大役果たした柴田善臣騎手「これが世界一の力」

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●14年6月8日(日) 3回東京2日目11R 第64回 安田記念(G1)(芝1600m)

福永祐一騎手の騎乗停止により、ジャスタウェイ(牡5、栗東・須貝尚厩舎)の帰国初戦でパートナーを務めることとなった柴田善臣騎手。大接戦の末の勝利に、「世界一の馬に乗せていただけて光栄でした。この乗り替わりに理解を示して下さった、関係者の方々に感謝でいっぱい。悪い成績を残さず、ホッとしています。」と笑みを浮かべた。

これまでジャスタウェイには2度騎乗し、いずれも2着。今回は約8ヶ月ぶりのコンビ結成となったが、「以前は若さがあって、それがゲートの中で出たりしていたけど、今日は落ち着いていて良い雰囲気でしたよ。精神面の成長が大きいね」とその変貌ぶりに舌を巻いた。

道中は中団のポジションを追走。「スタートだけは上手く出してあげることに集中しました。馬場をどれくらい気にするか心配でしたが、安心して行けました。ずっといい手応えでしたよ」とスムーズにレースを進めたが、直線に向いてからは苦しい戦いを強いられた。
「できれば外の良いコースを走らせたかったけど、脚のある馬がいて壁になりましたね」と振り返ったように、進路の確保に時間を要し、一旦はグランプリボスから遅れをとった。

しかし、鞍上が落ち着いて内へ進路を取ると、一完歩ずつ差を詰め、ハナ差捉えたところがゴール。「ゴーグルが汚れすぎていて分かりませんでしたけど、届いた感じはありましたよ」と最後まで冷静だった。

「馬には申し訳なかったですが、能力を信用して内を選びました。悪い馬場に何度か脚は取られましたが、前の馬を追いかけようという意志が強くて、馬に助けられました。普通の馬なら諦めてもおかしくない。これが世界一の精神力」とパートナーに惜しみない賛辞を送った。

ジャスタウェイを管理する須貝尚介調教師とは競馬学校の一期生同士。勝利に導いたジョッキーに対し、須貝師は「ジャスタウェイについては時々喋っていたし、同期でG1を獲れたらという話もしていましたよ。レースについてはベテランだからお任せしていた」と語り、苦楽を共にしてきた同期に全幅の信頼を示した。

デビュー30年目を迎えた柴田善臣騎手。今年は2度の骨折を経験するなど、満身創痍の戦いが続いている。それでも、「馬が好き、競馬が好きという一言ですね。他に取り柄がありませんから、馬に乗ることが自分に課せられた使命だと思っています。怪我をする度に、“早く競馬場に戻りたい”という思いが強くなるんです。何より馬がそれに応えてくれますから。今がとても楽しいですよ」と充実した表情で競馬への想いを語った。

蛯名正義騎手、横山典弘騎手、そして今日の柴田善臣騎手と、関東が誇るベテランの存在感が光る春のG1シーズン。今後も若手に、そして関西に負けない活躍を期待したい。