-日経新春杯-平林雅芳の目

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日曜京都11R
日経新春杯(GⅡ)
芝外2400m
勝ちタイム2.23.7

トゥザグローリー(牡5、父キングカメハメハ・栗東・池江厩舎)

※※今年も池江厩舎。勢いは変わらず好発進。トゥザグローリだ!!

トップハンデの58.5を背負いながらも、ここでは格が違うとばかり最後は流し気味でのゴールだったトゥザグローリー。天皇賞5着、有馬記念は2年連続の3着。あの激走からまだ間がないが、ここは負けられぬ一戦。4コーナーまで内目で脚を温存して直線へ。しかし大外へは出さずに狭いところを通してきて、先に抜け出た僚馬ダノンバラードをアッサリとかわしていった。3着にはゴール前でマカニビスティーが今回もいい脚を使ってきた。
今年の初陣を安定した力で勝ち上がったトゥザグローリー。もっと強い僚馬が待っているこの春。だがいい一歩を踏み出したようだ。

寒い時期だけに、どの馬も体重が増えているのは仕方あるまい。プラス26キロと立派な体となったスマートロビンが出て行った。ここは主導権を主張してのレースとなった。けっこうな行きっぷりで、一度たりとも13秒台に落とすことのない平均的な逃げを展開する。

4コーナーの奥深いところからのゲート。一番内のスマートロビンが内へ少し切れ込む様なスタート。真ん中のメイショウクオリアが出て行き先手かと思えたが内からスマートロビンが前へと出る。外のビートブラックも出てきて、結局はスマートロビンが先頭、2番手にはナムラクレセントトップカミングが内ラチ沿いに入る。外にビートブラックで、メイショウクオリアは前から5頭目となる。トゥザグローリーはその後の内ラチ沿い、ダノンバラードがその外で1周目のゴール板前を通過する。

1コーナーを過ぎ2コーナーを廻っていくが、ややスマートロビンは行きたがるのか、鞍上の安藤勝Jがけっこう立った感じのフォームである。2番手にビートブラック。向こう正面に入る。先ほどよりも前との差がなくなった2番手の2頭。その後が2馬身ぐらい空いてマゼラン。ダノンバラードはその少し後ろの外目を廻っている。内ラチ沿いにはトゥザグローリーである。
1000メートルを59.1と、この距離にしてはけっこういい流れでスマートロビンが行く。さらに坂を上がっていくあたりでは、前の3頭がさらに接近していく。ナムラクレセントが差を詰めたようだ。4番手グループは少し間が開く。坂の頂上では、全体の馬群がけっこう短くなっていく。坂の下りで後方で動きがある。スマートロビンが少し行く構えを見せている。

残り800のあたりで、再びスマートロビンが差を開けていく。ピッチが上がった様子で、少し手が動き出す馬が出てくる。馬群の半分より少し後ろにトゥザグローリーで、内でジッとしたままだ。ダノンバラードはもう3番手の外へと上がっている。その真後ろにリベルタスが続き、スマートロビンが続く。

馬群が一遍に短くなり、最後のカーヴを廻っていく。直線に入ってきた。スマートロビンが追い出す。しかし外にビートブラックが並ぶ感じで迫る。外のダノンバラードも前へと出てくる勢いだ。その後ろではトゥザグローリーが内から中へと進路を変えているのが見える。
残り300のオレンジ棒を通過。まだスマートロビンが先頭だが、脚色が鈍い。ダノンバラードが先頭へと踊り出そうだ。
残り1ハロンを通過。ビートブラックが先頭も束の間、ダノンバラードが出るが、もうトゥザグローリーが後ろから接近してくるのが判る。勢いの違いはあきらか。

トゥザグローリーがアッと言う間に先頭に立って行く。2着もダノンバラードが確保。その後ろが見もの。ビートブラックが粘ろうかという処を、マカニビスティーが小牧Jの右ステッキに呼応して凄い伸びでかわして行く。ダノンバラードに半馬身まで接近してのゴールであった。
そんな喧騒を後目にトゥザグローリーは先頭に立って後はもう流し気味のゴール。58.5のトップ・ハンデを背負いながらのこのパフォーマンスである。はっきりここでは役者が違った感じであった。

記念撮影の中に、池江泰郎元調教師が収まっていた。この1、2着は元管理馬である。そのワンツーを子息の池江寿師の元でやってくれた訳である。笑顔が嬉しそうであった。
まずはいいスタートを切れた池江勢の古馬陣。まだ真打が控えているわけだがそれはそれ。幸先のいい滑り出しと言えようか。肌にしみる程の寒さも、ウイナーズサークルあたりでは熱気に変わっているのではなかろうかと思えた・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。