関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

高野和馬騎手

高野和馬騎手


-:土曜東京の障害オープンに出走を予定しているミラクルオブレナについて、高野和馬騎手に伺います。よろしくお願いします。

高:よろしくお願いします。

-:ミラクルオブレナが障害に転向してからの5戦でコンビを組んでいらっしゃいますが、デビュー前の様子から聞かせていただけますか?

高:牧場で練習していたときに乗りに行きましたが、無駄な力を使わずに低い飛越をするので、センスがあるなと思っていましたよ。トレセンにきてからも時間がかからずに調整が進んでいきました。障害試験はトーセンオーパス(12年・中山グランドジャンプ4着)と併せて試験を受けましたが、内容、時計とも良かったです。あとは実際に競馬に行ってどうかな、と。

-:なるほど。そのデビュー戦は、昨年11月の東京でしたが結果は4着でした。

高:向正面の3つの障害の飛越はブレてしまって、練習とは違う飛越でしたけど、飛んでいるうちに安定してきて練習通りの飛越が出来るようになってきました。それで後半に差を詰めていけたので、初戦としてはまずまずの内容だったと思います。初戦からこれだけやれれば、すぐに順番は来ると思いました。

-:実際にその後も好走が続きます。2戦目以降の中山での4戦を振り返っていただけますか?

高:2戦目は初めての中山だったので、バンケットがどうかなと思っていました。初めてのバンケットで戸惑う馬もいますからね。でもこの馬は逆にバンケットが得意みたいで、そこで加速するぐらいでした。初戦は馬も慎重に走っていたのでかかりませんでしたが、2戦目はムキになるところも見せたり、変わり身を見せてくれましたね。勝ち馬も強かったし、馬がまだ若いことを考えればよく走っていると思いました。3戦目で勝たせてもらいましたが、楽勝でしたね。ハナを主張して、飛越も終始安定していましたし、力で押し切りました。

4戦目はクラスが上がって距離も延びるし、ペースも速くなるので、少し控えてレースをしました。カラ馬の影響でゴチャゴチャして包まれる形になりましたけど、最後に伸びて3着になったので、オープンでもやれると思いました。そして前走は、1番人気の馬が楽に逃げる厳しい展開でしたけど、早目に動いて、馬の力を出し切る競馬をしました。斤量差があったとはいえ、1番人気をねじ伏せましたからね。強かったですね。


-:ここまでコンスタントに使われながら好成績を残していますね。その間の馬の調子の変動に関してはいかがですか?

高:毎回、状態は変わらずに良いですよ。競馬に行くと気が入るところがありますが、トレセンにいるときは、馬房でも調教でも大人しくて無駄な力を使わないので、それが好調子が持続することに影響していると思います。5/9の調教も良い動きでした。

-:今回はデビュー戦以来の東京コースになりますが。

高:コースは問わないタイプですし、スタミナがあるので、最後の長い直線も大丈夫だと思います。あとは枠順ですね。東京の障害オープンは外枠スタートは厳しいので、出来れば内目の枠になればいいですね。ただ、この馬は前で競馬が出来ますし、外枠からでも先手を取れると思うので特に不安はありません。スムーズな競馬が出来ればここでもやれると思っています。

-:応援しています。ところで高野騎手は、このミラクルオブレナであげた2勝を含めて、今年は既に4勝をあげていらっしゃいますね。

高:良い馬に乗せてもらっているおかげです。ミラクルオブレナでは年明けすぐに勝たせてもらいましたけど、本当は昨年のうちに勝たなければいけなかったと思っています。ただ、一昨年や昨年に比べれば今年は良いリズムできていますね。特に一昨年は流れが良くありませんでした。

-:どういうところで、流れの悪さを感じていらっしゃったんですか?

高:自分の馬をなかなか勝たせられずに、そのうち未勝利戦で自分の馬同士がかち合ってしまって、他のジョッキーに勝たれてしまうというのが8つぐらいあったんです。それで自分は2勝だったので…。本当に悔しかったですね。それからは競馬が終わってから、自分の乗り方について先輩に聞いて、教えてもらうようにしました。あとはレースのビデオも、自分が乗ったことのない馬のことも見るようになりました。これから先にその馬に乗せてもらうことがあるかもしれませんし、同じレースでライバルになるかもしれませんからね。

-:そういう研究をすることによって、何か自分の中に変化はありましたか?

