岩田コース?内ラチにこだわり直線弾けるヴェアデイロス

トピックス

日曜京都8R
かえで賞
芝1200m
勝ちタイム1.08.9

ヴェアデイロス(牡2、父サクラバクシンオー・栗東・佐々木晶厩舎)

※※岩田コース?内ラチにこだわり直線弾けるヴェアデイロス。

《ブラジルの国立公園》とあるヴェアデイロスの馬名の由来。外枠から直ぐに内へと入って行き、ついには内ラチ沿いまで進めている乗り方の岩田J。《あれっ?同じ様な乗り方を観たぞ》と思い出す。土曜の新馬勝ちのタガノグーフォとソックリ。違うのは、今回は内目をそのまま突いて来た事。外枠の不利をすぐに解消させ、経済コースを通る有利さに換えて直線で温存した脚を一気に解き放つ、そんな工夫をあっと言う間にしてしまう乗り方。
ヴェアデイロスを気持ち良く走らせてあげている。そうか公園で気分を良くさせてくれるのか・・・??

実はここには注目していた馬がいた。モズベラベラである。札幌の勝ち方が実に鮮やかな印象的だった馬で、おそらくここでもそんな小気味のいい脚で直線で伸びて来るのだろうと楽しみにしていたものだ。ところが最初から最後まで見せ場がなし。特に直線では、馬場の外目に出した秋山Jの気持ちとはうらはらに最後方でのゴール。レース後に思わず《どうしたの?》と聞いてしまった程。《いや~。期待していたんですけどまったくでした。判りません》と首をかしげていた。本当に競馬は毎回違うものになる傾向がある…。

レースは、いちばん内のゴーイングパワーの逃げから始まった。外のモズベラベラと地方馬のルンタノチューの出が悪いのが見えた。2番手にオウケンハナミズキ、そしてもう1頭の地方からの参戦馬タガノメッセンジャーが続く。タマモオンゾウシは好位の内目での競馬である。外にはビッグプレゼンターが少し前にいる。ここで前から5番手だが、その少し後ろにヴェアデイロスがいて、内をチラっと見た岩田Jがスペースが十分と内へ入って来ている。
2ハロンへ行く間に、タマモオンゾウシが内目から少し順位を上げて、前との差を詰める。ポッカリと開いた空間で、6番手のヴェアデイロスが続く流れで、3コーナーを廻っていく。この後ろにアブシンベルが内目で、外にカシノインカローズ、その直後がモズベラベラ。最後方は3馬身ぐらい遅れてルンタノチューである。けっこうな縦長の隊列となっている。

4コーナーが近づくが、先頭は相変わらずゴーイングパワーが単騎で逃げる。その後ろをオウケンハナミズキを筆頭に、3頭ぐらいが横並びに近い形。一番内がタマモオンゾウシ。その背後をヴェアデイロスがラチ沿いを進む。
4コーナーのカーヴを一気に差を詰めて上がってきたのが、ビッグプレゼンター。先頭に踊り出ようかの勢いだ。
直線に入って来たが、まだ先頭のゴーイングパワーは手応え十分。その後ろで、今度は4頭が広がって追う。最内を廻ったタマモオンゾウシだが、その外へ出してきたヴェアデイロスがグッと差を詰める。

ゴーイングパワーが先頭で、各馬が追い出しにかかる。ゴーイングパワーがそのまま押し切りかと思えたが、タマモオンゾウシとオウケンハナミズキとの間をヴェアデイロスが一気に割って前へと出てきて、ゴーイングパワーを追う体勢となる。
ゴーイングパワーは内ラチ沿いへ寄って行き、最後の粘りを見せるが、その外からもう手綱を押すだけで加速がついたヴェアデイロスが交わして行く。
3着には、直線で大外へ出てきたアブシンベルが、粘るタマモオンゾウシを交して入っていた。
勝つには勝つなりの乗り方があると、岩田Jが教えてくれている様でもあった。

平和な公園で、大道芸人がさりげなく練習をしている。しかしそれがなかなかなものと見ている散策中の人が関心する。そんなヴェアデイロスの意味合いを込めた風景が思い浮かんできた・・・。


日曜京都4R
2歳新馬
ダ1200m
勝ちタイム1.11.7

ナガラオリオン(牡2、父アドマイヤマックス・栗東、大根田厩舎)

※※ナガラオリオンが押し切る強さを示す。

逃げるシゲルアセロラに4コーナー手前から並びかけて行くナガラオリオン。直線に入るとアッサリと先頭に立ち、そのままゴールを目指して行った。最後にラヴァンドゥーがかなり接近してきて着差は1馬身もないものだが、危なげない勝利と言えるものだったナガラオリオン。勝ち時計も、重馬場発表の新馬戦で1.11.7は悪くないもの。ちょっとレベルの違う強さを見た思いであった・・・。

スタートは、シゲルアセロラが少しだけリバーリンカーンより速かった様だ。その半馬身ぐらいの差で先頭へと出て行くシゲルアセロラ。ラヴァンドゥーが4、5番手ぐらいと思っている処を、あまり出が良くなかったナガラオリオンが押して前へと出てくる。1ハロンまでの間にリバーリンカーンを抜いて、2番手まで取り付く。
2ハロンを過ぎたあたりでは3番手にトキノビスコンティが上がって、その後ろにラヴァンドゥーが続く隊列となる。3ハロン棒を通過の時は、先頭のシゲルアセロラに1馬身後ろでナガラオリオンで、その真後ろの内ラチ沿いにラヴァンドゥーが4番手でいる。シゲルアセロラはマイペースのいい逃げだと思えた。
そして4コーナーへと入って行くまでの間に、ナガラオリオンが先頭のシゲルアセロラに並びかけていた。
4コーナーを廻る前からの攻防となった。後ろでは2頭が並走。内のラヴァンドゥーが少し前には頭を振っていたのだが、もう何事もなかった様にいい感じで前をうかがう手応えだ。そこから2馬身後ろの内ラチ沿いに、クールフォックスが続いていた。

