続・北北の話(最終話)

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 バンクーバーで、冬季五輪の熱戦が繰り広げられています。不肖・ミスターY、まずは札幌在住中に大倉山で何度か観戦したジャンプに注目して来ました。ライブ観戦すると迫力満点なのが、このジャンプ競技。そそり立つような山の上から滑り降りてきて飛躍し、立つのがやっとというくらいの急斜面に着地するのです。それとカーリング。日本ではマイナーな競技ですが、冬季五輪の期間中は間違いなくメジャーで、注目を集めています。今回のバンクーバーでもハラハラドキドキの熱戦の連続です。

 「いやあ、カーリングは最高だね。何と言ってもダブルテイクアウト!決まった時の爽快感は、馬券的中の瞬間にも負けんよ」とTC紙のベテランN記者。日曜日の東京競馬場、レストランの一角にある馬券記者たちの溜まり場でもカーリングの話題で盛り上がっています。

 「いやいや、僕としてはドローショットですよ、醍醐味は。狙った位置にピタリと止めなきゃならない。ちょっとでもズレると、一転して大ピンチになってしまう。それに女の子たちが一生懸命、ホウキで掃く姿がまた可愛くて」SS紙の若手O記者は、また違った角度から楽しんでいるようです。

 そんな輪の中に東京生まれの北大生、すすきの馬券連のメンバーの学生君も潜り込んでいました。4月から社会人として新たなスタートを切る立場。その準備のために帰省中ですが、この日はフェブラリーSが行われるとあって、東京競馬場に乗り込んでいたのです。

 「カーリングは戦略がポイントですよね。北大にもチームがあって、かなり熱心にやっていましたよ。何度か大会の応援に行きましたけど、熱いゲームを見せてくれました。でも、あれって見ている以上に難しいんですよ。ドローショットを狙った位置に置くなんて、よっぽど練習しなきゃ、まず無理ですね」と学生君。

 そんな中で今年のGI開幕戦、フェブラリーSがゲートイン。エスポワールシチーが堂々のGI4連勝ゴールでした。

 「エスポワールシチーもドバイに行くんでしょ?う~ん、行きたいなぁ」学生君はまだ諦めきれない様子です。新入社員へのブリーフィング日程とぶつかっているため、卒業旅行を兼ねてのドバイ旅打ちは、とうてい無理な話なのですが…。

 「それにしても凄いんですよ。エスポワールシチーの強さももちろんですけど、店長氏、またまた大的中。どうなっちゃっているのかな?」と学生君。すすきの馬券連の好敵手、某飲食チェーン店の店長氏は、胃潰瘍でダウンしたのを機に本命党にチェンジ。フェブラリーSもゲートイン直前に、学生君への携帯電話に購入したばかりのエスポワールシチーから3連単勝負馬券を通告してきていたのです。ダイヤモンドSのフォゲッタブルに続いて大本戦的中です。

 「天変地異でも起きなければいいんですけど…」店長氏の万年負け組の悲惨な姿を見続けてきた学生君にしてみれば、信じられない快進撃です。

 「まあ、これで来週はご機嫌な店長氏に再会できるから、良しとしますよ!!」と学生君は気を取り直しました。

 いよいよ来週末、学生君は北の大地を撤退するのです。4年間、学生ライフを送った部屋の引っ越しと、すすきの馬券連の送別会もあって札幌に戻るわけです。不肖・ミスターYももちろん「参戦」します。久々の札幌、店長氏はもちろん、大ベテラン馬券師・3連単の鬼氏、そしてホッカイドウ競馬の元調教師で、ゴルフ、麻雀のライバルのH氏との再会が楽しみです。

 「送別会なんて、いやだなぁ。まあ、どっちにしても店長氏が酔っぱらってドタバタするだけでしょうけどね」と学生君はそう言いながらもちょっぴり寂しそうです。

 先輩・ミスターXの後を継いで展開してきたこのコラムは、今回でゴールとなります。競馬界はクラシックロードへの蹄音が日増しに高まっていき、今年も数々の名勝負が繰り広げられるでしょう。北の大地の馬券師、最前線で取材に当たる馬券記者たち、そして新生活をスタートさせる学生君のバトルに終わりはありません。

 最後に今週の中山記念、不肖・ミスターYはシャドウゲイトで勝負!当日はすすきの場外でのバトルとなりますが、学生君の送別会会場への道のりは、果たしてオケラ街道になるのか、凱旋ロードとなるのでしょうか?(終わり)