高:競馬に乗っているときに、道中の位置取りはどうしようとか、全体の流れを意識するようになりました。それまでは自分がスムーズな飛越をすることを重視していましたけど、掲示板に載るような馬は能力があるので、飛越のときも馬自身がカバーしてくれますからね。自分の飛越のことだけではなくて、競馬の流れを意識するようになってからは、より落ち着いて乗れるようになりました。

-:一昨年にはそういうことがあったんですね。ちなみに去年はいかがでしたか?

高:去年は、一昨年のように自分の馬で人に勝たれるということはありませんでしたけど、自分の落馬が多かったですね。2/5と2/12の2週連続で落ちてしまったり。骨折とか大きなケガはありませんでしたが、歯が3本折れました。

-:大変でしたね。それに比べれば…。

高:今年はリズムがいいですね。順調にきているので、余裕が出てきました。

-:そういう良いリズムのなかで、ミラクルオブレナで初めてオープンを勝ったり、中山グランドジャンプではセイエイでG1初騎乗も経験されました。

高:そうですね。僕は小桧山厩舎に所属していたので、小桧山先生には「まだG1に乗ったことがないので、チャンスがあったら乗りたいです」って、ずっと伝えていたんですよ。未勝利を勝って連闘でG1に行くとは思いませんでしたけど、馬の状態も問題がなかったので大障害を使うことになって。

-:初めてのG1騎乗はいかがでしたか?

高:これまで乗りたい乗りたいと思っていましたけど、実際に乗ってみるとタフでしたね。中山のG1コースは、大いけ垣と大竹柵以外の障害は未勝利と同じなので、まずは初めて経験する二つの障害を無事に飛ぶことだけを気をつけました。セイエイは飛越が上手な馬ですし、レースでは後ろからいって、他の馬に影響しないポジションだったので、大いけ垣も大竹柵も問題なく飛べました。

-:無事に完走をされて。

高:良かったです。連闘で初めてのG1挑戦という条件でしたけど、結果が7着と思った以上に頑張ってくれましたね。馬も無事でしたし、馬主さんも小桧山先生も喜んでくれました。自分としても、すごく良い経験になりましたね。セイエイもまだ若いですから、またこれからチャンスがあると思いますし、人馬ともに2度目なら次のG1ではもっとやれると思います。

-:楽しみですね。では最後に、高野騎手が仕事をする上で気をつけていることがありましたら教えていただけますか?

高:気をつけていること、ですか…。そうですね、調教にはたくさん乗るようにしています。空いている時間にただ休んでいるだけではしょうがないですし、障害の馬だけでなく平地の馬でも乗ることが大事だと思います。水曜日は7頭の調教に乗ってから、更に障害試験を受けるということもありますよ。

-:大変ですね。

高:大変ですけど、乗らないとチャンスがありませんから。平地の馬の調教でも、その馬には乗れないにしても、その厩舎の障害馬で声をかけてもらえるかもしれませんし。あとは体の面でも、僕はまだ大丈夫ですけど、年を取ってくると体にガタがきて、乗りたくても乗れなくなってしまいますからね。

-:体のケアは何かされているんですか?

高:週に一回、マッサージを受けています。昔は腰が痛かったりしましたけど、最近はマッサージでケアをしているのでそういうこともありません。

-:そうなんですか。体調も問題なく、オープンも勝って、G1初騎乗も果たされて。あとは…。

高:重賞を勝ちたいですね。数をたくさん勝つのも大事ですけど、重賞を勝つとやっぱりインパクトがありますからね。そういうチャンスをもらえるように、頑張って調教を乗っていきます。

-:応援しています。今日はお忙しいなか、ありがとうございました。




【高野 和馬】Kazuma Takano

1984年 茨城県出身。
JRA初騎乗
04年3月6日 1回中京1日4R アンジェリーナ(11着/16頭)
JRA初勝利
04年4月18日 1回福島6日5R ノーザンスター
JRA通算成績は15勝 (12/5/13現在)


父と兄が厩務員(12/5/10現在) という競馬ファミリーで育つ。04年に美浦・小桧山厩舎所属としてデビューし、翌05年にはフリーに。その後は障害レースを中心に活躍を見せる。04年3月2日に高崎競馬場で行われた交流競走でコウテイノユメに騎乗し、初騎乗初勝利を達成。JRAデビュー日前に初勝利をあげる珍しい記録を持つ。