カーヴを廻って直線へ向いて来た時には、外のナガラオリオンの方が前へ出ている様子だ。後ろではラヴァンドゥーが、内目から外へ出しかかっている。前は完全にナガラオリオンの勢いが優って、内のシゲルアセロラを置き去りにして目指すはゴールだけとなる。
ラヴァンドゥールが加速して前を追う。シゲルアセロラがドンドン離れて行く。完全に前2頭の争いとなる。川田Jのステッキでラヴァンドゥーも脚を伸ばして行くが、ナガラオリオンが先にゴールへと入った。
3着シゲルアセロラは5馬身後ろ。そこから9馬身後に4着馬が入った。

前半3ハロンは35.6とそう速くはない。しかしその後を11.8~11.6で最後が12.7。これはほとんどナガラオリオン自身のタイムとも言えるだろう。800メートル47.4で1000通過が59.0は決して遅い流れではない。
後で武豊Jが《3ハロン過ぎてもう後続は離れただろうと思っていたら、直ぐ傍に安藤さんがいるんだものね~》であった。それだけ早めに来て、そして加速して行ったナガラオリオンは想像以上に強いと言う事だろう。
1.11.7は、今の2歳新馬戦ではかなり秀逸なタイムと言える。ラヴァンドゥーも次走は確勝なのか。


日曜京都5R
2歳新馬
芝外1800m
勝ちタイム1.52.1

レッドエクスプレス(牡2、父ディープインパクト・栗東・角居厩舎)

※※今年も伝説の一戦となるのか。レッドエクスプレス、快勝!

アンライヴァルド、ローズキングダム、昨年がダノンバラードと、このレースを勝った馬、戦った馬達が出世すると語り継がれる新馬戦である。ディープインパクト産駒が3頭の出走。その1頭で1番人気のクランモンタナの方は直線で伸びあぐねて4着。しかし2番人気レッドエクスプレスが着差以上の強さで勝ち上がった。メイショウアマクサが1000メートルを1.04.0のスローで逃げる。その2番手を進むレッドエクスプレスは、直線で前を追いかけて抜いて行く時にムチ3発入れたぐらい。後は手綱を押すだけの、けっこう楽な伸び脚で勝利を飾ったものであった・・・。

スタートは内の方の3頭が出が悪かった。レッドエナジーネヴァーハーツは出た後で前の馬が寄ったのか、進路がなくなり立て直すロスであっという間に前のグループと差がついていた。その前はスッとメイショウアマクサが先手を主張。外のアンジェロフォーグが2番手かと思いきや、レッドエクスプレスが出てきて2番手。その後がディープインパクトの子供モンクール4番手。外がアロマティコ。8頭の集団であるが、最後方の一番内にクラモンタナが続く。遅い前半の入りであるから、レッドエクスプレスは先頭に並んで行きそうなぐらいの勢いだ。
クランモンタナが少しずつ順位を内から上げる。3ハロンを37.2と、やはりここでも遅い。後ろのネヴァーハーツとレッドエナジーの2頭が、8番目のマイネルアイザックに追いついてきた。坂の頂上あたりでは先頭メイショウアマクサ、2番手レッドエクスプレスが1馬身差で続き、その後が外にアロマティコで内がクランモンタナで、前とはすぐに迫る間隔。
次の1ハロンがまだ速くなってはいなかったが、ここでレッドエナジーが外をマクって出て、クラモンタナの少し後ろまで上がって来ていた。

4コーナーのカーヴへとさしかかる時には、もう馬群はもっと接近。最後方のマーブルブリッツが2馬身ぐらい離れているが、後の10頭は大接近だ。
外をレッドエナジーが押してさらに前へとうながしているが、その後ろをネヴァーハーツが押して押して上がって来ている。
カーヴを廻り直線に入って来たが、メイショウアマクサを先頭にして10頭が扇型になっている。レッドエクスプレスの内に入って来たクランモンタナで、一気に差がなくなりかける。それもそのはずで、先頭のメイショウアマクサがまだゴーサインを出していない。

内廻りの4コーナーが近づいて来た時に仕掛けられたメイショウアマクサ。一気にギアをトップに入れた様子。ここで2番手レッドエクスプレスもうながす様にステッキを入れて前を追う。内ではクランモンタナがその瞬時の動きについて行きかねる感じだ。
残り300のオレンジ棒が過ぎた途端に、レッドエクスプレスが前との差を埋めて並び、そして前へと出る。
残り1ハロンとなった攻防。もうレッドエクスプレスはトップスピードに入った様子。ジワジワとメイショウアマクサとの差を広げ出す。
かくして今年の伝説の新馬戦は、ディープインパクト産駒のレッドエクスプレスが勝利となった。
3着アロマティコで、4着クランモンタナに迫ったのが5着ネヴァーハーツであった。
最後の1ハロンは11.5の切れで、ここをほとんど追ってないレッドエクスプレスである。

岩田Jに後で聞いたら《いいですね~》であった。やはり見た目以上に強い勝ち方だったのだろう。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。