平林雅芳の目

トピックス

土曜東京11R
京王杯スプリングC(GⅡ)
芝1400m
勝ちタイム1.20.6

勝ち馬:スズカコーズウェイ(牡5、栗東・橋田厩舎)

しっかり伸びたスズカコーズウェイ。後藤Jで初重賞制覇!

好位で脚を十分貯めて、直線は馬場の真ん中から真っ直ぐに伸びたのは、前走条件を卒業したばかりのスズカコーズウェイだった。
その後ろから、外へ出して追い上げたトウショウカレッジの猛追を尻目に、先にゴールに飛び込んだ。
出来のよさをそのまま表したもので、コツコツと地力をつけた古馬がまたここで開花。後藤Jも嬉しい今年の初重賞勝ちとなった。

スタートでタケミカヅチが躓き後手に廻ってしまい、ブービーの位置どりとなった。
好発はトウショウカレッジファリダットだったが、外からダッシュをつけマヤノツルギが先頭に躍り出た。
マイネルファルケウエスタンダンサーが続いていった。
3角手前で、中団にいたスマイルジャックが狭くなり、手綱を引っ張るアクシデントが発生。
ちょっとごちゃつき、ファリダットもやや馬体を下げた。
好位の5、6番手には、スズカコーズウェイがいい感じで進んでいた。
その少し後方の内目にトウショウカレッジが続いた。
ファリダットはこの両馬からまだ後ろ。 しかし内ラチ沿いをじっと我慢させていた。

4角を廻って直線に入った。
先頭のマヤノツルギはまだ我慢していた。
後400メートルのハロンのあたりでも先頭。
外のマイネルファルケの手応えはまだ余裕残しだったが、ここらで後続が追いつきだして最内のボストンゴールド、そのさらに内からスルスルと進出してきたファリダットの脚色が良かった。

4角を先行馬の好位で廻ったスズカコーズウェイが、直線は逃げた馬たちの外へ出して、馬場の真ん中をいい伸び脚で前へ前へと伸びた。
内から外へ出してきたトウショウカレッジが猛追して、前をいくスズカコーズウェイの外へ馬体を併せに行った。
最内のファリダットとの3頭の争いとなった。
一旦内ラチ沿いのファリダットが一番前に出たように思えた瞬間もあったが、外の2頭の伸び脚が良く、逃げ込むスズカコーズウェイに追いすがるトウショウカレッジ、その内側でジワジワと伸びるファリダットが後続とハッキリした差をつけてゴールへと向った。

最終的にはクビ・クビの差であったが、スズカコーズウェイがしっかりと伸びて重賞挑戦3度目で初重賞制覇となった。
1600万下条件を長らく経験していたスズカコーズウェイだったが、前走で条件戦を卒業した勢いと出来の良さをそのままここで表現。
嬉しい初重賞を後藤Jとの初コンビで達成した。
この後は安田記念へ向う予定だそうだ・・。


日曜東京11R
ヴィクトリアマイル(GⅠ)
芝1600m
勝ちタイム1.32.4

勝ち馬:ウオッカ(牝5、栗東・角居厩舎)

胸がスカッとしたウオッカの快勝。

2着馬に7馬身差、強風の中で先週のNHKマイルCと同じタイムでの勝利。
特にゴール手前の2F目は10.8と驚愕のラップで、鋭さをも演出して見せたウオッカ
さすがに昨年の年度代表馬の貫禄は違っていた。 ウオッカらしい勝ち方で、今までのモヤモヤを全て吹き飛ばしてくれたそんな勝利でもありました・・・。

それにしてもウオッカ人気の高さには今さらのように驚かされた。
馬場入場の折に、東京競馬場のスタンドからそれこそ大勢の拍手と歓声の嵐。
芝コースへ入って外ラチ沿いをユックリと歩み、キャンターに移る時にまさしく場内アナウンスがタイミング良くウオッカを紹介した。
オーロラヴィジョンの中のなめらかなキャンター姿に、場内からウワーッと一斉に歓声がとどろいた。
さすが女王、そんな轟音にも堂々として揺るがず、2コーナー方面へと走って行った。
あらためてこの馬が大勢のファンに愛されていると感じた瞬間でもありました・・。

