実は晩成?フランケル産駒の新星候補…トレセン探偵物語(仮)

モズアスコット

三鷹特別で3連勝を飾ったモズアスコット

「まだまだ完成は先。身体はまだまだゆるいですから」。

栗東・矢作芳人厩舎の玉井俊峰調教助手から、そう聞いて驚かされたのは日曜京都10R・渡月橋ステークスに出走するモズアスコット(牡3、栗東・矢作厩舎)。今回、準オープンへの昇級初戦とはいえ、前走の三鷹特別(東京芝1400m)を楽な手応えのまま、1分20秒4のタイムで差し切り勝ち。観る人によっては近いうちのオープン馬、いや重賞級と思ったはず。ワタシもその一人だ。

ソウルスターリングを筆頭に、確かなインパクトを残しているFrankelが父。現時点の血統的なイメージから完成度の高い馬かと先入観を持ってしまっていたが、初出走は今年の6月。同じ血統馬はおろか、同世代からもかなり遅れをとってのデビューという点からも、順風満帆ではなかったよう。しかも、初勝利までに3戦を要した。

「胴が長い体型だから、最初は長いところを使っていたんです。でも、走りはパワフルだし、脚は短め。こんな条件があっていたのでしょうね」と同担当スタッフ。

さらに聞けば、競馬場の地下馬道では幼さをみせ、ジョッキーに叱られたこともあったという。それでいて、この半年間のキャリアアップは、並大抵の器ではないことを改めて感じさせられる。

ところで、取材をさせてもらったら「撮っていいですか?」と毎度"写メラマン"になる探偵だが、この日ばかりは敬遠。なぜなら、厩舎スタッフの大半が帰途についているお昼前の時間帯。モズアスコットがおネムだったのもあるが、"そう遠くない未来にまた来ることになる"と思ったから。

今週の追い切りは坂路を馬なりで52秒1。「凄かったですよ」と玉井助手も素直に評価していたデキなら、今回もアッサリ突破して不思議ではない。来年は重賞戦線を賑わせていることだろう。

(競馬ラボ・小野田)