圧巻マカヒキ 無傷V3で皐月賞へ名乗り!ルメール絶賛「スゴい脚」

●3月6日(日) 2回中山4日目11R 第53回弥生賞(G2)(芝2000m)

朝日杯FSでしのぎを削ったリオンディーズとエアスピネル。そして、2戦2勝のマカヒキが早々と参戦を表明し、一時は片手で数えられるほどの少頭数になるかと危ぶまれた今年の弥生賞(G2)。予てから世代レベルの高さが囁かれながら、なおかつ実績上位のメンバーが名を連ねたのだから、他陣営も参戦を躊躇したのもうなずけるところ。その結果も、レースレコード決着の中、上位人気3頭と4着の間は5馬身ついたように、下馬評通りのハイレベルな一戦だった。

レースの主役を担ったのはマカヒキ(牡3、栗東・友道厩舎)。ケンホファヴァルト、シャララが先手を主張する中、慌てず騒がず1コーナーは最後方で通過。向こう正面までにポジションを挽回し、じっくりと脚を溜めると、自ずと馬群が凝縮し始めた3コーナーから進出。直線を向くと、楽な手応えで前を行くライバルたちにとりつき、そこからスパート。終始、鞍上の落ち着いたレース運びに導かれ、矢のような伸び。ゴール前で2歳王者リオンディーズをとらえ、レースレコードでゴール板を駆け抜けた。

戦前の時点で土日計8勝を挙げる絶好調のクリストフ・ルメール騎手は「強かったですね。今日はG1を意識しました。スタートは良くなかったけど、中山コースなので、1コーナー過ぎ辺りでポジションを上げていきました。そこからは乗りやすく、リラックスしていましたよ。休み明けだけど、反応は良かったですし、ゴール前はスゴい脚でよく伸びてくれました」とその走りに舌を巻いた。

前走の若駒ステークスもスローペースながら上がり32秒6という非凡な瞬発力を見せていたマカヒキだが、関東遠征、中山コース、坂のある直線と初の条件も何のその。それも、2歳王者を差し切っての勝ち星だけに、その価値は更に高まる。「上位3頭のなかでも、一番前に来ると信じていましたが、久々に声が出ましたね。長距離輸送もクリアし、装鞍から下見まで、前回より落ち着いていました。皐月賞に向け、楽しみがふくらみます。父ディープインパクトのように、この調子で前進してほしいですよ」と友道康夫調教師の声も弾んだ。

来たるクラシックへ向け、大勢を窺う上で重要な一戦であったことには違いないが、この勝利でルメール騎手は同じく3戦無敗の重賞ウィナーであるサトノダイヤモンド(牡3、栗東・池江寿厩舎)とどちらの鞍上になるのか、という情勢になったことも忘れてはならない。「今年は強い3歳馬が沢山いて、その強い馬たちが一緒に走れますね。まだどちらに乗るかわかりませんが、皐月賞が楽しみです」とは明言を避けたが、一ヶ月後の大一番へ向けて、その選択にも注目が集まるだろう。

無敗の弥生賞馬は2年連続の誕生となったが、奇しくも新馬、若駒S、弥生賞と無傷3連勝の道程は父ディープインパクトと同じ。クラシック第一冠を前にして、マカヒキは父の再来か、と大きな期待が膨らむほどのパフォーマンスを見せてくれたが、ライバルたちの巻き返しはあるのか、まだまだ新たな勢力が現れるのか。今年の弥生賞は、空前のクラシックをより待ち遠しくさせる一戦だったことは違いない。

弥生賞

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