元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
先週のキーワードは3
2015/12/10(木)
さて、サッカーはチャンピオンSでしたが、競馬界では中京競馬場でチャンピオンズCが行われました。ダート界の重鎮であるホッコータルマエやコパノリッキーに対し、新勢力のノンコノユメやサウンドトゥルーなどにも注目が集まりましたが、見事優勝したのは、こちらもキーワードに3を持つ、3ルコ騎乗の3ビスタが優勝し、ミルコはJRA所属初年度で3つ目のG1勝利を手にしました。
レースは、ほぼ出揃う形となったスタートの中、ミルコ騎乗のサンビスタが押していく素振りを見せ、それを見た他馬が一気に加速していき、ごちゃつきながら1コーナーを迎えました。ここがミルコマジックの1つ目のポイントだったと思います。そのため、加速した馬達がハナを主張した豊ちゃん騎乗のコパノリッキーに競りかける形となってしまいペースも少し早くなってしまいました。そして迎えた4コーナーでは前に行った馬達が総崩れする中、内でじっと我慢していたサンビスタが外へ持ち出すと、右ムチに答えるように牝馬独特のキレを見せつけ見事優勝しました。直線では少し早い!と思わず声が出てしまいましたが、あのタイミングでなければ外へ出せなかったことを考えれば、結果としてはベストなタイミングだったのだなと思います。ここがミルコマジックの2つ目です。
12番人気で見事、初のJRAダートG1を制したミルコは満点以上の騎乗だったと思います。ノンコノユメもやはり力がありますね。ズブいところがあるので、鞍上のルメールも向正面より押していく形となりましたが、最内を突き抜けての2着は立派だったと思います。来年のフェブラリーSに向けては、本命候補となったレースでした。敗れたコパノリッキーに関しては、少しかわいそうなレースとなってしまいましたね。しかし、これが国際G1の怖さであり、楽しさでもあるんですけどね。ホッコータルマエに関しては少し体が太いように見えましたね。本来ならば、直線で抜け出した時からジワジワと伸びる、いつもの脚がなく、他馬と同じ脚色になってしまいましたからね。新勢力の圧勝で終わったチャンピオンCですが、次は重鎮の逆転も十分ありえます。ますます面白くなってきたダート戦線からは目が離せません!!
今週は日本から香港へと舞台を代え、国際G1が行われます。日本からは10頭の馬が参戦を表明し、無事に香港へと到着のニュースも流れました。この10頭の中でも、私が勝ち負けだなと感じているのはスプリント戦に参戦するストレイトガールとマイル戦に参戦するモーリス、そしてマイルの穴としてダノンプラチナに注目しています。どの馬にもチャンスはあると感じていますけどね。来年からは当レースも馬券購入できるだけに、今年から皆様には注目していてもらいたいと思います。
同日に日本では2歳牝馬初めてのG1、阪神ジュベナイルFが行われます。まず、注目を集めるのはメジャーエンブレムになるのではないでしょうか。出走馬3頭に跨り、ルメールが選んだというだけでも人気をしそうですが、前走あの展開で2着に残した力は本物だと感じています。鞍上も長らくG1制覇から遠ざかっているため、ここで決めたいと力が入っているとも思いますからね。
2番手は初の中央G1制覇にチャンスが回ってきた三浦皇成君のアットザシーサイドでしょうか。前走は前々走より、大幅に体が減ってしまった中での勝利でしたが素質は十分ですし、体が戻れば期待といったところになりますね。体が戻っていればと言えばアドマイヤリードも不気味ですね。小さい体ながら終いの脚は脅威の才能だけに、菱田君が気負いすぎることなく、馬を信じて走らせることができれば、こちらもチャンス十分だと思います。その他にも前走でのキレ味は本物でしょうデンコウアンジュにも注目したいと思います。来年のクラシックを担う大事な一戦!少しボーナス減ったなと感じる人は是非、ここらで取り戻しましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。