元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
アーモンドの目
2018/4/11(水)
皆様、こんにちは!メジャーリーグでは海を渡った大谷選手が大活躍ですね!打っては3打席連続のHRに投げても勝利となり、まさに獅子奮迅の活躍に同じ日本人として凄く嬉しく思います。彼の内容を聞いていると、そこに強さの秘訣がありました。持って生まれた体格に、少しずつ目標を達成するように書いたノート。その目標を達成していくことで、常に進化をしていること。その目標達成は簡単なことではありません。それをやり遂げる努力の才能こそが彼を支えていると思います。口では簡単に言えます。しかし、それをずっとやり続ける彼の活躍を、一ファンとして応援していきたいと思います。
それでは先週の競馬を振り返りましょう。桜が惜しくも散ってしまった阪神競馬場では、牝馬クラシックG1桜花賞が行われました。1番人気には無敗馬ラッキーライラックが選ばれる中、勝利したのはルメールとアーモンドアイでしたね。その怪物じみた強さに、見ている皆が「ポカン」としたことだったと思います。直線の入り口では後方2番手だった当馬ですが、直線に入っても鞍上の手は動かずに乗ったまま。前では絶好のポジションから100点満点の騎乗をしたラッキーライラックと石橋君が抜け出す中、肩ムチで合図と補正が入ると、終い33.2という怪物なタイムで全てを抜き去り勝利しました。
この勝利からも、ジェンティルドンナ級の怪物の誕生を改めて目の当たりにしましたね。乗っていたルメールでさえ「自分はただ乗っていただけ。馬が自然にレースをしてくれていました」のコメントに、久しぶりに心技体が揃ったスターの誕生と確信しました。父のロードカナロアは、ファーストクロップの年でいきなりのG1制覇となりました。2着にはラッキーライラックが入り、こちらも今年からの父オルフェーヴルと、まさに日本競馬の結晶が更に積み重なったのかなと感じましたね。勝利したアーモンドアイはルメールから早くも3冠宣言が出ましたが、それをも可能にするのではないかと思っています。あの折り合い、最後にある決め手。レース展開をも気にしない自分自身の強さがありますから。
もちろん、ラッキーライラックも逆転がないわけではないと思います。牝馬の成長時期は本当にバラバラで、今回はアーモンドアイがまさにはまったという印象がありますからね。ただ、女王アーモンドアイの直線で何回も自然に手前を換えているのを見ると、まだ緩く、更にここからキレ味に磨きがかかりそうな気もするんですけどね。人気馬が相応のレースをした引き締まったG1だったなと思います。もうすでに次のオークスを見据えた戦いが始まっています。怪物退治か、それとも怪物が更に見せつけるのか。オークスが今から非常に楽しみになっています。
牝馬クラシックのスタートは牡馬クラシック(皐月賞)のスタートでもあります。事前にはこちらも怪物ダノンプレミアムがザ石のために出馬を断念するハプニングになりました。すると一気に温度があがったのがワグネリアンではないでしょうか。新馬戦からこちらも非凡な走りを見せてくれていただけに、非常に楽しみな一頭です。そして、もう一頭がロードカナロア×ルメールが桜花賞と重なるステルヴィオでしょうね。こちらも前哨戦では圧巻の走りだっただけに、非常に本番が楽しみです。
その他にもエポカドーロは展開的にハマりやすそうですし、陰ながら期待しているオウケンムーンもいます。雨が降れば2歳王者タイムフライヤーの復活もあるでしょうし、新馬主のキタノコマンドールも北野武さんが名付けたことからも注目しています。クラシックは新たな競馬の歴史に刻む1ページ。果たして、どのような結果が待っているのか。心躍る生ファンファーレと共に、是非、中山競馬場で観戦してください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。