3歳戦メモランダム【2/6.7東京】シャンギロンゴほか

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●先週の新馬は3鞍。勝ち上がったなかで、最も将来性が見込まれるのは、6日(土)、芝2000mシャンギロンゴ(牡3、池上厩舎)だろう。

キャロットクラブ(馬主法人はキャロットファーム)での募集総額は1600万円。手ごろな価格に反して、ノーザンファーム空港での育成時より上々の動きを見せ、関係者の期待は高かった。
昨年の6月初旬、早くも美浦へ移動したものの、ゲート試験をパスした段階で疲れが出てしまい、1か月後には放牧。体質的な幼さだけでなく、気性の激しさも災いし、外傷などのアクシデントにもつきまとわれる。再び入厩したのは、年末になってから。

順調に時計をマークできたとはいえ、追い切りの反応には重さも目立ち、単勝6番人気(15.0倍)。まだ緩く映るスタイルを見ても、妥当な評価かと思われた。

スタートで2馬身ほど遅れ、最後方をふわふわ追走。しかも、5ハロン通過が65秒1というスローな流れである。
しかし、直線で外に持ち出すと、怒涛の追い込みを見せた。騎乗した蛯名正義騎手も「まさか届くとは」。次位をコンマ6秒も凌ぐ34秒2の上がりは、きらりと光るものだった。

エラドゥーラ(その父はサルトリーソング)はダート1200mで2勝したスピード馬だったが、タニノギムレット産駒らしいスケールの大きさが伝わってくる。安定して力を発揮する個性でもないのかもしれないが、心身ともに伸びる余地はたっぷり。

シャンギロンゴとは、テキーラベースのカクテルのことで、エラドゥーラがテキーラの高級銘柄であることより発想。ネーミングもみごとだ。
ギムレット(こちらはジンベースのカクテル)とは違った味わいの逸品に育つかも。

7日(日)、ダート1600mは、渋太く脚を使ったネオスプレマシー(牡3、堀厩舎)が勝利した。
父はアグネスタキオン、中山牝馬Sなどに勝ったホッカイセレスが母という良血。かつては自ら進もうとする気持ちに欠しく、デビューまでに時間を要した。ようやく本気になったところであり、未知の部分もかなり残されているが、今回は相手に恵まれたことも確か。さらなる成長が求められる。

7日(日)、芝1400mは、好位で流れに乗ったクィンビークイーン(牝3、小西厩舎)がハナ差の接戦をものにした。
ただし、平凡な勝ちタイムだったうえ、パフォーマンス自体のインパクトもひと息。むしろ、最速の上がりで4着に食い込んだカールファターレ(牝3、堀厩舎)と、窮屈なポジションで完全に脚を余したマイネルヴンダー(6着・牡3、上原博之厩舎)を次走の注目馬として挙げておきたい。

●未勝利戦組では、7日(日)、芝1600mを順当に勝ち上がったハングリージャック(牡3、加藤征厩舎)の器が大きい。テン良し、なか良し、終い良し。危なげのない内容だった。
昨年9月、中山の新馬(芝1200m)はトップでゴールしたものの、他馬の進路を妨害して9位に降着。その後の調教で右トモの飛節を捻り、ここまで出走が延びてしまった。陣営のもやもやも一気に晴れたことだろう。

ピクシーダストラヴドシャンクシーの半弟で、性格面の難しさもポイントとなる母系だが、手綱を取った蛯名正義騎手は、「レース前はピリピリしていても、実戦となれば集中してくれた」とコメント。ここまで遠回りしたわけだが、早い時期に無理をさせなかったことで内面も充実した。

フジキセキ産駒らしいがっちりしたボディーでありながら、つなぎが長く、柔らかく、決して単調なスピードタイプではない。アーリントンCへの参戦も視野に入っている。