'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
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不振の夏競馬についても直撃&3日間開催の目玉はセントライト記念!
2018/9/15(土)
-:今週は園田のゴールデンジョッキーカップも行われました。1、4着ときていての3戦目は直前で競走除外。残念でした。
圭太:そうですね。応援してくれていたファンは残念だったと思うんですけど、やっぱり馬があってのことなので、そこは僕が感じたもので判断しましたけど。
-:人気的には伏兵扱いでしたが、着順を拾いさえすれば、優勝の可能性はあったなと。
圭太:それはタラレバなのでね。状態を上げて、馬が次に走ってくれればなと思います。
-:そして、改めて秋競馬に向けての展望というか、意気込みがあれば教えていただけますか。
圭太:もう一年の半分以上が過ぎちゃったな…と。月日の流れは早いですけど、今年はエポカドーロ(牡3、栗東・藤原英厩舎)と出会って、秋をこういう形で迎えるのも今までにはない形なのでワクワクしています。2歳馬もこれからまだまだ出てくると思いますし、出会いが楽しみですね。勝ち鞍においては勝てていないことは事実。そこは自分でもしっかりと受け止めて、秋は挽回して勝ってきたいですね。
-:精神的には変わりないですか?
圭太:そうですね。やっぱり勝つことが一番の薬というか、勝てていないことはもどかしい思いはありますけど、ちょっとここに来てまた気付くことだったり、感じていることがあるので、自分がどうなっていくんだろうな…楽しみだな…という感じですね。
-:楽しみはもっているということですね。一般的には「スランプ」な訳じゃないですか。僕はあんまりそう思っていなかったですけど…。ただ、成績が落ちていることを伺うのも、一般的な取材ではなかなか聞きづらいことではありますよね。今までずけずけと平気で成績がよくない時も話を聞いてきましたが、さすがに聞くのもどうなのかと、この夏場はちょっと気にしました(笑)。
圭太:いや、誰が見ても分かることなので、その辺は別に…。それをファンに届けるためには、やっぱり聞き手側からしたら、そこを聞いていかないとダメなんじゃないですか?僕も、それをしっかり受け答えしなきゃいけないなと思っていますし、全部が全部言えることではないですけど、ハハハ。
-:けっこう言っていないこともありますからね。僕も書いてないこともありますし。
圭太:ありますね。自分の中でやりくりしている部分もあるので。
-:ただ、こういったご自身のことはけっこう答えていただけますね。
圭太:そこは出来る範囲でやっぱり答えていかないと。
-:ちなみに8月はJRAに移籍してから月単位では一番勝っていないですからね。
圭太:勝っていないですね。そこまで数えてはいなかったですけど。
-:今年の3月と8月がワーストタイの月間4勝でした。さすがに僕も騎乗馬をみて話題も作り辛い時もあったのでもどかしさもあったんですけどね。正直、土日のラインナップを見て、今週みたいにここら辺は良さそうだなというのがない週もあったじゃないですか。
圭太:やっぱり勝っていないと話すネタもないですからね。これをやっている以上は、そこをやりくりしないといけないのが、お互いの仕事かもしれないですよね。多分、聞くことも嫌なんでしょうけど、答えるのも嫌なときも正直あります。やっぱりそこはやっていかないと成り立っていかないところだと思うんですよね。反応が良くない時もあるのでしょうけど…ファンやメディアの人に向けてしっかり対応していかないとね。
「技術的な部分と精神的な部分の色々で。何か気付かなきゃいけないところをおろそかにしてきたと改めて思うので。これは自分の中でツケというか…ありますね。だから、楽しみですよ。先週なんかでも勝てていないけど、やれることをやっての結果なので」
-:さっき「ちょっと気付くところもあった」という話でしたけど、具体的にはどんなことですか。
圭太:いや、その辺は…(自粛)。技術的な部分と精神的な部分の色々で。何か気付かなきゃいけないところをおろそかにしてきたと改めて思うので。これは自分の中でツケというか…ありますね。だから、楽しみですよ。先週なんかでも勝てていないけど、やれることをやっての結果なので。いい意味でまた来週、早く競馬に乗りたいという感じにはなっていますね。
-:じゃあ、いま焦りは…?
