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香港国際競走2014トライアル分析[和田栄司コラム]
2014/11/25(火)
23日、香港シャティン競馬場では、来月14日に行われる香港国際競走に向けてのトライアルレースが行なわれた。この日は仮柵B+2コースが使用され(本番はAコース使用)、グッドトゥファームのコンディションの下、距離1200mのスプリント、1600mのマイル、そして2000mのカップ、3つの国際G2格付けのトライアルレースに注目が集まった。スプリントはフルゲートの14頭立て。シンガポールのダービー馬でここまで6戦6勝のスパラトが出走して3番人気、1番人気は今季初戦の香港G2ザプレミアボウルを追い込み勝ちしたエアロヴェロシティが推された。その中で勝ったのはダグラス・ホワイト騎乗の5番人気ペニアフォビオ、外枠14番からの発走も中団にポジションを取り、直線120m残して馬場の中央から先頭に立って優勝した。
勝ち時計は1分08秒08と素晴らしい。ペニアフォビオは英国で2歳時4戦3勝、2着1回の成績を残して香港に移籍、これが初の重賞勝ち、通算成績は14戦8勝、2着3回、3着2回。ホワイト騎手は香港スプリントでは3歳馬の優勝がないが、有力候補だと自信を深めた。半馬身差2着に追い込んで来た2番人気スマートヴォラティリティは外から追い込んだのが功を奏した。
対照的にエアロヴェロシティは1番枠が災いしたのか、直線2度にわたって逃げたアンバースカイの内を突こうとしたものの、その都度内を締められて立ち止まり、最後は勝負を諦めてしんがり負けを喫した。4番人気ラッキーナインも直線前が壁になって苦労した。やっと外に出したのが残り150m、そこから5着まで来たのだから格の違いと言う他ない。スパラトは絶好の4番手も直線伸びを欠いて13着、とても本番では手を出せない。
マイルは10頭立て。ジョアン・モレイラ騎乗の昨年のクラシックマイル勝馬で圧倒的1番人気に推されたエイブルフレンドが、スローペースの中団5番手から直線250m残して抜け出し1分33秒46のタイムで優勝した。昨年の勝馬で2番人気ゴールドファンが残り50mで2番手に上がり2着、18ヶ月休養して今シーズン復帰した2年連続年度代表馬のアンビシャスドラゴンが内を突いて半馬身差3着、と人気通りの着順になった。
モレイラ騎手は「彼のような良い馬は、私の人生においてもなかなかお目にかかれない。彼は簡単にそれをやってしまう」とぞっこん。ここは究極の400mの上り、21秒41が全てを物語る。ゴールドファンは昨年の香港マイルがグロリアスデイズの復活の前に2着、今年もエイブルフレンドとの間には大きな差があるように思えてならない。日本から挑戦したハナズゴールはスローペースのしんがりでは全く勝負にならなかった。
カップは12頭立て。ニール・カラン騎乗の4番人気ブレージングスピードが、縦長の中団7番手から差し切って優勝した。アタマ差2着に12/13シーズンの年度代表馬ミリタリーアタック、短頭差3着に昨年の勝馬エンドウイング、半馬身差4着に香港カップを2度優勝しているカリフォルニアメモリー、短頭差5着に1番人気に推された年度代表馬デザインズオブロームと大激戦のゴール前だった。
超スローペースの3番手から直線200m残してミリタリーアタックが抜け出し、2馬身差で追ったブレージングスピードがラスト400mを21秒85で上がり、きっちり前を捕えた。ミリタリーアタックの内からは白い馬体のカリフォルニアメモリー、ミリタリーアタックとブレージングスピードの間にエンドウイングが入ってスリリングな攻防になったが、昨シーズンの三冠シリーズのニ冠馬、これくらいの活躍はして貰わないと困る。
レースは外枠5頭が出遅れ、スローペースで縦長、という追い込み馬には極めて不利な流れになった。その中の1頭デザインズオブロームは10番手の位置取り、それでも直線21秒82のメンバー中最速の末脚でカリフォルニアメモリーとは100分の1秒差5着まで持って来た。やはり能力の高さはずば抜けている。3頭出しで臨んだトニー・クルーズ調教師は、ブレージングスピードとカリフォルニアメモリーをカップ、7着ウイリーカザルズをヴァーズに振り分ける。
海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。
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