この馬に注目【阪神大賞典】メイショウベルーガ

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日経新春杯で重賞初制覇を成し遂げたメイショウベルーガ(牝5、栗東・池添厩舎)。後方から大外に持ち出しながら、次元の違う末脚(メンバー中で最速の上がり3ハロン34秒9)を繰り出した。後続に3馬身差。しかも、抜け出してからソラを使ったとのことだった。牝とは思えないパワフルな個性で、スタミナにも自信。天皇賞・春を目指す牡のトップクラスが揃った阪神大賞典でも、信頼度は断然である。

3歳1月のデビュー戦(京都の芝1600m、4角で不利を受けて12着)以来、タフに走り続けて25戦を消化。フレンチデピュティの仔らしく、初勝利をダート(京都の1200m)で挙げているが、母パパゴ(フランスで1勝、重賞2着1回)はサドラーズウェルズの産駒であり、同馬にも重厚なターフランナーの血が流れている。長くトップスピードが持続する反面、当初からゲートは苦手で、追い込み一手の脚質。展開に泣くことが多かった。
初めて挑んだグレードレース、フローラSを4着、ローズSでも5着するなど、3歳時より高いポテンシャルを垣間見せていたが、本格化したのは昨年の秋。古都Sで順当に準オープンを卒業すると、エリザベス女王杯(5着)でも、33秒3の上がりを繰り出した。同馬には不向きな小回りコースの愛知杯も、ナンバー1となる末脚(34秒3)を発揮。クビ+クビ差の3着に食い込んでいる。

ひと皮むけた要因を担当の古小路重男調教助手に訊くと、こんな答えが返ってきた。
「馬格があるのに手脚は軽く、もともと調教駆けしたよ。かかることもないし、乗りやすい。ただ、気が強く、頑固な一面もあってね。嫌なことははっきり拒み、ハミを付けるのにもひと苦労なんだ。それでも、ようやくすべきことがわかってきた様子。かつては競馬場へ行った途端、一気にテンションが上がったのに、無駄なところでの消耗が少なくなったからね。チークピーシーズ(僅差の3着した昨春の府中Sより着用)の効果もあって集中力が高まり、一戦ごとに反応が鋭くなっている」

古小路さんは、99年2月までジョッキーとして活躍。平地で76勝(うち重賞を3勝)、障害レース90勝(重賞8勝)をマークした。攻め馬専門の調教助手を経て、一昨年の10月からは持ち乗りとなり、同馬に深い愛情を注いでいる。
「時間をかけて教えてきただけに、成長を実感できるのがうれしいね。これだけ使い込んでも、馬体はたくましさを増す一方。いつも食欲が旺盛で、穴を掘ってしまいそうな勢いの前がきで催促する。飼い葉桶をなめるように平らげるんだ。よりハードに鍛えることができているよ。まだ隠されたギアがありそう」

豊富なキャリアを誇る古小路さんも、メイショウベルーガの才能にぞっこん。渾身の仕上げに応え、奥手の「シロイルカ」は究極の末脚を爆発させる。