【トレセン珍百景】不思議なはちまき馬

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馬の視野は、350度にも及ぶ。野生の時代、左右だけでなく、背後から迫る敵までも、いち早く察知しなければ生き抜けなかったからである。

ただし、片目でしかカバーできない範囲が大きく、距離感をつかむのは苦手。だから、馬は周囲の微妙な動きにも過敏に反応しがちなのだ。競走においては、そんな特徴が妨げとなり、気が散って全力で走れなかったり、他馬に萎縮してしまうこともある。

そこで有効なのが、様々な馬具である。その代表は、可視できるゾーンを前方だけに狭めるブリンカー(画像↓)。


集中力を増すことが知られている。ただし、馬が不安を覚えてマイナスに働くこともあり、ブリンカーよりソフトな効用のチークピーシーズも多用されるようになった。こちらは出馬投票時に届出の必要がないため、天候によって当日に着脱の判断もできる。


チークピーシーズ(画像↑)は、羊毛などに覆われた筒状のものを両頬に取り付ける。一方、鼻に装着するのがシャドーロール(画像↓)。もともとは自分の影に驚くことを防ごうと考案され、こちらのほうがごく一般的に、かなり古くから使用されてきたた。遮られた下方を見ようと、頭を低くして走るようになることから、頭の高い馬のフォーム矯正にも役立つ。


なかにはこんなめずらしい馬具も(画像↓)。シャドーロールと同じような形状のものを額革に取り付ける「ブローバンド」である。上後方の視野を遮断し、馬の意識を前へと導く。


モデルは、3歳未出走のリバーワンダー(牡、栗東・須貝彦厩舎)。まるではちまきを締めているように映る。

ゲート内の狭さを嫌がって暴れるので、育成牧場から着用。現在はスタートもスムーズだが、悪影響がないため、入厩後もこの装備がトレードマークとなっている。待望のデビューも間近。レースもはちまき効果で、ワンダーな走りを披露してほしい。