'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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【番外編】初の欧州遠征で見えたものとは!? 秋競馬の決意&ウラ話も公開!
2017/9/21(木)
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「約1週間の滞在でロンドン&アイルランドを堪能」⇒⇒⇒
-:馬の雰囲気自体はいかがでしたか?5頭乗られただけで、判断するのはどうかと思いますが。
圭太:2レースの3200m戦の馬だったのですが、良い雰囲気がありましたよ。勝てる力があったんだろうと思います。
-:向こうの調教師の方は、こういう招待競走でも指示があるわけですか?
圭太:あります、あります。その2鞍目(3着)も引き上げてきて、「よく頑張ってくれた」と。コチラからすれば、本当に申し訳ないという思いですが、受け入れてはくれますね。「いやいや、よく頑張ってくれた」と。内心どう思っているか分からないですが(笑)。
▲レース場では勝負師の顔を見せる
-:コースはいかがですか?初めて行って、3200mを乗るというのはなかなか大変だと思うのですが。
圭太:3200mはやっぱり経験が少ないじゃないですか。日本でも3000m以上なんて、そんなに乗らないから。それで1周ちょっとだから、スゴく広いコースだなという印象。高低差などは気にならなかったですけどね。
-:映像を観ていると本当に谷みたいでしたよ。傾斜は緩やかなのですか?
圭太:そんなには感じないですけどね。ただ、馬場が重たいんだろうなというのは感じますね。日本みたいに前に行って残るみたいな、そういうのがあんまりなさそうな。その日はみんな差しが効いていたんですけど。
-:そこら辺のコース適性、特性というのはどうやって把握したのですか?
圭太:レース前に馬場を1周歩いたんですよ。メッチャ広いので、30分掛かりましたけどね。馬場というよりはコース形態を知っておきたいので歩きました。コーナーはこの辺がキツいな、ここは直線じゃなくて、ずっとコーナーなんだ……など把握できました。
-:やっぱり日本とは異質ですか?
圭太:まあ、そうですね。綺麗な形ではないですね。でも、馬は慣れている雰囲気ですね。
「初めてヨーロッパに行って、まだ1回しか経験していないですが、もう自分に足りないものが明確になっているので、それを補っていければなという感じです」
-:そして、本題といいますか、向こうで乗られてから日本で乗られて、何か感覚の違いなど感じるものはありましたか?
圭太:いやあ、やっぱり色々と勉強になりましたね。でも、何が自分に足りない、こうでなくてはいけないなど、あやふやじゃなくて、明確になったというか……。初めてヨーロッパに行って、まだ1回しか経験していないですが、もう自分に足りないものが明確になっているので、それを補っていければなという感じですね。あやふやなままじゃなくて良かったなという感じです。
▲世界選抜チームの一員として参加
優勝はイギリス・アイルランド選抜チーム
-:そこを、分かりやすく教えてもらうと……。
圭太:じゃあ、それが日本の競馬に合っているかと言ったら、また別でしょうし、バランス良くやっていかなきゃいけないなと思います。その前提で、外国の騎手の乗り方を見ても、何でああいう乗り方をするのか、なるほどなというのも分かりましたね。でも、日本の騎手がああやって上手に乗ってくるのはこういうことなんだなと。違いも分かるし、何かスゴく良い経験にはなりましたね。
-:それは説明しづらい部分ですか?
圭太:何か自分の意見なので、それが良いかどうかも分からないから、あんまり外に出すもんじゃないかな、という感じですかね。日本と海外の違いといいますか、そこを切り替えられないといけないと。
-:それは、海外風と日本風で切り替えられるものですか。
圭太:切り替えないと超一流にはなれないですね。
-:ズバリ、できそうですか。
圭太:どこまでできるか分からないですが、挑戦はしていきたい。今までやっていたことを変える訳ですから。だから、これからの若い騎手たちには伝えていきたい、教えてあげたいと思います。僕の経験したことで伝えられることなので。
-:それは日本に戻られてから、多少意識されている部分なのですか?
圭太:いや、やっぱりすぐには。やると崩れちゃうから、そこはちょっとずつ取り入れて、そんなにガラッと変えられるものじゃないので。
-:昔はアンカツさんにもアドバイスをもらったり、中央の競馬に馴染もうとして、徐々に変えるべきものが、色々スランプに陥ってしまったこともありますよね。
圭太:たぶん、それができていけば、ファンの人が見ても分かってくると思いますけどね。でも、ちょっとずつ変えていこうと思っているから、そのちょっとずつを見たのでは分からないかもしれないですが、今と10年後の映像をパッと見比べた時に、変わっているんじゃないかなと。変わっていたいですね。
-:そういう発見があっただけでも、今回の遠征というのは収穫になったということですね。
圭太:はい、スゴく良かったですね。
-:ここからは多少余談ですが、アイルランドの競馬場の方はどうでしたか?
圭太:また広々としていて、どこにラチがあるのという感じの競馬場でしたね。また、アイルランドは雰囲気の違った壮大さも感じましたし、何か2~3年後に新しくスタンドが建つんですよね。そうすると、また綺麗になるんだろうなと。
-:それは普通の平場の日でしたか?
圭太:いや、G1もあって、それでライアン(ムーア騎手)が来ていたので、ビックリしましたけど。スマレン騎手とも会いましたよ。香港で一緒にバーで飲んだ仲ですからね(ニヤリ)。
-:それは言っていましたね。覚えられていましたか?
圭太:もちろん覚えられています。関係者席で観ていたのですが、ダーレーの代表で、トロフィーももらっちゃいました。一緒に行くぞ、的なノリでね。
-:それは、もともと面識がある方ですか?
圭太:いや、僕はないです。パドックも中に入れてもらって、そこでオブライエン調教師にも挨拶をして、という感じでしたね。色々経験できた旅でしたね。
-:アイルランドの国自体はどうでしたか。
圭太:スゴく良いですね。景色が綺麗で、気持ち良かったです。羊もそこらじゅうにいたり、海、山……自然が壮大ですね。
-:レースの質自体はいかがでしたか?それこそ、行かれる前に「ヨーロッパのジョッキー同士のレースを観たい」とおっしゃっていたのが、ちゃんとそこで観られたという感じですか?
圭太:まあ、そうですね。だが、やっぱり観るだけではなく一緒に乗りたいなとウズウズしましたよ。
-:そんなこんなの経験を、この秋、そして未来に繋げられればいいですね。9月以降の目標はいかがですか。
圭太:夏競馬も終わって、またG1も始まりますし、G1は獲りたいところですが、頂けた自分の仕事を精一杯やっていければ良いなと思っています。
-:G1、勝てますかね。僕は自然体で応援します(笑)。
圭太:勝てることを信じてやるだけです。何があるか分からないですから。どんな馬に巡り合うか分からないですから。
-:どんなレースも全力投球しつつ、ヨーロッパの経験を活かしたい秋ですね。今日は長々とありがとうございました。
圭太:ありがとうございました。
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「約1週間の滞在でロンドン&アイルランドを堪能」⇒⇒⇒
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は9月22日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成し、NARとのダブル1000勝は史上4人目の快挙を挙げた。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。