東海S/平林雅芳の目

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日曜京都10R
東海S(GⅡ)
ダ1900m
勝ちタイム1.55.4
勝ち馬
シルクメビウス(牡4 栗東・領家厩舎)

4歳馬3頭が人気を分けての戦いとなった今年の東海S。逃げて先手主張が1番人気のトランセンド。2番手がフサイチセブン。しかしゴールを先頭で抜けたのは、3番人気の4歳馬シルクメビウス。抑えに抑えて、直線で一気に外から差し切ったその脚はもう一級品。これで大井の帝王賞へと、堂々と駒を進める事となった。

火曜の朝に領家師を捕まえて、今後の動向を聞いた。すかさず『帝王賞へ。ちょっと屋根が頼りないけどな~』と笑いながらの答えでもあった。続けて『抑えて終いを生かす競馬を、とだけ伝えたんだ』との指示の内容を教えてくれた。だからこそ、あの3コーナーから4コーナーの間では馬の中に入れてすこぶる我慢をさせて、先に動いた行ったアルトップランを直線入り口過ぎに外から交わし、はるか前を行くトランセンドをもゴール前でキッチリと抜き去ったものだと納得した次第であった。

レース自体は、トランセンドの藤田Jの、完全なるマイペースでの競馬であった。道中一度もペースダウンしないで平均的な流れを造っての直線。上がり3ハロンが11.9-12.0-12.1のフィニッシュで、ゴールを迎えている。普通は勝ちパターンであろう。それをよくぞ差し切ったシルクメビウスと田中博Jの名コンビである。実際、2番手追走のフサイチセブンは、3コーナー過ぎあたりからウイリアムズJの手綱が忙しく動きだすほどに、付いていった馬の方が脚が上がるほどの巧い競馬であった。上がりの厳しい勝負に持ち込んで、完全に前残りのレースなのである。それを差し切って、ゴール板通過の時には田中博Jがスタンドへ向かって左腕を真横に伸ばしてブイコールの余裕。トランセンドが前に残して、今日もまた走り抜けたレコードタイムタイでの勝利であった。

それにしても、4コーナーまで完全に我慢に我慢を重ねたシルクメビウス。直線に入って少ししてから、手前もちゃんと綺麗に替えさせてからの追い出しと、見れば見るほど完璧な乗り方であった。馬も鞍上も凄く強く、上手くなっているなという印象を覚えた。だからこそ、今ならなおさら、帝王賞ではかなり面白い仕事をしそうな予感がするものである・・。