'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
10月7日時点1543勝
ソングラインと安田記念へ!連覇&名牝の道を目指す
2023/6/2(金)
今週から競馬界は2歳新馬、3歳と年長馬の争いが始まる節目を迎える。また、日曜には連続G1を締めくくる安田記念。今年の戸崎騎手は前年度覇者であり、前走を勝利して臨むソングラインと臨むが、期待に応える騎乗となるだろうか。
「攻め」の調整で前走以上!
——先週はダービーもありましたが、まずは実績馬に騎乗されるということで、安田記念(G1)のソングラインの話題から伺っていきたいと思います!
中2週ではありますが、先週に続いて乗せていただき、追い切りもしっかりこなせました。馬の状態も上がってきていますし、楽しみですね。
——先週の時点で追い切りに乗られていることにも驚きましたが、この間隔でもしっかり乗り込めていることに驚きますね。それだけ普段から精神的にも余裕があるからなのでしょうか。
精神的にもそうですし、肉体的にもへこたれていないのが立派ですね。これぞG1馬なのかと思います。中2週での調整に少なからず不安があることは本音でしたが、(林)先生とも話し合いつつ、しっかり調整できました。
——前走もいい相手関係だったと思いますが、またそこから上がってきた印象も受けます。
男馬相手になりますし、強くなることは事実ですが、昨年も勝っているレースですからね。
——前走は良馬場発表ながらひと雨があり、敗因を馬場に挙げている陣営もいました。日曜の天気は不透明ですが、ドボドボの馬場でなければこなせそうですか?
そう思います。ある程度の道悪ならこなすと思いますし、とはいえ、良馬場でも勝っていますし、対応できる幅は広そうです。あとは自分の判断次第ですね。
——枠順はまだ発表されていませんが、おそらく上位人気になりそうですね。
前走と違ってレースでも乗せていただいたことはプラスになると思います。これだけの馬を任せてもらえることに感謝したいですね。勝てば連覇はウオッカ以来らしいですからね。勝負事なので、その時、その時の状況が出てきますが、また勝つことができれば名牝と呼ばれるような域になると思いますし、その手助けできればと思います。
——今週土曜の話題から伺うと、レッドセリオンは初出走ですね。
馬体は立派で気持ちのある馬です。2000mやノメって走るような姿勢なので馬場が悪かった場合の不安材料はありますが、どんな走り方ができるか、ですね。
——稲城特別のフレーヴァードは追い切りに乗られました。
ルージュバックの仔ということで注目していました。追い切りの感触では、さすがにルージュバックと比較するのは酷ですが、走り方は似ていますし、ポテンシャルを感じました。まだ子供っぽさはありますが、若さを出さず走ってくれれば楽しみです。
——麦秋Sのアルファマムは現級でも成績を残しています。
力はこのクラスでも足りると思います。ただ、展開に左右される面は否めないですね。馬場は脚抜きが良くなってもこなせると思いますよ。
成長の余地を残すシーズンリッチ
——先週の日本ダービー(G1)はシーズンリッチと臨まれました。
追い切りも2週続けて乗せてもらったことで状態の良さを感じていました。レースでは気持ちも入っていて、高ぶる面もあったのですが、やっぱり前に壁が作れたら良かったですね。
——それだけ外枠は良くなかったということですね。
馬の気性的にも、コース的にも外枠の不利さは言えますね。
——展開的には大逃げの馬がいたものの、後続はスローでしたね。
展開的には上手くいったと思います。現状の走りはできたと思います。少々繊細な面もありますし、精神的には落ち着きが出て欲しいですね。あとは体力、筋力がアップできれば成長してくれることを期待したいです。上手くいけば伸びしろはあると思います。
——エイカイマッケンロはどうだったでしょうか。
スタートが上手く行かなかったですね。思っていたより後ろになりましたし、上手くいってこそ、という面もあるので、外々を回って伸び切れなかったです。
——マイショウチャンはどうでしたか。
こちらも噛み合ってこそ、ですし、返し馬の雰囲気は前走の方が良かったですね。外からプレッシャーも掛けられ伸び切れなかったです。
——シャドウフューリーで勝たれました。
距離を詰めたことがいい方に出てくれました。まだ体も緩いですし、しっかりしてくれれば安定してきそうです。現状は1600mだと前進気勢がある分、行き過ぎそうですし、この距離の方が良さそうですね。
——タナサンブラックは案外な結果でしたね。
う~ん、能力で東京コースもカバーできると思いましたが、期待していた上向き方ではなかったですね。ワンペースなのかもしれません。
——インディストーンは人気薄で3着でした。
東京の流れが合った感じですね。強い相手に頑張ってくれました。
——昨年はダービーでの騎乗が叶いませんでしたが、今年の現場の雰囲気はどうでしたか?
思ったほどそわそわしたように感じなかったですね。でも、今年はどこか俯瞰して見える面がありました。これが今後もこんな意識で臨めたらいいですが……。あと、スタンドはやっぱり今までよりはファンの数が少ないように感じましたね。
——今週から2歳新馬戦も始まりますね。
また来年も乗れるように、いい出会いがあればと思います。こればっかりは運もあると思いますが、少しでもいい馬が回ってくるよう出来る準備はしっかりやっておきたいですね。
——夏といえば例年、勝ち星を挙げられます。
いやいや、良い馬を乗せてもらっていますからね。
——斤量面は今年から3歳馬の斤量も上がっていますね。
今は自分のコンディション的にも53キロに乗れればいいという体重になっていますね。
——今夏は宝塚記念には騎乗されないそうですし、G1での騎乗は今週が一区切りとなりそうですが、次週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします!
※次回は6月9日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。