圭太:ちょっと前はまずいなという思いがやっぱりありましたよ。でも、少しなくなったかな。
-:今の心境というか、境地にはいつ頃から変わったのですか。
圭太:勝てていない間はずっと勝てていない、勝てていない、早く勝たなきゃ、早く勝たなきゃというだけだったので。じゃあ、何がダメで勝てていないのかが、ちょっと何か明白になっていなかったのでね。色々な人とも話をして、「なるほどな」というのもあったので、今は噛み合いつつあるので、これをモノに出来たら、もう一歩上に行けるかなという思いもあります。もっと自分を成長させていきたい思いが強いですね。
-:これという答えは明らかにはなっていなかったですけど、それを追々聞かせてもらえばなという感じですけどね。
圭太:そうですね。多分難しいですよね。競馬に乗っていないと何とも伝わらないかなぁ。伝えないといけないのもあるかもしれないけど。
-:ちなみに、熊野さんが一番近くで戸崎騎手を見られていると思います。勝てていない時の熊野さんの心境はどうですか?どこか勝っても負けても、検量室ではあまり喜怒哀楽がない感じがするのですが、よく気になっていました。
熊野マネージャー:それは、一緒にいてやっている以上は勝ってもらった方がね…。でも、僕の仕事は勝っていようが負けようがやることは変わらないので、変わらないですね。ただ、上手くいっていない時というのは、何かしら原因があるというか、なるべく観るようにはしているけど、だからと言って特別何か言えるかと言ったら…。気付いたことは言ったり、話し合ったりしますけど、やっぱりそこら辺は難しいですね。ただ、別に変わらないですね。
-:G1を勝っても、そんなに変わらないですからね。
熊:でも、大きいレースはやっぱり嬉しいですよ。ただ、良い時も悪い時もやっぱり変わらずに受け入れるのは大事かなと思いますけどね。
-:自身で競馬に乗られている時もそうでしたか?
熊:そうですね。そんなに。不利を受けた時は怒ったこともあったかもしれないですけど、ほとんどないですね。相手が未熟で、不利を受けてしまうことはしょうがないかなというのもあったから、注意はしますけど、そんなに怒ってもしょうがないというのはありましたね。もともとそんなにないですよ。
-:もともとの性格や考え方もある訳ですね。夏は移動もけっこう長いですし、行き帰りに今週の騎乗はどうだったなんて話はけっこうされるのですか?
圭太:「けっこう」はしないです。
熊:寝ることも多いし、帰りはお酒を飲んだりしているし、僕はゲームしたりすることもあるくらいで、ハハハ。ただ、余程気になったことじゃないと、僕から言うことはあんまりないですね。何か聞かれた時は聞きますし、レースで余程気になったことは、終わってすぐに言ったりするんですけど、結局家に帰って見直さないとね。その場の雰囲気で言っちゃうというのはどうなのと気がするので。実際にペースの数字が出て、実際と観た感覚は違ったりとか、パトロールもちゃんと観て言わないといけないし、そこら辺を安易に言っちゃうと、まだレースは続くし、ゴルフと一緒で本番を回っている時に、ホール毎にどうこう言っているとおかしくなっちゃうこともあるじゃないですか?完全に終わってからにした方が良いのかなと。
-:僕も思いますね。1回だけレースを観て、すぐにレース後にコメントを聞くというのは高度な作業だなと。
熊:だって、わからないですもんね。不利を受けた時だって、目の前に来た馬にやられたと思うけど、よくよく考えると、上がってきてパトロールを観たら、その外が絞ってきたというのがよくあるから。やっぱり1回冷静になってみないと。乗っている以上は視界が狭まっちゃいますからね。よくよく見たら、これは違うなというのがありますからね。だから、あんまりその場その場というのはないですね。気になったとしても後日ですね。
熊野マネージャー「僕が言えるのは競馬の組み立てとか仕方とか、ここでこうしたのはどういう心境でやったのとか、そういう程度であって、バランスや何だかんだ本人の感覚がありますから。もう、これだけ乗っていますからね。どうこう言える次元ではないですからね」
-:例えば、水曜日に美浦に行かれる時に、先週はああだったとか。
熊:そうですね。車の中で話をすることはありますね。でも、最近はあんまりないかなぁ。だから、僕が言えるのは競馬の組み立てとか仕方とか、ここでこうしたのはどういう心境でやったのとか、そういう程度であって、バランスや何だかんだ本人の感覚がありますから。そして、人それぞれ手の長さや重心の位置も違いますからね。そこら辺はあんまりプロフェッショナルじゃないので、僕は見えないですからね。
圭太:組み立て方がダメな時は言ってもらうし、ここはどうだったと聞くし。
熊:ただ、「何故ここでこうしたの」と聞いた時に「こういう状況だったから」と言われて、パトロールを観ながら聞くと、「なるほどな、しょうがないよな」というのがありますし。もう、これだけ乗っていますからね。どうこう言える次元ではないですからね。
圭太:あとは馬とのコンタクトの仕方など、今はそういうのだと思っているからね。
熊:感覚の域ですからね。
圭太:だから、何か話せない部分もありますよね。話せた方が良いのかもしれないですけど、(福永)祐一さんなどはその辺が素晴らしいなと思うんです。
熊:言葉で噛み砕いて上手に言える人はね。
圭太:その辺も今までやってきていないというか、それじゃダメになった時に、どうしたら良いか分からなくなっちゃうよね。もうちょっと説明出来るようなイメージも出来てきているので、自分の足らないところというか、成長できている思いはしますね。
-:色々と貴重なお話をありがとうございました。読者はどうかはわからないけど(笑)、僕は納得いく部分はありました。そして、気になるところでは、今週はエポカドーロの追い切りにも乗られたと思うので…。これは来週にとっておきます。
圭太:わかりました。また来週よろしくお願いします。
-:今回は長時間ありがとうございました!
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は9月21日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成し、NARとのダブル1000勝は史上4人目の快挙を挙げた。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。