気が付けば、目の前の下のスタンドに、ウオッカの勝負服を着た5人の若者が手をあげて応援していた。
そんな熱い応援の中、スターターが壇上に上がり今年のヴィクトリアマイルのゲート入りが始まった。

まっ先にゲートを出たのがウオッカであった。
そして理想的な位置へとおさまって行った。5番手のインコースである。
三浦Jのブーケフレグランスが先手を主張。
一番前を行く、しかしすぐにダッシュのついたショウナンラノビアが先頭に出てブーケが2番手、その外へヤマニンメルベイユが続いた。
内でブラボーデイジーが4番手に張り付き、その後ろにウオッカであった。
ザレマはスタート後の1完歩あたりで躓いた感じで、位置どりが後ろになってしまた。
リトルアマポーラカワカミプリンセスが中団あたりで、枠順的にも前の馬達との差が出てしまった。

3角から4角の間で後続グループが少し動いた。
カワカミプリンセスが外から順位をあげて行った。
しかし前は淡々と流れて、ほとんど位置どりは変わらぬまま、4角に入って行った。

逃げたショウナンラノビアが内ラチ沿いを廻って先頭。
その後ろには内にブラボーデイジーが接近していたが、その外へウオッカが近づいていてスッと先にショウナンラノビアの横へ並び、と言う間に一番前に出たのが後400のハロン棒を過ぎたあたり。

もう先頭に踊り出たというのに、武豊Jがステッキを一度入れたのが見えた。
そしてそこからゴールまでも手綱を緩めずに、7馬身差をつけて栄光のゴールを駆け抜けて行った。
2着にはウオッカの後を追うようにブラボーディジーが出ていき、3着はショウナンラノビアが粘った。
4着には後ろからの競馬になったザレマだったが、4角で内から出てきて、鋭い脚を見せて突っ込んできていた。
粘るリトルアマポーラを内から交わしたジョリーダンスが5着。
カワカミプリンセスは、リトルアマポーラの外でこれから伸びるかと思いきや、最後は後ろからの馬にも差されて8着となっていた・・・。

トンネルを引き上げてきたウオッカ武豊J。
関係者が大勢待っていた検量室前の枠場廻りは、拍手と歓声でいっぱい。
その傍で周回しているウオッカの息はほとんど乱れていなかった。
ヴィクトリアマイルのレイと馬服を着せられても、平然として動じないウオッカは場馴れしている様子で本当に貫禄十分だった。
馬のそばで見ていると角居師がやってきて、握手を交わさせて貰った。
もちろん、武豊Jには検量室に入って行く前に、今年最初の握手をちゃんとしておいた。
堂々と廻っているウオッカを見ながら角居師と歓談。
『これでも世界では歯がたたなかったんですからね~。世界は強いですよ』の言葉に実感がこもっていたように感じた・・・。

最終レースの馬を武豊Jと並んで待っている時に聞いた。「先頭に立っていてもしっかり追ったのは何故か?」と。
すると『前走の事もあったし、今後のためにもちゃんと教えておかないとね』であった。
パトロールビデオで観ると、ステッキが2発。ゴール寸前こそさすがに追ってはいないが、そこまではちゃんと馬に躾の意味で気合を抜かないように追っていたのも判断できた。

ゴール前2Fのラップが、何と10.8の猛ラップ。
ここは最大のトップスピードをマークしていた処だろう。最後1Fも11.8である。
そしてこの時計は先週のNHKマイルCと同タイムなのだが、この日の東京競馬場は空に雨雲を含んで、風がかなり強く吹き抜けていた。
向う正面はフォローの風が吹き、直線は逆に向かい風となっていたもの。
その中でのこのタイムは相当に速いと、リアルタイムで見ていた者には判断できるものである事を付け加えておく。

強い馬が強い競馬でレースを制す、そんな競馬の醍醐味を満喫させてくれたウオッカの力強い勝ちっぷり。
今までモヤモヤしていた武豊Jの今年の足跡だったと思いますが、これで吹っ切れさせてくれる勝利となったものと思います。 本当にほんとうに嬉しい勝利でありました・・・。