないはずですね。

甲:ように、そのつもりでやってます。それは、まだ試したことがないんで、何とも言えないですけど。

-:今回が初の?

甲:今のところ攻め馬では効果が出ています。



-:もちろん、甲斐さんとしても巻き返しを狙っているというか。

甲:そうですね。最後にこの子の力を見せてあげたいですね。

-:坂を上がってから良い脚で伸びているマイネルエテルネル。同厩舎のエーシントップも強敵なんですけど、そういうことよりもコンディションを……。

甲:そうですね。この子なりの、この子の競馬をさせてあげたいですね。

-:どんな朝日杯になりそうですか?

甲:どうですかねえ。1頭、関東馬に強いのがいるんでね。

-:コディーノ?差し馬で。

甲:まあ、アレより前で競馬しなくちゃいけないでしょうしね。

-:あとは枠順なんですけど、競馬に注文が付くとしたら、枠順はどの辺りが良いですか。中山1600を考えたら。

甲:ある程度は内枠を引きたいでしょうね。

-:そんなに極端には悪くならないと思うので。

甲:うん、悪くなってないでしょうしね。小回りだから……。あんまり外というのも嫌ですね。枠はそんなに気にならないと思いますけど、大外だけは嫌ですね。

-:さっき出たライバル、コディーノも注文が付くとしたら、府中で戦うG1の方がやりやすそうじゃないですか、脚質的に。だったら、マイネルエテルネルみたいな器用さのある馬の方が。

甲:ねえ、競馬はしやすいと思いますけどね。

-:しかも、ポジション的には前にいますからね。他の馬に詰まったりだとか、不利がこの馬にはあんまりないタイプでしょうからね。あと夏場に活躍している馬で、夏場が良くて、冬場がもうひとつという馬もいるじゃないですか。エテルネルに関しては季節的な変化はどう思われますか?

甲:今のところ変化はないですね。夏からずっと順調に、何のケガもなく来てますね。

-:体を見ても丈夫そうな馬ですしね。

甲:崩れることも1回もないですね。

-:精神的にも安定しているということですね。

甲:はい。いずれにせよ、このG1後は休養に入るので、今回は目イチで仕上げます。

-:期待しています。ありがとうございました。


(取材・写真)高橋章夫


【甲斐 基郎】Motoo Kai

柴田政見厩舎などで厩務員を務めていた父の影響で、22歳からこの世界に入る。キャリアは13年目で、これまでにも重賞ウイナーのマイネルレーニアや、コスモベルといった個性的なキャラクターを担当として手掛ける。大一番の仕上げには定評があり、重賞の常連である西園厩舎には欠かせない持ち乗り調教助手。