ラストランに向かう無敗のフランケル[和田栄司コラム]

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フランケルのラストランが迫って来た。20日(土)英アスコット競馬場で行なわれるG1チャンピオンS(芝10F)、チャンピオンズデーのチケットはあっという間に完売、追加も出たがこれも瞬く間に完売した。チャンピオンSは最大8頭立てになりそうなムードである。

サドラーズウェルズ産駒の5歳の牡馬ブレットトレインは、フランケル陣営が用意したペースメーカー。今年はフランケルが出走した4つのG1全てに出走、役目を十分果たしている。イアン・モンガン騎手。

イーヴントップの6歳のセン馬シリュスデゼーグルは、ニューマーケット競馬場からアスコット競馬場に移った昨年の勝馬。今年はドバイシーマクラシックとガネー賞、2つのG1を勝ち、G1・3勝馬となった。6日ロンシャン競馬場で行なわれたG2ドラール賞を9馬身差で圧勝して臨む。オリビエ・ペリエ騎手。

ウォーフロント産駒の3歳の牡馬デクラレーションオブウォーは、仏国のジャン・クロード・ルジェ厩舎で2戦2勝、今年から愛バリードイルの1員となった。シーズンデビューが9月と遅れたが、5日ダンドルク競馬場のポリトラック馬場でG3ダイアモンドSを追い込み勝ちして臨む。ジョセフ・オブライエン騎手。

ガリレオ産駒の4歳の牡馬フランケルは、7ハロンから10ハロンと88ヤードの距離、重馬場から堅良の馬場で13戦無敗。今年は4戦、G1勝ちは9となった。レースレーティングで140以上を2度にわたって出したフランケルは、同じアブドゥッラー王子が所有していたダンシングブレーヴを既に超えたと言って良いだろう。トム・クウィリー騎手。

キングマンボ産駒の4歳の牡馬マスターオブハウンズは、春先のドバイでG1ジェベルハッタを勝った。久々となった9月2日、トルコ、イスタンブールのローカルG2国際トプカピトロフィーをクビ差勝ちして臨んで来た。クリストフ・スミヨン騎手。

ガリレオ産駒の4歳の牡馬ナサニエルは、熱発明けから臨む。今季はエクリプスSで復活したが、キングジョージもアイリッシュチャンピオンSもデーンドリームとスノーフェアリー、トップ牝馬の前に敗れて2着。出走出来なかった凱旋門賞の分も良いところを見せて貰いたいものだ。ウイリアム・ビュイック騎手。

ソルジャーホロー産駒の3歳の牡馬パストリアスは、独ダービー馬でその後のG1ダルマー大賞を8馬身差圧勝した。バーデン大賞ではデーンドリームの1馬身差3着に敗れたが、3日ホッペガルテン競馬場のG3を余裕で勝って初の海外遠征に臨む。アドリー・ド・フリース騎手。

モーティヴェーター産駒の3歳の牝馬リダシーナは、凱旋門賞が行なわれた日のG1オペラ賞勝馬。3歳デビューながら3連勝でG3クロエ賞まで勝ち進んだ。しかし、8月のG2ノネット賞は5着と躓いた。それでもG1初挑戦のオペラ賞を早めに抜け出して勝つあたりに、この馬の潜在能力の高さを感じる。クリストフ・ルメール騎手。

世界の最高の馬としてラストランに向かうフランケル、2頭合わせの公開調教は15日ニューマーケット競馬場で行なわれ、万全の仕上がりに映った。20日のアスコット競馬場の馬場予報はソフト(重)、少し雨が落ちるようだ。

海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。