'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
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万全を期すため… 戦列復帰のタイミングを見直し
2020/4/10(金)
復帰スケジュールに誤算。先週から牧場での騎乗をスタート。より実戦に近い形となる競走馬の騎乗を始めたばかりも、数週間先の仕上がりをイメージとしても「まだまだ」とのこと。予定としていた5月初めの復帰を見送ることにしたという。世界はウイルスの問題に揺らぐ日々だが、ジョッキーも怪我からの復帰というトンネルから脱するため、奮闘を続けている。
今週も調教に騎乗 復帰のメドを見直し
──先週は牧場での競走馬の騎乗もスタートされたとのことですが、引き続き進捗状況はどうですか。
今週はより競走馬に乗せてもらう頭数が増えました。といっても、1日数頭ですけどね。今回は速めの調教にも乗せてもらったのですが、これまで問題がなかったところ、流石に速い調教だと上半身の筋肉の張りが出ました。やっぱりスピードが速まる分、瞬時の動きに対応したり、体の使い方が変わってくるのだなと実感しました。
──負傷した肘の具合もそのレベルにはまだまだですか。
痛みはありませんが、まだ良くする余地はありそうです。
はじめは5月というより、4月の東京から乗れたらと思っていましたが、この感じではもう少し掛かりそうですね。やっぱり騎手って、ここから乗ります、と言っても乗ると宣言したから乗れるわけではなく、馬主さんや関係者の依頼があって成り立つもの。1週前、2週前から乗ると言ったからといって、すぐにどうこうできるわけじゃないですからね。だから、ある程度、先のスケジュールを立ててから、戻るという形じゃないといけない。1週間に1頭や2頭なら、直前でもどうにかなるのかもしれませんが。
▲今週は桜花賞 戸崎騎手は過去6度騎乗している
──ましてやコロナウイルス問題の影響で今週から5月3日までですが、騎手の節内移動が不可能になりましたよね。東京はG1が続く分、トップジョッキーが集まる可能性が高いでしょうし。
そうですね。1カ月前というわけじゃありませんが、コレならいけるなというシックリ来た段階で、初めて復帰日も見えてくるでしょうし、今の状態だったら、先の見通しを予測するとまだまだだなと思うので……。とにかくこれからも馬に乗せていただいて、感覚が変わってくればと思います。
──11月4日の負傷以降、半年以上掛かることになるわけですが、たとえG1があっても、見切り発射だけは避けたいと。
中途半端な状態では乗りたくないですからね。怪我をした頃を思えば、馬に乗れていること自体が幸せだなと感じますし、そんな気持ちでまたレースに戻れればと思います。
元・パートナーから見たダノンキングリーの敗因
──そして、先週の競馬は大阪杯ではダノンキングリーが出走し、3着でしたね。ペースはそこまで厳しくなかったと思いますが、逃げ切れませんでした。
スタートの良さを見ても、具合はいいと感じました。主張する馬もいなかったですし、ハナで気持ちよく逃げられたのかもしれませんが、最後は距離の面もあったのかなと。4つコーナーの2000mは急坂もありますし、タフですからね。東京の2000mなら、また違ってこなせるのかもしれませんが。ただ、マイルCSの敗戦は輸送の影響もあったんだと思います。今回は早めに輸送したこともあってか、そこはクリアしたんじゃないでしょうか。
──今週の桜花賞には同じく何度か騎乗されてきたマジックキャッスルが出走しますね。
前走は強い内容でしたね。今回も差す競馬になるんじゃないかと思いますが、今年もいいメンバーですから、どこまでやれるか楽しみです。
──桜花賞はJRA移籍初年度から何度も騎乗されていますが、思い入れはどうですか。
う~ん、逆の意味でありますね。決していい結果を残せていないレースですし、いつか勝ちたい、獲りたい思いはあります。
──昨年騎乗したレッドアステルは自己条件ではありますが、先週の中山でも出走していましたね。
当時とは違って長い距離でしたが、こなせて良さそうですね。段々力をつけているようですし、今後も楽しみですね。
──その他のレースでは、南関東での交流重賞はどうでしょうか。東京スプリントではジャスティンが勝利しましたね。
(坂井)瑠星は良かったですね!地元ですし、お父さんの坂井(英光調教師)さんも現場にいたようですし、記憶に残る勝利だったんじゃないかと思います。あとは矢野(貴之)も先週、今週と活躍していましたし、南関東勢もこのところ交流重賞での活躍が目立ちますよね。なぜかは分かりませんが、馬のレベルが上がってきたんじゃないかなと。
──一方、人気を集めたコパノキッキングは意外な結果でした。
僕も一度乗せていただいたので、感覚が分かるところもありますが、気難しいところのある馬。ああいう負け方もどこか納得できる部分はありました。レース振りも悪いわけじゃなかったと思うので。
──ここのところの南関東競馬全体で気になるポイントはありますか?ジョッキーでは昨年より本田正重騎手は勝ち星を伸ばしている印象ですが。
いい流れできているんじゃないですかね。あと、一時の怪我の流れもようやく収まってくれたことは良かったです。馬の方は以前よりも中央にいた馬がよくいるイメージがあります。中央も3歳未勝利が早く終わるようになったり、降級がなくなったからかな。
──そして、次週は引き続きリハビリに続き、牧場での騎乗も継続される予定ですか?
社会が自粛や休業を余儀なくされている中、自分は馬に乗っていていいのか、という思いはありますが……その予定です。ただ、オリンピックが延期になったり、他のプロスポーツが開幕を見送っている中、競馬開催がやれている限り、しっかり続けていきたいもの。予防をしても病気になってしまうことはあるのでしょうが、一人一人の考え方、取り組み方に懸かっていると思います。最近でも、屋外に大人数でマスクをせずにたむろしている人を見ましたが、気をつけてもらいたいなと思いますね。
──怪我や今回のウイルス以前から、食事には気を遣ってこられたと思います。免疫力を上げる食事はあったりしますか。
これというものは分かりませんが、あれだけやっていますからね。
──では、次週は自宅で出来るジョッキー流トレーニングを教えていただければと思います(笑)。よろしくお願いします。
最近よく紹介している方もいるようですね(笑)。ありがとうございました。
──ありがとうございます。
※次回は4月17日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話にて取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成し、NARとのダブル1000勝は史上4人目の快挙を挙げた。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。