京都牝馬S.根岸S/平林雅芳の目

トピックス

日曜京都11R
京都牝馬S(GⅢ)
芝1600m
勝ちタイム1.36.4
勝ち馬
ヒカルアマランサス(牝4 栗東・池江郎厩舎)

■東西で4歳馬が勝利。ヤングパワーが炸裂だ!!

ザレマの逃げは何と1.01.7と超がつくほどのスローペース。
どの馬も楽についていける。まったくの上がり勝負となって、ドンジリで4コーナーを廻ったヒカルアマランサスでも先頭からそんなに差のない距離で、大外を豪快に差し切ってみせた。
52キロでデムーロJが乗るあたりが勝負駆けであろう・・。

最後の3ハロンが11.6~11.2~11.9が物語る。4コーナーを廻ってくる時は11.2と凄いラップとなっている。
しかし、最後のゴール前はややスピードは鈍り11.9。決して衰えている速さではないが、その前の1ハロンから比べると凄い数字ではない。そこがヒカルアマランサスに凱歌が挙がった大きな要因だろう。
ザレマももう少しで勝利と思える内容。粘りに粘ったのが、2番手をじっと追走して行ったベストロケーション。
母系を見て、『あのダイナアクトレスの子供だったのか』と今頃気が付いている様では遅い。
この2戦が1200メートルを連勝してのオープン挑戦となったもので、一番先にゲートを出て行ったほどの速さ。あまり行く気がないのをザレマが見て先頭となって行った流れだろう。
折り合いも十分についていたベストロケーションも、もう少しで大金星を挙げる処だった。

勝ったヒカルアマランサスは条件馬で、今回は格上へ挑戦。
賞金面で稼いでいないから、斤量も52キロで出られた。デムーロJが見事その軽量を生かしての素晴らしい騎乗。今年も外国人騎手は頼もしい限りだ。
既存勢力のザレマやワンカラット、桜花賞馬のレジネッタ相手にこの内容。
昨春の桜花賞の頃は忘れな草賞に出ていたヒカルアマランサス。
秋はローズステークスで撃沈、そこから一歩ずつ階段を登って前走で愛知杯に挑戦。ハンデ戦で軽量52キロで4着と差のないレースだった。
今日は距離が千六だけにやや短いかと思えたが、ことのほか前がユッタリと流れて決め手勝負となる戦いとなった。
4コーナーをドンジリに近い処だったが、前とは実質そんなに差がない位置。
むしろ馬場のいい大外を通れる有利さと、ここで52キロの軽量も生きた。
まだ8戦のキャリアの馬で、むしろこれから距離が少し伸びてこそ楽しみな器。
今後に大きな希望が見える勝利であったと思える。池江郎厩舎も絶好調で、今週4勝目と気を吐く内容。
鞍上も厩舎も非常にいいリズムである・・。


日曜東京11R
根岸S(GⅢ)
ダ1400m
勝ちタイム1.23.7
勝ち馬
グロリアスノア(牡4 栗東・矢作厩舎)

直線でサマーウインドが抜け出しかけた時はやはりと思えたのだが、外からグロリアスノアだけがグイと伸びだして栄光のゴールを駆け抜けた。
何とか粘るサマーウインドだったが、最後はオーロマイスターにかなり肉薄されて際どい2着。
スタミナ勝負よりもスピード争いの方が良さそうに思える内容であった。

ゲートが開いて一番いいスタートは、内でダイワデライトで、スッと前に出て行った。しかし、少しして外からケイアイテンジンが押して押して一番前へと踊り出て行った。
ダイワデライトが2番手、サマーウインドはまだ3番手でやや行きたがるそぶり。
最初のカーブが近づいた。
ここらでは、外のサマーウインドが2番手に上がってきて、内のダイワディライトと並んで進んだ。外にはスーニも上がってきていた。
流れはそんなに速いとは思えない各馬の動きであった。
4コーナーに近づいてもまだケイアイテンジンが先頭だが、その外へサマーウインドが迫って来た。少し外へ流れ気味な廻り方に見えた。
直線に入って残り400メートルの標識を過ぎた。
まだ最内にはケイアイテンジンが粘っていたが、その外にサマーウインドが楽な手応えで並びかけ、外にはスーニも顔を覗かせてきた。残り200メートルの標識で、サマーウインドに武豊Jがステッキを一発入れてゴーサインを出した。
外スーニとの差はまだあった。

サマーウインドが完全に前に出た、と思う間もなく外に追い上げてきていた後続馬の中から、1頭グロリアスノアの伸びが目立っていた。
サマーウインドを並ぶ間もなく抜いて、先頭に踊り出てゴールを目指した。
鞍上の小林慎一郎Jは手綱を押すだけで、ゴールでは外をチラッと見る余裕もあって、最後は押さえ気味。
サマーウインドとの差は1馬身ぐらいあったと思える。
外からオーロマイスターも伸びてきており、一番内で粘るサマーウインドとどちらが2着か判らない勢いでゴールへ入った。
カメラマン席から見させて貰っている私には、どちらが先に出ているのかが判らないぐらいのタイミング。何となく内が残っている様には見えたが、正直判らなかった。

地下道を引き上げてくる各馬。サマーウインドはかなり遅く帰ってきた。
すでにグロリアスノアは先に目の前を通って行き、陣営の歓声に迎えられて検量室前の枠場に収まっている。
やっと疲れ果てた感じでサマーウインドが帰ってきて、目の前を通った。
パトロールビデオを何度も見直した。

勝ったグロリアスノアは、縦位置でサマーウインドの2、3馬身後ろの追走で、馬ごみの中だがいい感じで進んで行けていた。
直線では、最後外へ出してきてからの伸びだが、そう切れるといった脚ではないがジワジワと伸びていた。
前に邪魔をする馬がいなくなった直線1ハロン過ぎからのグイっとの伸びだった。
サマーウインドは初のオープン馬相手のレース。巧いレースぶりで力は出せたとは思う。
ただ左廻りも初めてで幾分気を使うコーナーリングでもあり、スピードまかせの競馬の時とは違う印象もあった。
でも最低限の仕事の賞金加算だけは出来たので、次の機会を待ちたい。

それにしても矢作厩舎の勢いは凄い。グロリアスノアとのコンビで、小林慎一郎騎手の初重賞制覇となった。
目の前を通っていく馬上の慎一郎Jは、興奮もせず静かに通って行った。
私も素直に『おめでとう』の声をかけさせて貰った。重賞初勝利を喜んであげるのが、ホースメンの慣わしでもある。